商品がお店に並ぶまで その3-3 試作イベント
前回、電気と機構でズレが生じると書きました。
なぜズレが生じるかというとマウント基板とメカ部品ができるまでのLTが違うことに起因します。
と、その前に試作イベントについて説明します。
試作機では色々と試験を行いますが、部品の出来具合によって試作を何回かに分けて行います。その試作機を作るイベントのことを言います。
試作は下記の3つのフェーズで行うことが多いです。時と場合によってはフェーズが増えたり減ったりします。
1.EVT
1st試作や手造り試作とも言います。基板はNC、機構部品は切削メインで作ります。ハーネス長はいい加減。LEDは光れば良い。動けば良い。燃えなければ良い。数量はそんなに多くなく大体数量は2桁台。ES部品を使用することもあります。基本的に設計者しか配られません。
2.DVT
2nd試作とか型物試作とも言います。基板や機構部品を型メインで作る試作。実際に組み立てます。モデル名やロゴなどのシールは貼りません。色味がおかしいこともあります。数量はそこそこ。信頼性試験もメインはこの試作で。基本的に部品メーカーの量産品を使用。設計者以外にも品証、企画や営業、製造部門など、各関連部署に配られます。
3.PVT
量産試作。プリプロとも言います。量産を意識して実際の製造ラインで行う試作。ほぼ量産と考えて差し支えありません。多分。工場の量産ラインを使って実際の量産前提で進める試作になります。
で、ズレが生じるのはEVTの時に発生します。大体30台作るとしても、基板は2,3週間でできますが、メカ部品はプラスチックの塊を削り出すので、切削では(予算内で)そんなに早く大量に作れません。1週間で数個。複雑な形状なら1ヶ月かかることもあるので、どうしても数量や期間がズレてしまいます。
EVTの時は基板はあるけどメカ部品がない状況になりますので、電気屋とソフト屋さんはバラックと呼ばれる基板だけ(もちろん、スイッチとか電源とかハーネスをつなぐ)で設計開発評価を行います。まぁ、電気屋としてはガワが無いほうがやりやすいですが。
EVTでのレビューでOKがでたらDVTフェーズに入ります。ここでズレを吸収します。DVTイベントの日程が決まっていますので、メカ部品は金型や部品成形のLTを考慮してイベント3ヶ月前に、電気は生板作成部品実装を考慮してイベント2ヶ月ほど前に設計を完了させます。
EVTとの違いは、
・型を使用する。
・構造設計で決めたように基板やハーネスなどを配置する。
など、量産を意識した試作機を作ります。
DVTを使って各種試験やプロモ、製造ラインの確認を行います。
DVTのレビューでOKがでたらPVTフェーズに移ります。
PVTでは製造ラインで実際に組み立てを行う人が行います。ここでは製造しやすさや設備も最終調整だけ行うことが理想です。
晴れてOKになれば量産、量産品の問題や歩留まりが問題なければ晴れて出荷お疲れ様です打ち上げしましょーの流れになります。
次回は各種試験、評価でしょうか。製品の善し悪しが決まってくるところです。タイマーを仕込んだ覚えはありませんが、似たようなことはやらかしたことがあります。書ければ書く。