「お風呂で歌っている時です。」に感じた眩しさ。
僕の大好きなバンドMr.Childrenが、12/2に20枚目のアルバムとなる「SOUNDTRACKS」をリリースした。
そんなこともあって普段は滅多にメディアに出てこないミスチルが、最近はよくテレビに出てくれるのでファンとしては嬉しい限りなのだけど、その中でめちゃくちゃいい対談があった。
それがnews zeroでやってたミスチル桜井さんと嵐櫻井くんの対談。とにかく2人とも知的で、知性に溢れてて、お互いがお互いに敬意を抱きながら言葉のキャッチボールをしているのがわかった。普通こういう対談って、年齢的に後輩である嵐櫻井くんが質問して、先輩でありPRしたいミスチル桜井さんが話すみたいな構図になりがちなんだけど、決してそんなことなくお互いがちゃんと自分らしい球を投げてキャッチボールをしてるのがよかった。そこは櫻井くんのすごいところだと思う。例えば、櫻井くんの「後輩たちにいろいろなものを伝えたい(中略)と思う一方で、絶対に超えられない壁になっておきたい」っていうコメントにはグッとくるものがあった。
ただ、僕が今回一番いいなって思った部分はここ。
桜井さん:
(前略)考えて結局行き着くところは
俺好きでやってるんだよなぁって。そこだけは忘れずに。
櫻井くん:
好きでやっていると感じる瞬間ってどういうシチュエーションですか。
桜井さん:
お風呂で歌を歌っている時です。
あんな好きで歌っている時ないですよ。誰も聴いていないのに。
この「お風呂で歌を歌っている時です。」という桜井さんの答えを聞いた時、僕はとてもかっこいいと思った。そして同時に嬉しく思った。でも、なんでそう感じたのか、その理由がわからずにいた。
「自分が共感できるシチュエーションに桜井さんを近くに感じたから?」それとも「かっこつけてない素直な答えだったから?」うーん、なんか違うなぁ...とモヤモヤしていたんだけど、ようやくわかった。
"好き"を、自分以外の他の何にも、委ねてないからだって。
音楽で生きていけるのは、本当に一握りの人たちで、そこには競争があって、その競争を勝ち抜き、多くのファンを獲得して、桜井さんは日本を代表するアーティストになった。エクスタシーを感じる瞬間なんていくらでもあったと思う。それこそ「ライブでお客さんの笑顔が見れた時」とか「いい曲が書けた時」とか。
でも、桜井さんはそういった「何かしらの達成感を感じる時」ではなく「お風呂で歌を歌っている時」と答えた。
"好き"ってそういうもんでしょ?って言われたらそうなのかもしれないけど、あの質問にあのように返せる人ってそんなに多くないと思う。あの返答ができるほどの"好き"の純度が、僕には尊いものに思えてならなかった。もちろん、ずっと音楽の道で生きてきてそうは思えない時期もあったかもしれないけれど、厳しい世界の中で戦い続けてデビューから28年経った今もなお"好き"の根っこが、子どもでも共感できる「お風呂で歌を歌っている時」であること、そしてその原点を見失っていないことがとても眩しかった。
桜井さんはまさに"Mr.Children"だなぁと、より好きになった対談だった。
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