見出し画像

『HAPPYEND』は青春サイバーパンク映画だった。

ややネタバレがあります。

冒頭からサイバーパンクだった。
ブレードランナーだ。
サイバーパンク2077ような雰囲気もある。
メタルギアソリッドのようなかくれんぼと陽動作戦もあった。
デビット・ワイズが作曲したスーパードンキーコングのBGMのような音楽も聴こえた。
どうみてもダフト・パンクなヘルメットも登場した。
私たちの世代は(私は1987年生)ドンピシャで心を撃ち抜かれるだろう。

主人公は二人いる。
コウとユウタだ。
ともに同じ高校に通っている

コウは自分自身や社会に対して疑問や違和感を持ち始める。
ユウタは友だちと楽しく過ごせればいいやという考えの持ち主。
二人のいたずらを機に、学校は生徒を監視するシステムを導入する。
コウはますます社会に対する違和感を感じ始めるが、
ユウタは相変わらず気ままに過ごしている。
幼馴染で仲良しの二人だったが、微妙にすれ違い始めていく。
そして…

それはまあいい。
ところでわたしは、ユウタが好きだ。
映画を観てユウタが好きになったのは私だけではないだろう。

ユウタはコウのようにデモには参加しないしそもそも興味がない。
先のことなんか考えていないし、家は裕福そうでボンボンみたいだし(それは関係ないか)、今が楽しければ将来のことはどこ吹く風と生きているタイプだ。
要はめんどくさいことは先延ばしにする人だ。

だが彼は、世界のことや日本のこと、未来のこと、はては自分にも無関心ではあるが、友だちのことは考えていた。
そして結果的には、生徒監視システム撤廃を求めて座り込みの抗議をした「ちゃんと考えている生徒たち」の願いまで叶えたのだ。

仲間のために自分を犠牲にして、仲間のために頭を下げて、学校を去ることになってもなお、前向きだ。
大事なことは言葉でなくても伝わる。彼は彼なりの行動で仲間を想っていたのだ。

「ユウタは子どもの頃からなんも変わんない」
コウに言われていたが、ユウタは誰よりも大人だった。
すごいやつだよ。

おそらくこの映画の映画評は社会の不条理だとか、分断だとか差別だとか権力者がどうだとか、そういう言葉が出てくるだろう。
だがそんな映画評に惑わされてはいけない。
この映画は青春映画の傑作だ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?