2021年良かった本3選 - 「経営・プロダクト・エンジニアリング」の視点から
こんにちは。久しぶりのnoteです。今年読んだ本のまとめをやります。
本は経営部門・プロダクト部門・エンジニアリング部門で良かった本を一冊ずつ紹介します。
経営部門
経営部門で良かった本は、ズバリ「三位一体の経営」です。
企業の競合優位性とは人材・事業・プロセス…..とさまざまなところに現れてきます。それらは事業から生み出される超過利潤を継続的に投資していくことでより企業を強化していけるというのが前提にあります。
企業が競合優位性から生まれる利益以上の利益を超過利潤と表現しますが、そのお金を正しく競合優位性へポジティブフィードバックし続けるには事業への投資だけでなく、従業員・株主への投資(還元)が極めて重要だ、というのがこの「三位一体の経営」の骨子です。
従業員に株式を持たせ、オーナーシップを引き出したり、海外ではわりと一般的な自社株買いを通じて株主還元を行ったりと資本政策をうまく使って超過利潤をよいサイクルへと持っていく話がたくさん載っており大変勉強になります。資本主義における「三方よし」のあり方を改めて認識できる内容となっています。
余談ですが、そういえば株式投資において、少し前ではROE8%が重要な基準だ、と話題になったことがあります。(企業の目標がROE8%という情報は伊藤レポートがオリジナルですが)
超過利潤(この場合だとROE8%を超える利益)を企業が正しく投資していくことで企業強化が行われるので、PBRにもやがて現れてくるという考え方ですね。(ROEと株価の話でおもしろいツイートがあったので貼っておきます)
プロダクト部門
プロダクト部門はEMPOWEREDです。イノベーションを生み出す企業には強い人材ばっかり採用しており、そのおかげで連続的にプロダクトを通じてイノベーションを生み出せている。そう思っている人は多いのではないでしょうか。
実は、企業のあらゆる側面での強みが重なってイノベーションは実現されていることがわかります。人材そのものではなく、プロダクトを中心としたチームのリーダシップを養成していくプロセスやカルチャーこそ、イノベーションを実現するにあたり重要な要素なのです。
採用・目標設定、コーチング、1on1、目標設定など、あらゆる側面における優れた企業のありようを事細かに説明されており、一読するだけで事業やプロダクトづくりに関わる誰もがなんらかの知見を得られるようになってます。
エンジニアの目線だとプロダクトオーナーにどういう関わり方を求めていくべきなのか、あるいは自分が事業に対してどういったオーナーシップを持つべきなのかも記されておりとても学びのある一冊。
エンジニアリング部門
エンジニアリング部門は、「セキュア・バイ・デザイン」です。
この本はセキュリティを「機能」ではなく「心配事」として捉え直す画期的な本です。
エリック・エヴァンスのドメイン駆動開発の影響を強く受けた本ですが、他のドメイン駆動開発の本とは少し一線を画しているような印象です。
たとえば、ドメイン駆動設計の本を読んで「ValueObject」と「Entity」の意味は理解したが、どういう形で使っていったらいいのかわからない。そんな状態に陥っている方も結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。
世の中になかなか普及してないドメイン駆動開発ですが、セキュアバイデザインを読むことでその感覚は一新されます。
型をつけることや、インターフェースに気を付けること、あるいはimmutableにしておくことなどの本当の価値がセキュリティの観点から見つめ直すことがかなり納得いく形でまとめられておりドメイン駆動開発の設計が「そうあるべき」から「そうしなければならない」と重みがグッと増す内容になってます。
設計やモデリングを見つめ直し「完全性はどうか」「可用性はどうか」あらゆる部分でコードへの考え方が変わることでしょう。
チャットワークのエンジニアの方のわかりやすいスライドがあったのでのせておきます。コードの使われ方をより私たちは「心配」しなければならないことがこの本を通じて実感できます。そのためのモデリング、そのための普遍性、完全性、可用性があるとはっきりわかる一冊。
さいごに
いかがだったでしょうか。2022年のあなたの読みたい本の一つにどれか一つでもなれば幸いです。
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