fiction.1
君はいつも半端者だ。ひねくれている。そんな君が素直にまっすぐ笑った笑顔が好きだった。その笑顔を好きだと言う事実。故に君が好きだと言う事実。そこまでが確かなら世間大抵ではギャップとでも言うものだろうか、そこをはじめに愛した僕は本来の君を愛せるだろうか。
なんて堅苦しく考えれば考えるほど客観的に自分を見てしまってこの愛に疑心暗鬼になってしまう。君の変わった一面を好きな僕と、ありのままの君を好きな僕とふたりいるきになってしまう。今はどっちだろうか。
半開きのカーテン。
窓の外から聞こえる洗濯機の音。
薄暗い部屋。
錆びたカッター。
ゴミ箱の消毒液。
生臭い血の匂い。
自分を鏡で見つめている。明るい部屋の光が反射して、よく顔が見えない。
寝癖がどうにも直せない。着慣れた制服と見慣れない髪型。ズボンはいつもちょっとぶかぶか。
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