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【コラム】イベントの開催力と受け入れ力

2024年5月30日〜6月2日
仙台市内が黄色で埋め尽くされました🟨

世界的イベント「ポケモンGO フェスト」が仙台で開催され、メイン会場となった「七北田公園」は、地元では見たことのないような数の人々で溢れかえっていました。

また、仙台駅から一番町商店街までを結ぶ、全長約1kmに渡るアーケード商店街にも、青葉まつりや七夕祭りを遥に凌ぐ人が溢れていて、すごい賑わいを見せていました。

人の数で言うと、まるで土日の銀座ホコ天状態。笑
ハロウィンの渋谷スクランブル交差点程ではないですが、平日午後のソレには引けを取らない感じと言ったら分かるでしょうか。

その数の人々が、15m程度の幅しかないアーケード内を移動しているのです。

とにかく「すごかった」という事が伝わるかと…笑

「ポケモンGO」
実は私…昔からゲーム自体に馴染みがなく、申し訳ないことに「ポケモンGO」どころか、「ポケモン」すらやったことがありません。

ただ、「ポケモン第一世代」ど真ん中の私の周りでは、もちろん多くの人が「ポケモン」にハマり、大人になってからは「ポケモンGO」にハマっていました。

私はインバウンド関連の仕事を専門にしているので、今回のイベントに対するインバウンド旅行者の仙台訪問に、とても嬉しさを感じています。

特に、通常だと韓国や台湾、中国などの「東アジア圏」からの渡航者が目立つ仙台ですが、今回のイベントでは「欧米圏」からのお客様も多く見られ、仙台への訪日旅行者の国籍が多様化した点が、地方都市にとっては良い刺激と学びになったのではないかと感じています。

コミュニケーション
食文化
異文化理解

もしかしたら、いつもとは違うこのような内容でお困りになったケースもあったのではないでしょうか。

「ベジミールはある?」
「これはどうやって食べるの?」
「この標識の意味は?」
「何を言っているのか分からない…」

その時はストレスに感じられるこのような対応も、この先の発展に向けてとても貴重な機会になったはずです。

しかし、その一方で、今回のような地方都市での大イベント開催において、大きな課題が顕著になったようにも感じます。

それは…
イベント開催における「開催力」と「受け入れ力」です。

シンプルに…
イベントをやるのは良いけど、これって「運営できてる」って言える?
という感想です。

いわゆる「オーバーツーリズム(観光公害)」に近い現象に対し、運営側の事前準備と対応不足が課題に感じました。

《ながら携帯によるヒヤリハット多発!》

ゲームの特性上、「ながら携帯」「突然立ち止まる」が多く発生し、私も数名の転倒事例を目にしました。

老若男女が気軽に楽しむことができるゲームという事もあり、小さなお子さんからご高齢の方までが参加されていましたが、「ながら携帯」により足元が見えづらくなることによるトラブルが多く発生していました。

「ゲーム参加者」と「ゲーム不参加者」が区別なく、幅15m程の狭いアーケード内で入り混じっているので、「発生するべくして起きた事例」だと感じました。

「ポケGO専用レーン」のようなものを設置するだけでも回避できたのでは?と、素人でも思いつきそうな考えが浮かび上がってくるほど、その状況に少しため息が出てしまいました。

《これって、回線がパンクしてるの?》

ビックリするくらい、いつもより電波が弱い。
すごい人数がオンライン状態だから?
ここ、仙台駅前ですよ?

驚くほど通常とは異なる接続状態に、こう思わざるを得ない。笑

素人考え再びですが、「ゲーム専用限定WiFi」とかないの?と。
そもそも、この人数で回線パンクとかある?
観光都市になるためのハード面のキャパシティが弱いのでは?と。

たったこの2つの事例からも分かることは、「ハード面」に関することは、如何様にでも事前に対策を打つことができるということです。

例えば、
「あなたが怪我をしない為にも、ながら携帯はしないでね」と、日・英でアナウンスや表示を徹底したり、
「〇月〇日の〇〇:〇〇〜〇〇:〇〇の間、このエリアでは通信状況が悪くなる可能性があります」と事前に周知するだけでも、市民生活への被害を少なくすることができるのではないでしょうか。

しかし、悪いことばかりでもなく、
「こんな光景、普段では絶対にみられない!」と、こちらが嬉しくなるような状況も多く見られました。

それは、同じゲームをやっている人同士が、年齢・性別・国籍関係なく、言葉の壁も乗り越えて楽しそうに交流を図っている光景がちらほら見られたのです。

中学生にゲームについて質問をしている高齢女性。
それに対して親切に説明をして差し上げて、「ありがとう!やってみるわ!」という返答を得た後、満足そうにフラペチーノを一口飲んでいた時の中学生の笑顔。

日本語が話せない外国人女性と、片言の英語と翻訳アプリを使って、お互いのアイテムを交換し、その交流を楽しそうに深めている日本人女性との盛り上がった光景。

「ポケモンGO」というツールを通して、普段では得られない異文化交流を自然と繰り広げている光景に、地方都市での明るい多様化への未来を感じることができました。

その可能性を広げる為にも、「運営力」を鍛えることは非常に重要なことだと感じます。

「楽しい事」を人々が楽しむ為には、徹底したマネジメントの上で成り立つ開催力と、それを受け入れる地域全体の受け入れ力が必須であるという学びを、今回のポケモンからゲットできたのではないでしょうか。

「次は観光でもまた行きたい!」
「今度はもっとローカルな体験を仙台でしたい」と、今回の訪問をきっかけに、リピートしてくれる外国人旅行者が増えることを期待します。

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