プロフェッショナル経営参謀 杉田浩章|経営ノート
フラット
経営参謀に必要なセンス
私は参謀になりたい。学生のころから、そう思っていた。なので、「参謀」と付く本を好みがちだ。この本も「参謀」という言葉に惹かれた。しかも、プロフェッショナルである。大好きな言葉が2つも入っているが、読後感はフラット。好き嫌いではない。
著者は「本書では、問題解決の手法を体系的に提示するわけではないし、参謀として成功するためのノウハウを紹介するわけでもない。」と冒頭に書いている。ただ個人的には、参謀として "こういうことに気を付けたらいいよ" というノウハウが詰まった書として最適だと思った。
参謀としてのセンスに必要な能力は、大きく7あるという。以下7能力。
「まだ見えていないものを見たい」という目
仮説を出し続ける力
シナリオプランニング的発想
はっとさせることへの意欲
オーナーシップ
人の心の動きを読む
変化を恐れない。宙ぶらりんな状態に耐えられる
以上7の能力が大分類で、それを細かく分けると32もの能力がある。とにかく参謀というのは難しいことを求められる、ということだ。特に精神力の部分は、自分に足りていない能力だったので読んでいてしんどかった。
結局必要な能力を(失礼ながら)サクッとまとめると、その精神力をもって、どれだけ好奇心を失わずに、当事者として前を見続けられるかだと捉えている。今の私には、このアンカンフォタブルな状況を受け止め、そこに身を置き続ける精神力が足りない。
このような「気づき」を与えてくれる本である。ありがたい。
正しい問いの設定
とにかく意思決定というのは、すごく難しいという話。
意思決定というのはすごく難しい。正解もなければ不正解もない。参謀にだって意思決定をしなければならない状況がある。ただ、参謀に求められていることは、自らの意思決定の正確さではなく「経営層に意思決定を迫ること」だ。言い換えると意思決定者を正しく動かす役割=参謀である。
参謀として完璧な意思決定をすることは難しくても、正しい問いの設定をする努力はできる。この正しい問いに関しては、荒川詔四「参謀の思考法」でも触れている。参謀による正しい問いの設定が、企業の意思決定の質を左右すると言っても過言ではない。
経営トップの意思決定に関与するという意味では、参謀の善し悪しが企業の意思決定に反映されることになる。責任重大すぎて、この本を読むと参謀になりたいという志が折れそうになる。
ただ、この本のよいところは「気づき」を与えてくれるところだ。参謀としてのセンスに必要な32の能力(小分類)の中にも、「これは私が得意だ」という能力があった。そうした強みを伸ばしていければ大丈夫、と今は楽観的に考えている。
私が得意なこととはズバリ、「12. 他人の頭を使うことがうまい。マイノリティの視点に敏感」である。自分の頭(脳力)が大したことないと知っていて、幼少期から周りから浮いていたマイノリティだからこそ備わったものだと思っている。強みを伸ばして、個性ある参謀になれたら本望だ。
Welcome difficult assignments. Progress lies in accomplishing difficult work.