「TPP11」は、新たなブロック経済の主役となるか

"It's the economy, stupid"「経済こそが重要なのだ、愚か者」。あまりに有名な言葉となりました。歴代のアメリカ合衆国大統領は、いろいろ言われながらも「経済重視」路線を継承しています。それが、グローバルなのかローカルなのかの違いだけです。

グローバルで大きく経済を回そうとすれば、その領域とアメリカに集まる利益を守るために「世界の警察」の役割を果たすことになるのでしょう。故に、グローバルの要員である国々は、アメリカ合衆国が超軍事大国になっていくのを許容しました。

いま、アメリカ合衆国は「世界の警察」の役割を終えようとしています。戦争・紛争の苦痛が利益を上回ったからでしょう。国内では経済格差の不満が溜まっていて、政治が ”怒り” を利用しながら主権を握る熾烈な争いを行っています。政治は、富の分配バランスをどうするのか、ローカルに目を奪われている状況です。交渉は二国間くらいでしか動けない。グローバルではローカルに目が届かないからです。

けれど、グローバル要員の各国は「それでは、困るのだ」といいます。当然、超軍事大国でありながら世界の警察の役割を放棄されれば、各々の国同士で各々の国益を守らなければならなくなります。超軍事大国のまま、個別に交渉されれば、飲まなければならない条件が増えていきます。

この不利な状況を解消するには、国同士でまとまるしかない。国益防衛は「TPP11」の役割の中で重要な位置を占めるでしょう。欧州やインド洋各国の連合形態との自由貿易は、超軍事大国であるアメリカや、それに次ぐ中国・ロシアへのけん制として、経済発展を促しアンバランスな条件交渉にならないように仕組みと仕掛けを構築しなければなりません。

超軍事大国の経済ブロックと、弱小国連合の経済ブロック。均衡のとれた力関係。その中で、貿易交渉が進んでいきそうな気がしています。軍事同盟の在り方も、この経済から見直しが始まろうとしているように見えるのです。

「経済こそが重要なのだ、愚か者」。世界の人々が、愚か者の中に引き込まれないように祈っています。



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