教養としてのワイン (渡辺順子・著)
<< 筆者 渡辺順子>> プレミアムワイン株式会社代表取締役。1990年代に渡米。フランスへのワイン留学を経て、2001年から大手オークションハウス「クリスティーズ」のワイン部門に入社。NYクリスティーズにて、アジア人初のワインスペシャリストとして活躍。2009年に同社を退社。現在は帰国し、プレミアムワイン株式会社の代表。2016年には、ニューヨーク、香港を拠点とする老舗のワインオークションハウスZachys(ザッキーズ)の日本代表に就任
<<本書の概要>> ニューヨーククリスティーズ初のアジア人ワインスペシャリストが教えるビジネスパーソンが教養として身につけたいワインの知識!
<< 本書の抜粋>>
:ビジネスを円滑に進めるうえでの重要なツール。高い文化水準を兼ね備えるエリートであるかどうかの踏み絵。
:ワインの起源は定かでない。メソポタミア文明の現在のイラクあたりでシュメール人がつくった説、現在のグルジアあたりが最古など色々。おそらく紀元前5,000年くらいが始まり。
:ローマ帝国の力が増し、その勢力拡大と共にヨーロッパ各地にワイン造りが広がった。つまりローマ軍の遠征先が有名なワイン産地。
:イエス・キリストの登場によりワインの存在価値が大きく変わる。神聖なる飲み物との位置づけ。
:1935年に産地のブランドを守るためのAOC法(Appellation 〇〇 Controlee)を制定。○○には産地が入り限定されるほど価値も上がる。
:ボルドーの土壌は砂利質で土地が痩せているが水捌けがよく気候も日射量もブドウの生育にはピッタリ。
:1855年にナポレオン三世がメドック地域で格付けを行い”メドック格付け”がなされた。700~1000のシャトーから最高ランキングに4シャトーが選ばれた。
1.”シャトー・ラフィット・ロスチャイルド” ヴェルサイユ宮殿で若返りドリンクとして大ブレーク。アメリカ第3代大統領のトーマス・ジェファソンもラフィット好き。
2.”シャトー・マルゴー” 歴代のイングランド王に愛された。ヴェルサイユ宮殿でもラフィット派とマルゴー派に分かれる。柔らかい口当たりが特徴。若い頃は力強くパワフルで男性的。
3.”シャトーラトゥール” グッチのオーナーであるクリスティーズのオーナーでもあるフランソワ・ピノー氏が所有。豊富な資金力で最新設備・技術を整えコンピューターで温度管理。
4.”シャトー・オー・ブリオン” 最も歴史のあるシャトーとして有名。ルクセンブルグの王室が所有。
:1973年にシャトー・ムートン・ロスチャイルドが1級へ昇格。2004年に今世紀最高の傑作と言われた1945年産の12本が30万ドル、マグナム6本が35万ドルと1回のオークションで2回記録更新を成し遂げた。
:2級には14シャトーが選ばれた。
:世界で最も美しいワイン生産地サンテミリオン村 1999年に世界遺産に登録。人口わずか2,800人だが数百人のワイン生産者。”シュバル・ブラン”、”オーゾンヌ”、”ペトリュス”+5大シャトーでビック・エイトと呼ばれる。
:6つのブドウの品種。
1. カベルネソーヴィニヨンは世界で最も生産量が多い。担任を豊富に含み濃厚でしっかりした味わい。フランスのボルドーやイタリアのトスカーナやカリフォルニアのナパでは超高級ワイン。
2. ピノノワールは栽培が難しく繊細なブドウ品種。世界一のワイン”ロマネ・コンティ”にも使われるポテンシャルの高い品種。
3. メルローは気候に対する柔軟性があり産地を選ばない品種。栽培面積はカベルネソーヴィニヨンに次いで2位。カベルネと相性が良くブレンドで再高級ワインあり。ボルドー特にサンテミリオンやポムロールが最高級。ボルドーの雄”ペトリュス”(ピーター、キリストから天国のカギ)と”ルパン”(希少なワイン)
4. シャルドネはフランスのブルゴーニュが発祥と言われる白ワインの王道種。ブルゴーニュのシャブリやモンラッシュをはじめシャンパーニュ地方、カリフォルニア、チリなど幅広い産地。
5.ソーヴィニヨンブランは世界中のワイン産地で生産されている。温暖地域から冷涼な地域まで対応力ある。
6.リースリングは冷涼な気候を好む。辛口から甘口まで幅広い白ワイン。貴腐ワインや摘みワインにも使用される。
:ブルゴーニュ地方の格付けは4段階。グランクリュ、プレ三エクリュ、コミュナル、レジョナル
:ボルドーは広大なブドウ畑で大量のワイン。まぜるのOK。ブルゴーニュは小さなブドウ畑で多くのブドウ生産者。まぜるのNGで単品種勝負。
:カベルネソーヴィ用のグラスは楕円形で縦に長い。タンニンが豊富で空気に触れるほどワインが開き口に入るまでの空気に触れる時間を長くする。ピノノワール用のグラスは丸みを帯びたシェープで飲み口が狭まっている。繊細で複雑な香りを閉じ込めるため飲み口が狭まりワインが空気にあたる面積を広げている。
:イタリアは世界一のワイン生産国。現地統制呼称法はゆるいが、一応DOCG、DOC、IGT、VdTの順番。DOCGは74箇所で、DOCは330箇所。
:イタリアを代表するワイン銘醸地はペエモンテ州とトスカーナ州。ペエモンテではバローロ村とバルバレスコ村が有名。