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オキーフのポートレイトについて 2

Alfred Stieglitz作の『Georgia O'Keeffe: A Portrait』について
お気に入りのtop5を考える。

『Georgia O'Keeffe: A Portrait』より
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この写真は横縦比が約1:3である。
手と鼻に目が行く。襟を立てている。おそらく寒いのだ。
襟は耳の下まできている。襟が長いのか、お顔が小さいのか。後者だろう。
視線は斜め下を向いていることに気がつく。手を見ているわけではない。
何を見ているのだろう。何も見ていないのかもしれない。
爪が長い。現代だとネイルのために伸ばしているように見える。
だがそんな訳はないと思う。
シャッターが切られたあと、この写真の次の瞬間には、真っ白な息を吐きそうだ。そして手と手をこすり合わせて、ああ寒い…ってつぶやきそうだ。
ところで、音楽で重要なのはサビの直前だ。最高潮に高まる寸前のテンションがあるから、サビが引き立つのだ。この写真はサビの直前だ。
オキーフさんが「ああ寒い…」ってつぶやきながら手と手をこすり合わせて、こちらを向いて「寒いね」って微笑みかける最高の瞬間、という妄想を脳内に写し出す作品なのだ。ごめんなさい。
ずっと見ていると、襟を立ててボタンを留めた直後に見えてきた。
やっぱりごめんなさい。


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