ジュニアサッカーチームが消滅した話
もしかするとよくある話なのかもしれませんが今回小学5年生の私の子供が所属するクラブチームが消滅した話をしたいと思います。
なぜ、そんな話をしたいのか。
それは私の子供たち、二人おり二人ともジュニアサッカー選手ですが、のサッカー経験を通して見える今の日本ジュニアサッカーの現状について気になることがあり筆を取ることにしました。
今回消滅したチームは十数年の歴史があり、聞いたことがあるというレベルではありますがそれなりに有名なチームです。
また、学年や代によって異なりますが大体一学年で1チームは組め、人数が多い代では2チーム出しができるくらい人数もいるチームでした。
つまり、少なくとも人数が足りなくなりチームが消滅したわけではないということです。
さらに私の子供の一つ上の代は小規模なフットサルの一大会ではありますが全国優勝しています。また、私の子供がいる5年生の代は強豪チームと互角に戦えるくらいの力を付け出しており、これからの新人戦(ジュニアサッカーでは5年生の11月くらいから始まります。)でいい成績が残せるのではないかと言われているチームでもありました。
そんな中突然チームが解散されたのです。なぜそんなことが起きたのか。
発端はある親たちの配慮のない、不用意な言動でした。
ジュニアサッカーの世界ではよく聞く話ですが、親の熱意が強すぎてコーチの指導方針、チーム運営方針に必要以上に口を出す親が非常に多いです。
そして、そのような熱心な親御さんの対処に困っているクラブチーム関係者も多いではないかと思いますが御多分に洩れず私の子供が所属するチームでも毎年同様のことが起きていたのですが、今回はそれが行き過ぎてしまいコーチがチームを解散させることを決断されたのです。
それを引き起こした親は私の子供の代ではありませんし、そのため私もその場にいなかったため詳細は分かりませんが、その後その場にいたコーチやサブコーチ、中立的な立場の親御さん達から聞いた話を総合すると下記のようなことが起きたようです。
一部の親御さんたちが集団でコーチを糾弾
チーム練習が終わった時間、おそらく22時くらいから24時過ぎまで集団でコーチを囲み、コーチの指導法について糾弾、さらには子供たちの中で起きた衝突はコーチの不適切な指導法とし、その衝突の発端となっている子をコーチ自身の手により退団させるように迫ったそうです。
指摘されたコーチの指導法については、私も練習や試合観戦の中で自らの目で見てきましたが、個人の捉え方に寄るところが多く、仮に多少言葉が荒くなったりする場面があったとしてもその前のその選手の行動、試合の中でもプレイなども加味すると私個人的にはその指導目的が本人を奮起させるためであり、所謂パワハラやモラハラに該当するようなものでは到底ないと感じていたため、今回の一部の親が指摘した内容を持ってコーチを糾弾したことには大きな違和感を感じました。
また、他の親御さんたちも大半が私と同じの考えであり、誰一人としてコーチの言動をパワハラ・モラハラなどとは捉えておらず、逆に他のチームのコーチではなかなか見られないくらい自分のプライベートな時間も割きながら、個別に子供達を見てくれるところがあり、感謝しているくらいでした。
そんなコーチですが、上記一件の翌日にチーム全体にチームをたたむことを伝えるレターを出されました。
私はそれを受け取った日にすぐにコーチに会いに行き、事情をお聞きしましたが、特定の方の非難にならないよう、子供たちへの影響を最小化するために慎重に言葉を選び、間接的に何が起きたかを教えてくださりました。また、内容がどうあれ最終的にはご自身のコーチとして力不足という理由でチーム解散を選択した形を取られました。
そのため私のように詳細を知らない多数の親御さんたちからするとコーチが自らの指導方法に問題があるとしチームを解散したように見えており、コーチへの不満だけが残る形となってしまいました。
問題の構図
もちろん、コーチを糾弾した親の言い分もあり、それをあえて代弁するのであればそれまでのチームの不適切な指導法ということなのだと思いますがここでこのような事態となった根本原因を探るために今回の構図を次の順に見ていきたいと思います。
①コーチの不適切な指導法(ごく一部の親御さん曰く)
↓
②一部の選手の間で衝突が発生
↓
③言われた方の選手が自分の親に報告
↓
④その親御さんがコーチの指導法を糾弾(該当選手の退団を要求)
↓
⑤コーチがチーム全体解散を決意
では、一つ一つ見ていきましょう。
①「コーチの不適切な指導法」について
上述したように私も他の大半の親御さんも不適切な指導があったとは思っていませんが、仮にそれがあったとしましょう。
そして、さらにチームの大半の親が不適切な指導と思っており、加えてチーム関係者ではない第三者からみても明らかに行き過ぎた指導が行われていたという判断があれば別ですが、ここで明確にすべきは不適切な指導があったと感じているのは全体の数%の親の意見ということです。
また、実態としては不適切として一部の親御さんがコーチを糾弾した指導は実は大変の子供たちが同様の指導を受けており、何もコーチを糾弾した親御さんたちの子供たちだけではないという事実もあります。
つまり、今回の一件を不適切と捉えるか、適切と捉えるかは捉え方によるところがあまりに大きく、事実として大半の親御さんは不適切とは思っていないということです。
さらに言えばクラブチームへの入団は強制ではなく、事前にコーチの指導法、チーム運営の方法などを理解した上で自分で選んで入団しているわけですから、入団する前に指導法等については理解していたはずです。
仮に入団時にはわからなかったとしても、それを許容できるかどうかを子供と親で判断し、許容できないのであれば退団も自由な訳ですから自ら退団すれば良いのだと思います。
②「一部の選手の間で衝突が発生」について
仮にコーチの指導法が適切でなく選手間で衝突が起きたとしても選手間の衝突は所詮子供たちの間のことです。
コーチにこうしろああしろと言われたとしても高学年にもなれば個々の選手にも自分で判断する力はあるはずですし、一サッカー選手として、いや一人間としてそれをコーチが求めていることに関して個人的には全く違和感を感じず、逆に育成の手法として適切だと感じます。
また、ジュニアサッカーの世界に限らずですが、共通の目標があったとしてもその達成方法に関してチーム内で衝突が発生することはよくあることです。
そのような衝突が発生した時、本来はその事象についてその当事者がきちんと話し合い、妥協点や共通解を探す努力をすべきだと思いますし、それが大人としての姿勢だとも思います。
子供達の間で起きたことを一旦おいておき、一部の親御さんがコーチを糾弾したところだけを見たとしても、良い大人が話し合いの姿勢を示さず、相手の意見を聞く姿勢も見せず、集団で一方的に要求だけする姿勢は選手間の衝突を選手同士がきちんと話し合い、処理できない子供達とダブっているようにも見えます。
③「言われた方の選手が親に報告」について
しかし、今回の一件ではその子は自分で解決できず親に報告しました。
まだ発展途上の子供が自分で解決できない問題を親に相談することは自然なことですのでそれは否定されるべきではないと思いますが、このように子供が相談してきたときに本来親が取るべき言動としてどのようなものなのでしょうか。
選択肢1:子供に自分で解決するように伝える
選択肢2:親が解決のために動く
選択肢としては大きく上記の2つしかないと思いますがここで重要なことは子供たちは先に述べたように育成年代であり、ジュニアサッカーの世界ではサッカーの技術やサッカーIQの育成に加えて、いやそれ以上に心の成長、自分で考える力など人間力や集団の中での生きていく力の醸成が必要であると多くの指導者が考えており、言われたことにただ従うのではなく「自分で判断し、自分で問題解決する」力もその一部なんだと思います。
私も二人の子供を育てる中で気にしていることはまさにそこであり、とりわけ子供が自分自身で問題を解決するための力をどのように身につけさせるかをいつも考えていますし、それを支えるために親がどうあるべきかいつも考えながら言動を選んでいます。
自分で考える力、問題を解決する力、はサッカーの試合の例に挙げれば、一人一人の選手が刻々と変わる戦況、自分で考え、瞬間瞬間で自分が取るべき行動を決めていくことであり、それができないと試合に全くついていけなくなりますし、そのような選手ばかりだと全く試合に勝てなくなります。
自分で考え、判断し、行動する力を身に着けるためには自分で問題解決をする機会が必要であり、その経験そのものが自分で考え、行動する鍛錬になっているのだと私は思います。
さらに言えば自分で考え、行動したことだからこそ結果に対してもっと拘るようになり、結果から学ぶことの質と量が格段に上がるのだと思います。
つまり、選択肢2:親が解決のために動く、を選んで親御さんは自分の子供が成長する機会を奪ったとも言えると思います。
④「コーチの指導法を糾弾(該当選手の退団を要求)」について
最終的にその親がとった行動は上記2ですが、加えてその中身がコーチの糾弾であり、それだけではなくあろうことかその場にいなかった衝突相手の子供の退団要求もしたのです。
また、事実かどうかは定かではないですが、衝突相手の子供の退団要求をする話の中でその子を退団させないとその親たちで衝突相手の子供を追い詰め、自分たちも全員退団するというような会話がなされたとも聞いており、これがもし真実だとすると限りなく脅迫に近い行為なのではないかとも感じてしまいます。
さらにその話し合いが行われた時間帯が上述の通り22時−24時という非常識な時間帯であることも考えると良識ある大人の行動とは到底思えません。
これから社会に出ていく子供たちの見本たる大人が自分自身の言動を顧みず問題を他人のせいにし、特定個人を陰で攻撃した上で、その人を排斥するようにコーチを脅した訳です。
個人的には社会責任があるいい大人がすべきことではないと思いますし、こういう方々をみて育つ子供たちが心配でなりません。
⑤「コーチがチーム解散を決断」について
ここまでお読みいただいた皆さんの中にはいろいろな背景はあるかもしれないけどコーチが辞めなければよかったのではないか?と思われる方もおられると思います。
さらに言えば新人生の直前に一部の親から非難をされたとはいえこのタイミングで辞めるのは無責任だという方もおられるかもしれません。
はい、その通りだと思います。
誰がみてもコーチが辞めるという判断をしたことが直接的な原因であり子供を預かるコーチとして無責任という考え方もあろうかと思います。
もっと言えばチーム解散の直接的要因となった親との話し合いの中でなぜ親を説得できなかったのか?なぜそこで引いてしまったのか?と思われる方もおられるかもしれません。
ここで少しだけコーチのことについて触れたいと思います。
私は色々なジュニアサッカーのチームを対戦相手や入団体験を通して見てきました。そして、それらの経験を通してジュニアサッカーの運営方針、コーチの指導法などについてもいろいろみてきましたがこのチームのコーチは、特に月謝や練習日、試合日数、試合時の子供の送迎、子供が怪我をした時のサポート、個別指導の量と質、これらの点において、他のチームでは考えられないくらいご尽力くださっていたと思います。
週に3回専用グランドで2時間の練習、出来る限り試合経験を積ませるため土日はほぼ全て試合が組まれ、試合時の子供の送迎はコーチのバン、それで月謝は他のチームの半分程度です。
また、子供が怪我をすれば定評のあるスポーツ治療の医院を紹介してくださり、事前にコーチ自ら連絡をしてくれ、怪我した時の状況などを伝えてくださります。
個別指導についてはサッカーの技術を手取り足取り教えるわけではないのですが子供自身がやる気を出すようにそれぞれの子供の性格に合わせ微妙に指導方法、接し方を変えてくださります。
また、時間の長さや公式戦かどうかで多少異なっていれど、できる限り平等に試合経験をさせるため敢えて目の前の勝利を捨てて全員起用をしてくれていました。
このことについては「せっかく試合をするのであれば勝たせてあげたい」「成功体験のためには勝利が大事」など親の中でも賛否ありましたが、最終的には私の子供の代の親も子供たちもそれを受け入れ、みんなで強くなるために頑張り、結果も出始めていました。
この件に関して実はこんな逸話があります。
J下部チームなどの強豪が集まるとある大会に出場した子供達が順当に勝ち上がり、この試合に勝てば優勝というところまで来ました。ところがその大事な試合の途中で主力の選手が交代したのです。そして、その結果その試合は逆転負けし、2位という結果で終わりました。
外から見ている親たちは何が起きたんだ?という感じでしたが、戻ってきた子供達の表情を見ると皆晴れやかな顔をしていました。
何が起きたのか聞いてみたところ、その最後の試合まで主力中心の固定メンバーで勝ち上がったのですがそのため主力ではない一部の選手に全く出場機会がなかったのです。
それを知っていた子供たちは自ら話し合い、最後の試合では結果はどうあれ出場機会がなかった子供達を出そうと決め、それを実践したそうです。
このコーチの指導法により私の子供の代のチームはこんなにいいチームに育ったのです。
つまり何が言いたいかと言えばそれだけ子供達のことを考え、プレイベートも犠牲にし、チームのために、子供達一人一人のために尽力下さっている方がこのチームのコーチなのです。
これは間接的に聞いたことですがコーチが辞めるという決断をされた直接的な原因は衝突の原因として槍玉に上がった子供を「退団させろ、させなければ追い詰める」といったことであり、コーチはその子を守るために身を引いたとのことでした。
そんなコーチを誰が責められようか。
ジュニアサッカーの実情
冒頭に少し記載しましたが実はこのような親からのクレームは毎年のようにあったとコーチから常々お聞いていました。
さらに言えば今回コーチと接する中で分かったことですが、ジュニアサッカーのコーチという仕事の過酷な現状も知りました。
具体的には、
・実入りが少ない割に拘束時間は長いこと。
・一人でチーム運営から経営まで実施されている方も多く、かなり孤独な仕事であること
・しかしそれでもジュニアサッカーの育成に携わろうという気持ちを持つ背景には子供達の育成に対する非常に熱い気持ちがあること
などなど。。。
全てのコーチがそうではないのはいうまでもないですが、ジュニアサッカーのコーチたちは少なからず同じような状況にあるのだと思います。
学校の先生もそうですがサッカーのコーチは、自分自身のプライベートよりこれから社会で活躍する子供達を支えることを優先して一生懸命頑張っている方々であり、その方々に子供達の親として感謝こそせよ、一方的に非難することが本当に正しいのかということです。
もっと言えば善意で頑張ってくださっている方々に対して冷や水をかけるようなことをしてはならないということです。
一生懸命頑張っているコーチの努力を認めず、賞賛せず、悪い点ばかりを指摘する、そんな姿勢が前途有望なこれからのコーチの心を折ってしまったのだと思います。
同時にもう一つ言いたいことはコーチも一人の人間であるということです。人間はそんなに強くはありません。また、我々と同じように家族もいれば、これからの長い人生に対する夢もあるでしょう。
社会を構成するそれぞれの人がお互いを認め合い、支え合うことが重要だと思うのですが、それがジュニアサッカーの世界におけるコーチと親の関係の間で壊れ出している気がしてなりません。
現代社会の縮図
今回のこの一件により、本当に少数派の一部の方の意見によりチームがなくなり、全所属選手が一から新しいチーム探しをしなければならなくなりました。
本来であれば新人戦に向けてサッカーに集中させてあげたい時に新しいチーうを探し、問い合わせを行い、慣れない環境で体験練習・試合に参加し、、、、親も膨大な時間をかけ、それをサポートしました。それを仕事をしながらやっている親たちもへとへとです。
それでも今回起きたことをできる限りポジティブに捉えるため、「新しい環境・新しい指導者の下でサッカーをする機会を得られ、そのこと自体が子供を強くした」と考えるようにしていますが、それでも今回の件は、一部の思慮にかける大人の配慮のない言動によりその他大勢の方に迷惑をかけた典型的なケースだと思えてなりません。
また、子供の問題に口を出す親の存在という意味では社会問題にもなっている教育現場でのモンスターペアレンツも発端は同じものだと感じ、まるで社会の縮図を見ているように個人的には感じます。
親の過干渉
子供を二人もつ父として学校やジュニアサッカーの現場の中で他のご家庭の話なども直接的、間接的に伺う機会があるのですが現代社会は親の過干渉が過剰なくらいに、至る所で起きている気がし、モンスターペアレンツもそうですが、引きこもりなどいろいろな社会問題の要因になっている気がしてなりません。
これは高度成長時代に親にあまり構われずに育った現在の親世代が自分と同じ寂しい思いを自分の子供たちにはさせたくないというアンチテーゼなのかもしれませんが、それが過剰に行われると子供自身の問題解決能力の向上を阻害するだけでなく、当事者ではない親が出てくることで今回の私の子供が所属していたクラブチームが解散したように間違った方向に対応が進むことが多々あるように感じます。
逆に言えば、今回の一件において親たちが子供達の間のことに干渉せず、子供達の成長のためにも「子供達の間で解決しなさい」という一貫したスタンスをとってくれていれば、コーチが辞めることはなかったでしょうし、事実私の子供世代でも同じような衝突は四六時中起きていましたが、それぞれの親が口を出さず、子供達で解決するまでドーンと構えており、その結果子供達が時間の経過とともにどんどん問題を解決していっています。
さらに、そのことにより自然とチーム内で一定の秩序が生まれだし、その結果、先の例をあげたようなチームの結束を固めることにも貢献していると思います。
もちろん、私の子供の代の親の中にも時よりそこに口を出す方もおられましたが、そんな時でも他の親は冷静に子供達で解決させるべきという一貫した姿勢を貫きますので、大事になることはほぼありませんし、時間の経過とともに正しい方向に流れていく形になっています。
あくまでもたらればの話ですが、発端となった親御さんが子供から話を聞いた時に一歩下がり、子供自身に問題解決するように促していたら、チームが解散するようなことにはなっていないと個人的には思います。
過干渉を引き起こす親の間違った愛情表現
親の過干渉は良い言い方をすれば子供への愛情の強さの裏返しなのかもしれませんが、それは間違った愛情ではないかと個人的には思います。
高度成長期に親は稼ぐことに必死で子供に時間を掛けられなかった、と言われていますが、私の知る限りはそういう家庭ばかりではないと思いますし、結局どの時代も「無関心」も「過干渉」も中身は違えど親の愛情の示し方の問題なのだと思います。
「無関心」は子供が自分で考えざるを得なくなるため子供は育つのかもしれませんが人への思いやりや愛情の示し方が分からなくなると言われています。
「過干渉」は上記の通り子供の成長機会を奪いため自分で何もできない子供になると同時に自分のことを顧みず起きたことを人にせいにする子になると言われています。
結局愛情表現とはゼロイチではなく、その場その場で適切な接し方を考え、実行していくことがベースなのだと思います。
そのために日頃から自分の子供をよく見て、表面化する事象から子供の心の中で何が起きているか推測し、その上で言動を選択することが重要なのだと思います。
そして、そのこと自体が実は最高の愛情表現なのだと私は思います。
落ち込んでいる時は励ます。
調子に乗っている時は釘を刺す。
成功した時には一緒に喜ぶ。
でも、もっと高い世界を望んでいるのであれば目の前の成功に一喜一憂しないことを敢えていうこともあるでしょう。
何か自分に不利益が起きた時に人のせいにせず、自分でやれることはなかったかを先に考えさせることも非常に重要だと思います。
こういうことはおそらく親にしかできないことであり、繰り返しになりますがこれこそが親の最大の仕事でもあり、愛情表現なのだと私は感じており、これこそが今回の一件を引き起こした親たちにお伝えしたいことです。
正しい愛情表現
私は所詮子供としての経験が一度しかなく、二人の子供の子育て中の一親でしかないですが、そんな私が子供への正しい愛情表現として次のようなことを意識しています。
-向き合う
とにかく真剣に本人に向き合うこと。よく問いかけ、話を聞き、観察します。起きた事象とその結果子供にどのような変化が起きたか、表情・言動をよく観察します。
-一緒に考える
子供と大人の最も大きな違いは経験の少なさからくる知識の量です。
しかし、だからと言って答えを与えては本人が「考える」能力を育てることができなくなりますし、そもそも親が答えを持っているとも限りません。
だからこそ一緒に考えることが重要なのだと思います。
-子供を信じて任せる
上記で子供と一緒に考えた上で子供が決めたこと、選んだことは否定も肯定もせず、何も言わずに信じてやらせることが重要だと思います。「信じて任せる」です。その結果は子供は失敗するかもしれない、遠回りするかもしれない、嫌な思いをするかもしれない。でもそのこと自体が子供の成長の源泉である経験なのです。
子供の言っていることを全て鵜呑みにして、それを踏まえ親が子供の代わりに問題解決をしてあげることは愛情表現でもなんでもなく、子供の成長機会を奪っているだけだと思います。
また、それは愛情表現という名目を借りた単なる親の自己満足だと思います。
最後に
今回の一件を敢えて共有した理由は、直接的には現在のジュニアサッカーにおけるコーチと親の関係性の現状についてお伝えしたかったということなのですが、同時にその背景にあるジュニアサッカーのコーチの厳しい実情を皆さんに知ってもらいたかったこと、さらには今回の一件も含め社会で起きている様々な問題の主原因の一つとして「親の過干渉」が大きな課題ではないかという課題提起です。
人は自分が見聞きしたこと、教わったことしか実践できないと言いますが親としての在り方も同じだと私は思います。
今の親世代がその親から学んだこと+自分で見聞きしたことしか今の世代はできないのです。また、学校でも塾でも親としての在り方は誰も教えてくれません。もっと言えば責任ある大人としてのあり方についても親以外の誰も教えてくれません。
つまり起点は親ですから今回のような一件を起こした親御さんたちが悪いわけではなくもしかするとその親御さんが悪いのかもしれませんが、だからと言って今の親世代がそのままでいいわけがなく、起きた事象に対して人のせいにせず自分自身でどうあるべきを「考え、行動する」ことが大切なのだと思います。
つまり親自身が人を責めず、人のせいにせず、自分自身で考え、行動し、問題を解決すべきであることを自らの行動を持って示していくしかないのだと思います。
今回の一件はそういったことの大切さを再確認させてくれましたし、子供達にとってみれば新しい挑戦の場が得られたこと、間接的にではありますがそういう大人を反面教師としてみることで学んだこともあり、いろいろな意味で成長したと思いますが、皆仲がよく、上り調子だったあのメンバーとチームとして2度とサッカーができないと思うと子供たちが不憫でなりません。
また、いまだに移籍先のチームが決まらない子供達もいます。
そう、最終的に損をしたのは子供達なのです。一部の大人の思慮不足、配慮不足、不用意な行動のため子供が損をするような社会であってはならないとも強く感じます。
最後にもし今回の私の子供のように突然チームが解散してしまった場合どうすれば良いか参考までに共有したいと思います。
・冷静にその事実を受け止め、すぐに新しいチームを探し、問い合わせを行い、体験入団すること。
←得てして解散の原因等を追求しがちですが、チーム解散はある意味チームの代表者の権利ですので覆ることはありません。そのため空白期間を作らないためにも出来る限り早めに次に向けて動くことをお勧めいたします。
・次のチーム選びの選択肢を広げすぎないこと。
←完璧なジュニアサッカーチームは存在せず、必ず一長一短があります。また、よく言われることですが選択肢が多すぎると人は決められないものです。さらに究極的にはサッカーの上達はチーム次第ではなく選手次第です。ですので体験するチームを2-3に絞り、その中で期限を決めて早めに子供に選ばせることをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
同じようにジュニアサッカー界におられる皆さんの何かの参考になれば幸いです。