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クリスマスが好きだった。(転載)

注:この記事は過去に別アカウントで書いたものを統一のため転載したものです。

12月。
少しずつ、寒さが染みる日が増えて、街は、一気にクリスマスムード一色。ついこないだまで、ハロウィンって言ってたのにね。この切り替えの早さは、忙しく僕たちを絡め巻き取っていくようにも思える。

僕は、クリスマスが好きだった。
サンタクロース宛に、1か月前に手紙を出すことも。同級生やその親で集まって、クリスマス会が行われることも。ケーキが食べられることも。25日の朝、起きたら手紙通りのプレゼントが枕元に用意されていることも。
クリスマスが引き起こす全てが好きだった。 


そして、クリスマスに染まった街が好きだった。駅やショッピングモールはもちろん、実家もお隣さんも友達の家も、この時期はイルミネーションが輝いてた。(実家に関しては、友達の家のイルミネーションが羨ましくて、親にお願いした気がする。) 


少し黄色混じりの暖かい白が光る家。
赤・緑・黄色・白などたくさんの色が光る家。
一定のリズムで、点灯する家。
二つおきに光ったり、右から左へ流れるように点灯したり複雑なアルゴリズムで光る家。
普段はただの木が、突如クリスマスツリーになる家。
玄関にクリスマスリースを1つ、飾る家。

いろんな家庭が、自分たちのできる範囲のことをやっていた。
そうやって1つの街のクリスマスが出来上がっていたんだと、今はわかる。

2017年。
マンションだらけの都会にきたせいか、不景気のせいか、それとも少子高齢化のせいか。いつしか、そんな光景は見なくなってしまった。
行政や商業施設、大学とかがやっているのを見るくらいで、ほとんどの人がそのクリスマスを消費する側に変わってしまった。

もちろん、きっと部屋でクリスマスツリーを飾る人もいると思うし、
スーツをきたサンタクロースたちは、クリスマスプレゼントの調達に必死な頃だと思う。恋人たちは、ここぞとばかりにデートに繰り出す。

クリスマスは文化で、今も生きている。
でも、極めて個人的なもの、クローズドなものになってしまった気がする。
まるでケーキのように、誰かがつくってくれるものを消費するだけのイベントになってしまった気がする。クリスマスは、誰もがつくる側で、ソーシャルなイベントだったはずなのに。

ちなみに、「クリスマスが好きだった。」なんてタイトルにしたけど、クリスマスは今も好きな方だとは思う。
でも、サンタクロースはもう来ないし、クリスマスより、久しぶりの友達に会える忘年会や、年末年始休暇の方が待ち遠しい。
そんな考えの自分に、大人になってしまったことを思い知らされるけど。

かくいう僕も、これまで「クリスマスをつくる」人だったことは一度もない。
今年は、小さくても、玄関にリースを飾ってみようかな。

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