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真珠の耳飾りの少女

2019年9月、出張の合間を縫って、オランダのデン・ハーグのマウリッツハイス美術館を訪れた。この日は47歳の誕生日であり、家族と一緒でなかったのが残念であったが、どうしても見たかった絵の1つである「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞することができた。マウリッツハイスはこじんまりとした美術館で、当日は日曜日であったものの、人は少なく、この名画をじっくりと堪能できた。

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この絵を初めて何かの雑誌で見たのはずいぶん昔のことだが、それ以降、フェルメールという画家に興味を持ち、いつか自分の目でみたいと思っていた絵である。マウリッツハイスに入り、この絵が目に入った時の高揚感は忘れられない。この絵の真正面に立ち、絵を見ると、マリンブルーのターバンを巻いた少女の眼差しがまっすぐ自分を見つめる格好になる。この時自分は、VIPの訪欧を控え、仕事の重圧に悩んでいた時期であったが、長年の念願が叶った瞬間であり、いつまでのこの時間が続いてほしいと思った。

この絵は1665年頃に書かれたと言われている。フェルメールは1675年に43歳で破産同然で死去しており、この絵は誰から注文を受けたのか、誰をモデルに書いたかもわかっていない。以降、他の残された作品も含め、競売にかけられるなどして散逸し、所有者も転々としたが、1881年にデンハーグの美術競売所でオークションに出され、美術収集家のデトンブがわずか2ギルダー(約1万円)で入手した。デトンプが1902年に亡くなった際に、この作品はマイリッツハイスに遺贈されたが、今や世界中から多くの人々がこの絵を見に訪れている。これからも多くの人の興味を引きつける絵であり続けるだろう。

絵のことなど何も知らなかった時でも、自分に強い印象を与えた絵であり、絵画に対する興味を引き起こしてくれた1枚である。自分がこの絵の正面に立って鑑賞した記憶を大事にしたい。

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