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「九州電力川内原子力発電所の20年延長運転の是非を問う県民投票条例制定」を審議した臨時議会を終えて

令和5年10月臨時会が10月23日(月)から10月26日(木)までの4日間の日程で開かれました。

まずは、この最終本会議で私が行った賛成討論(県民投票をすべきである旨)をご覧ください。この賛成討論は地元の複数のテレビ局や地元紙でも取り上げられましたが、どうしても一部分だけを切り取られてしまいます。これに関しては、ぜひ全体を見ていただきたい。

動画は・・・という方のために、この討論の原稿を掲載します。ただ、動画を見ていただければ分かる通り、私はこれを読まずにしゃべっているため、この通りではありませんが、概ねこういう内容です。

議案第101号及びその修正案に対し、賛成の立場から討論いたします。

この修正案は、本会議及び委員会において、当局の答弁があった条例の不備を修正してあります。
条例に不備があるから、賛成できない、それが各議員の判断理由とされることは、この4万6千人に対して、誠実であるとは言えない。
そう思い、私は今回の修正動議を提案し、県民連合の会派内で議論をし、この修正案を作成いたしました。

私は、3.11以降、日本国民の多くは、緩やかな脱原発の考えであろうと思っています。
「あなたは原発に賛成なのか、反対なのか」と問われても、多くの人は、自分が電気に依存して生活をしていることや、
地球温暖化やカーボンニュートラルのこと、そして電気代のこと、
いろいろなことを考え、即答できる人は少ないと思います。

私もその一人です。

そして、今回の県民投票条例の署名については、正直に申し上げますが、法定数には達しないだろうと思っておりました。
しかし、実際には法定数を大きく上回る4万6千筆余りの署名が集まりました。

同僚議員の皆さまもそうだと思いますが、私の友人・支援者にも、この原発については、いろいろな考えの方がいらっしゃいます。
その自分の肌感覚で感じていた県民の意識と、現実は異なっていた、すなわち、自分の認識が誤っていた。

我々議員はそれぞれの地域の代表として、地域の声を県政に届ける為に、今この場におります。
しかし、本当に地域の声を拾えていたのか、一部の声だけ、自分に都合のいいところだけを見ていなかったか、そのことを私は反省しております。

この住民発議の議案、46000筆の署名の取り扱いを判断するのは、我々議会であります。
知事の意見書はその一つの判断材料に過ぎません。
また、知事のマニフェストも関係ありません。
知事は意見書を付され、自らの考えを議場で述べられました。
それは、知事が、自らの政治信条によって判断されたことです。

我々議会も、知事の政治信条自体を評価するのではなく、この46000筆の署名の重みを感じ、また、155万県民に対し、私は、このように考えるから、この議案に賛成する、あるいは反対すると、議員一人一人が、自らの政治信条に従って語ることができるよう、主体的に判断しなければなりません。

今回の県民投票が成立したからといって、鹿児島県が直ちに反原発に向かうものではありません。
選択肢にわからないを加えたことで、わからないが一番多くなるのではないかと思っております。

いわゆる反原発の方々だけでは、この署名数は集まらないでしょう。反原発以外の方もこの署名に賛意を示した。
自分たちもこの原発という大きな問題に対し、意思表示をしたい。

私も、この問題に対し、県民の意識をより正しく把握をしたい。いや、県議会議員としてしなければならない。
その思いで、今回の修正案に賛成し、議員各位の同意を求めるものであります。

私の考えがお分かりいただけたでしょうか。

さて、今回の臨時議会の背景をあらためて。

九州電力の川内原子力発電所が、福島原発の事故により定められた原発運転の40年ルールを超え、さらに20年運転延長したいと、国の原子力規制委員会に令和4年に延長申請を出していました。

一方で、鹿児島県の塩田知事は、令和2年の知事選の際、自らのマニフェストに「1号機・2号機の20年延長については、必要に応じて県民の意向を把握するため、県民投票を実施します。」と記していました。

ところが、知事は「県原子力専門委員会の意見が集約されない場合に県民の意向を把握する手段として、最も適切と判断した場合に県民投票を実施する」との見解を示し、県原子力専門委員会の意見が集約されたとして、県民投票を行わないことを令和5年の5月に表明しました。

これに対し、住民が県民投票を求める署名運動を行い、46000筆余りの署名を集め、地方自治法に基づく直接請求により、県民投票条例案を提出したため、これを審議するため、臨時議会が開かれたわけです。

23日の初日は知事の意見をつけて議案が提出されました。意見書は否定的なニュアンスで書かれていました。全文引用します。

九州電力川内原子力発電所の20年延長運転の是非を問う県民投票条例案に対する意見書

 直接請求に係る条例案は,九州電力川内原子力発電所の運転期間延長の是非に関し,県民の意思を明らかにするため,県民による投票を行い,知事及び県議会はその結果を尊重し,県民の意思が忠実に反映されるよう努めなければならないというものである。
 このたび,九州電力川内原子力発電所の運転期間延長の是非に係る県民投票条例の制定が, 法律に定める必要な署名数を上回る県民の署名により請求されたことを重く受け止め,地方自治法の規定にのっとり,条例案について議会に付議するものである。
 付議に当たって,本条例案を検討した結果,以下のとおり意見を付けるものとする。

 原子力を含めたエネルギー政策については,国の第6次エネルギー基本計画において,安全性を前提とした上で,エネルギーの安定供給を第一とし,経済効率性の向上による低コストで のエネルギー供給を実現し,同時に,環境への適合を図ることとしており,原子力は,安全性の確保を大前提に,長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源 であるとされている。
 県においては,原発の立地県として,原子力発電所については,安全性の確保が最優先であると考えており,県民の生命と暮らしを守る観点から,川内原子力発電所に係る安全対策・防災対策の充実・強化に取り組んでいる。
 私のマニフェストに掲げた川内原発の運転期間延長に係る県民投票については,これまで, 専門家で構成する「鹿児島県原子力安全・避難計画等防災専門委員会」の意見が集約されない場合において,県民の意向を把握するために,他の手段より適切であると判断した場合が想定されると申し上げてきた。
 今回,同委員会から,運転期間延長に関する九州電力の取組は適正であるなどとの整理がなされた旨の報告を受け,同委員会の検証結果は集約されたものと受け止めている。
 こうしたことを踏まえ,私としては,マニフェストに基づく県民投票は実施しないこととした。
 また,同委員会において,今後の安全性の更なる向上のために留意すべき事項を県から原子力規制委員会及び九州電力に要請すべき事項として,意見書に取りまとめられた。
 県としては,これを踏まえ,要請書案を作成し,県民の意見も伺った上で,要請書を取りまとめ,原子力規制委員会及び九州電力に提出した。
 さらに,県民の生命と暮らしを守ることを基本に,原子力発電所の安全に万全を期していただきたいという観点から,要請書案に対する意見以外の意見も含む,寄せられた全ての意見を 要請書と併せて,原子力規制委員会及び九州電力に対して提出した。
 このように,川内原発の運転期間延長について,県として,これまで必要な対応を行ってきたと考えている。
 川内原発の運転期間延長認可申請については,今後,原子力規制委員会において判断されるものであるが,県の要請内容も踏まえ,国の責任において,安全性の確保を前提に,厳格な審査が行われているものと考える。 一方,川内原発の運転期間延長に関する県としての考え方を示すに当たっては,原子力規制委員会の審査内容及びその結果,県の要請に対する原子力規制委員会や九州電力の対応,県議 会での御論議の状況などを踏まえる必要がある。
 こうした中,今回提出された条例案について,第14条においては,投票の方式として,投票用紙の賛成欄又は反対欄に「○」の記号を記載するとしており,二者択一の方法により自らの 意思を表明することになること,また,第22条において,賛成又は反対の数で示された投票結果のみをもって,「知事及び議会はそれを尊重」し,「九州電力川内原子力発電所の20年延長 運転に関して,県民の意思が忠実に反映されるよう努めなければならない」とする内容となっ ている。
 しかしながら,これまでに,原子力発電所の運転に関する住民投票条例案が提出された5都県においては,原子力政策は国策であるので,国が責任をもって判断すべき,多様な意見が二者択一では反映できない,議会における多様な観点からの議論に大きな制約を与えかねない等の理由により,全て否決されている。
 私としては,マニフェストに基づく県民投票は実施しないとしたことなどを踏まえると,本条例案に基づく県民投票については,慎重に判断すべきであると考える。
 なお,その他,執行上の問題,規定すべき内容の不足,定義されていない文言等がある。

九州電力川内原子力発電所の20年延長運転の是非を問う県民投票条例案に対する意見書

知事は、「必要ない」と判断したものなので、このような内容になるのは当然でしょう。
ただ、この意見書を読んで、私は「条例に不備があるから、この条例案は反対」という判断を各県議にしてほしくない、そう思いました。

本会議が休憩に入った直後、私が属する県民連合という会派の中で、「条例の修正案を出そう」と提案したところ、「できることはやろう!」と全員が同意してくれましたので、私はすぐに修正案の作成作業に入りました。

そして、議会事務局に修正動議を出すと告げたところ、議員発議の議案修正は昭和63年以来、35年ぶりとの事(!)
レアケースなので、議会事務局もバタバタしはじめ、処理の流れを一緒に確認しながら進めて行きました。

この議案は総合政策建設委員会で審議することとされたため、委員会で修正案を出しましたが、委員長を除く10人中賛成2、反対7、棄権1で否決されました。

委員会で否決された時点で、本会議で成立する見込みは、ほぼ無くなったのですが、引き続き本会議に修正案を提出しました。
そしてその修正案も含めた議案に対しての賛成意見を述べたのが冒頭の動画になります。私は、可能性は低くても、各議員特に自民党県議団の議員にどうやったら賛成してもらえるのか、それだけを考えました。

終了後、複数の自民党県議から声をかけてもらいました。
私としては、できることは全力でやった臨時議会でしたが、結果として動かせなかったので、自分の力不足を痛感しました。

まだまだ精進します。



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