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生物学的製剤デュピルマブ(デュピクセント)はアレルギーの親玉ILC2を抑制させる(Clin Exp Allergy. 2020;50(2):267-270.)

PMID: 31621112

血液中の自然リンパ球Innate Lymphoid cellsの1つICL2はIL-5、IL-13だけでなくIL-4も産生していることがわかった。ILC2 の細胞培養実験では、ILC2が産生するIL-4やIL-4RをブロックさせるとILC2の発育が低下し、IL-5、IL-13の産生量が低下した。つまりIL-4/ IL-4Rαのシグナリングを抑制させるとILC2の機能を抑制さえることがわかった。
デュピルマブを使用した喘息患者の血中ILC2は抑制されIL-5、IL-13が減少した。

<コメント>
生物学的製剤デュピルマブ(商品名デュピクセント)はアレルギー反応シグナル、IL-4と IL-13のシグナルを阻害する薬であり、2020年3月から鼻茸を含む慢性副鼻腔炎に使用が可能となった薬剤である。手術を行ったにもかかわらず再発をしたケースやステロイドによる治療歴または使用できないケースで鼻づまりや嗅覚障害が続いている場合が適応となる。
アレルギーでは破壊された上皮細胞からサイトカインが産生され、それによりアレルギー反応の「親玉」であるILC2が誘導される。今回の検証では、デュピルマブが上流の「親玉」も抑制させることがわかった。
健常人の鼻粘膜にはILC2はほとんど存在しないが、慢性副鼻腔炎患者の鼻茸には、ILC2は存在しアレルギー反応を引き起こしている(PMID: 30682454) 。鼻茸の形成には、好酸球やt-PAが関与しており(PMID: 32145873)、デュピルマブは鼻茸のILC2を抑制させると同時にIL-4と IL-13のシグナルを阻害し、鼻茸の形成を減少させることが考えられた。


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