
工務店が存続する方法/【一言で表現すれば「顧客の創造」】
こんにちは、工務店向けのビジネス情報を発信している板垣です。
本日は、ピーター・ドラッカーの提唱する「企業の目的は利益ではなく、顧客の創造である」という考え方を軸に、工務店が持続的に成長するためにはどのような取り組みをすればよいのかを、分かりやすく解説したいと思います。企業が存続・成長するうえで「顧客の創造」はいかに重要か、ぜひ一緒に確認していきましょう。
1.顧客の創造とは
ドラッカーによれば、企業が存続・成長していくためには、「顧客の潜在的および顕在的な欲求を的確に捉え、それに応える付加価値を提供すること」が最も大切です。
利益はあくまで結果であり、その源泉は顧客にあります。顧客が増えることで自然と売上や利益が伴い、持続的な成長へとつながるのです。
1-1. マーケティング視点の重要性
企業が市場で成功するためには、製品やサービスを「ただ提供するだけ」では足りません。顧客のニーズや価値観を深く理解し、市場の動向を見極めるマーケティングの視点が不可欠です。
顧客が気づいていない潜在ニーズを先回りして満たすことが、競合と差別化するための大きな武器になります。特に情報化社会では、基本的なニーズに対応できる企業が増えているため、「独自の価値」をいかに打ち出せるかが企業の存亡を左右します。
1-2. 顧客の価値創造
ドラッカーの考え方では、企業が提供すべきものは「商品やサービス」より先に「顧客への価値」です。
顧客の期待を超える付加価値を提供することで、顧客満足度や信頼感が高まり、企業の競争優位性が強化されます。結果的に売上や利益率も上がるため、企業の持続的な成長につながります。
1-3. イノベーションと価値創造の連鎖
市場が刻々と変化するなかで、企業は常にイノベーションを絶やさない姿勢が必要です。
新しい技術や仕組みを取り入れ、顧客に「まだ形になっていない欲求」まで先取りして提案することで、新たな市場を創出する可能性が開けます。単なる現状維持に陥ることなく、絶えず未来を見据えた成長機会を模索することが、企業の活力を生み出す原動力です。
2.工務店の「顧客の創造」
工務店の存続においては、「顧客への対応」と「競合業者への対応」の両面から戦略を立てる必要があります。これをドラッカーの「顧客の創造」に当てはめると、
1.マーケティングの視点(=顧客側の視点)
2.顧客の価値創造(=顧客側の価値)
3.イノベーションの重要性(=革新的な差別化)
の3つがポイントになります。
つまり、一言でまとめるならば「顧客側が求める価値を、革新的な方法で創造する」ことが工務店にとっての鍵となるわけです。
2-1.顧客側の視点
企業側(工務店側)の視点と、顧客側の視点では、実は重視するポイントや優先順位が異なります。
▼ 工務店側の視点
・企業戦略が中心:提供する商品やサービスの差別化、収益性、ブランド戦略などを考慮。
・ビジネスとしての成果:多くの顧客に対応するため、全体最適でサービスを検討。
▼ 顧客側の視点
・現実的な課題や要望:予算や間取り、アフターサポートなど個別で具体的なメリットを重視。
・個別的な体験価値:実際に住んだ後の使い勝手やサポートの質など、生活に密着した安心感。
・機能と情緒の両面:性能だけでなく安心感やブランディング、口コミなどの心理面も重視。
同じ“顧客メリット”を掲げていても、工務店が考える理想のメリットと、顧客が現実に求めるメリットは異なる場合があります。
ここをしっかりと埋めるために、徹底的に「顧客側の視点」を取り入れることが重要です。
2-2.顧客側の価値
実際のところ、どの工務店も「顧客の利益」を大切にしていると謳っています。しかし、「本当に顧客が望む利益」にまで丁寧に対応できている企業は案外少ないのが現状です。
たとえば、「地震に強い住宅」「暖冷房の効率が良い住宅」「デザイン重視の住宅」「使い勝手の良い間取り」など、顧客側の優先順位は千差万別です。
地震に強い家を考えている方にデザインを押し出しても響きにくく、逆にデザイン重視の顧客側に耐震性ばかりアピールしても関心は得られません。
このようにすれ違いが起こる原因は、顧客の声や価値観、要望への理解と対応が不十分だからです。
顧客側の価値を最優先しようと掲げていても、実際には企業側のこだわりやウリを前面に出してしまい、顧客側の真の要望とずれてしまうことがあります。
だからこそ、「顧客側の価値」を基軸に企業活動を組み立てる姿勢が大切なのです。
2-3.革新的な差別化
工務店が「革新的な差別化」を続けることは確かに難しいです。どんな技術やサービスで差別化しても、やがて他社に追随されるのが常だからです。
そこで重要になるのは、従来の家づくりの常識を超えた付加価値をいかに提供できるか、という視点です。
単なる模倣ではなく、常に新しいアイデアや顧客体験を創り出せる工務店こそが、地域から信頼され、長期的な成功を収める可能性が高いと言えるでしょう。
3.当方の提案
多くの工務店は、技術力やサービス品質の向上を図りながら差別化しようとしています。この姿勢自体は大切ですが、一方で「企業側の視点」に偏ってしまう場合もあるようです。
実際のアンケートでは、建築主の方々が工務店に求めている主な魅力は、
1.親身で柔軟な対応
2.予算内で理想的な家を建てられる柔軟性
3.顧客要望に合った提案力
といった点が上位に挙げられています。
(※【建築主が、本当に探し求めている工務店の魅力】より)
この結果から考えますと、「建築主のための勉強会」を開催するのは非常に理にかなった方法です。
なぜなら、顧客側にすれば「住まいづくりを学ぶ」ことができ、工務店側にすれば「顧客に出会える。顧客と時間をかけて営業ができる。」からです。
工務店側の「勉強会」を開設するメリットは
1.いつでも気軽に始められる
2.時間をかけて顧客と話し合うことで信頼関係を深められる
3.費用や手間が比較的少ない
尚、当方でご提案している勉強会には、次のような成果が期待できます。
1.「集客力」が高まる → 計画的に見込み客を獲得できる
2.「営業力」が強化される → 勉強会で関係性を築き、離脱率を抑えられる
3.「価格競争」をしない → 他社との安売り合戦に巻き込まれず利益率を確保できる
4.まとめ
・企業の目的は利益そのものではなく「顧客の創造」であるというドラッカーの考え方は、工務店にも当てはまります。
・顧客の創造は「1.顧客側の視点 2.顧客側の価値 3.革新的な差別化」がポイント。
・建築主のための勉強会は、顧客の創造を実現する手段として有効です。
いかがでしたでしょうか。
工務店が継続的に発展していくためには、顧客の声を聞き、ニーズを深掘りし、そこに独自の価値や差別化を創造し続けることが欠かせません。ぜひこの考え方を参考に、自社の戦略や取り組みを振り返ってみてください。何かヒントになれば幸いです。