【メモ】ベルセルクについて
ガッツにとっては、これでよかったのかもしれない。
体は満身創痍(色覚・味覚の障害、視野狭窄、過酷なストレスで白髪化)だし、このまま進むのであればかつての親友と刃を交えることになる。
リッケルトだからこそ決別はビンタで済んだけど、蝕の直接的な当事者であるガッツはそうもいかない。別れですら決闘だったんだから。
つまりこのまま進むという事は、フィジカル・メンタル双方の限界を迎えることを意味する。そして引き換えに何かを失う事はあっても、得るものは恐らくない。
実のところ、グリフィスを討つ事でガッツ自身の心の中がスッキリするという保証もない。あくまであの夜のケリがつくだけに過ぎず、元であっても親友を手にかけるという時点で、モヤモヤとしたものは必ず残る。
それに対して現状はどうなのか、愛するキャスカは(課題はあるものの)意識を取り戻し、安住の地も得ることが出来た。ガッツにとってこれ以上の贅沢は無いと思える状況なのではないか。
「ケリをつける」と言えば一見見栄え良く進むことはできるけれど、それは滅びの道でしかない。因果が思わぬ結果を齎すかもしれないけれど、ガッツ自身が道を選択する時点で、その結果を予想し望んで進む事は恐らく不可能に近い。
そう、ガッツ自身の事を考えるならば、正直なところあそこに留まった方がいい。しかし物語(=因果)はそんな「結婚したんで引退します」みたいなヌルい話は決して許さないように思う。
ガッツの不器用ぶりからしても、留まる選択への抵抗があるのは間違いない。
だからこそ思う。ガッツにとっては、これでよかったのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?