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【詩】うっかり幸せになる

2024年9月作.




そこはかとなく
値段とにらみ合いをした昨日
買い物かごの軽さ
世知辛いとだけ言うのは簡単で
私を切り売りするのはもっと単純で
補強材は深夜の横断歩道で青信号とともに
前転しながら消えていった
生き急ぐとは ああいうのを言う
毎日の表面を泳ぐのに長けてしまって
今日の奥底にある私だったもの
忘れがちだから八合わせてぎこちなく
お辞儀なんか
してしまう
こんにちは、あるいはこんばんは私
四つ入りのパンが三百円もしたのよ


まぁるいパンに(イングリッシュマフィンという
モツァレラチーズの上にアスパラを乗せて
気の向くままマヨネーズを落とし
それからオーブンでブンして
名も知らない鳥類が鳴いて飛んでいく快晴と
温度だけ忘れた秋風
寝たりない頭でも
自分なりに納得の朝(つまり、補強材がつく(感覚
うっかり幸せになる
今日の奥底の部屋は自然光にあふれ
珈琲に豆乳を落とし溶かして揺れる湯気
食卓
Lo-Fiミュージック あのチルなヴィンテージサウンド
いただきます




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