月に一度のアイツがやってくる
私の仕事は週末になると小さな子供達が親と手を繋いで、ベビーカーに乗って遊びにくるような場所。
恐竜の赤ちゃんが産まれる時みたいな声が
仕事中ずっと響き渡っている。
走り回ったり、なにかの上によじ登ったり
「危ないよ」
「他のお友達にぶつかるから歩こうね」
そんなことを、一生言っている。
〝私ってこれをやりたくてこの仕事してるんだっけ?〟
小さい子が歩いてきて私に、
「お姉さん、あそこに水溜まりがあるよ」
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見ると水浸しの床で子供が足踏みしていた。
誰かが水筒の水でもこぼしたのだろう、
こぼしたなら、教えてくれてもいいのに。
のろりと立ち上がって、ダスターで床を拭いた。
拭きながら思う。
〝私ってこれをやりたくてこの仕事してるんだっけ?〟
今日は、なんだか、本当にやるせなくなった。
なにかが頭の中でプツンと音を立てて、
そして切れた。
びしょ濡れのダスターを手に思った。
〝違う。私がやりたいのはこれじゃない〟
帰り道、金延幸子の「青い魚」を聴きながら
これを書いている。
あぁ、今月もやってきた。
忘れていたアイツが。
全部どうでもよくなってしまう。
瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」で主人公がこの症状に悩まされる。
私は医師に診断されるほどではない
でも女子ならみんな、
同じ気持ちを味わったことがあるわけで
全部この“病”のせいではないではないとしても
こんなこと、なければない方がいいに決まってる。
でもわたしは今回もただアイツが過ぎ去るのを
ジッと耐えているだけ。