【映画感想#3】ヤクザと家族
やっぱり映画館で観る映画は迫力が違いますね。音響もそうですし、画面が大きいから世界観に入り込める気がします。もう少し世の中が落ち着いたら、もっと映画や芸術作品に触れにいきたいものです。
ネタバレっぽいのがあるかも知れません。
かなり前ですが、この映画を観ました。綾野剛さんと映画の予告に釣られて観たのですが、予想以上でした。暴力シーンが苦手なので、そこは目を覆いながら観ましたが、それ以外は目をかっぴらいて観ました笑
結果としては、「共感はしないけれど、伝わった」というところでしょうか。
ヤクザが身近でなく、彼等がどのような感情で、どのようなことをしてきたのかなどを心から理解することが出来なかったように感じます。
ただ、山本が置かれた矛盾した環境には思い当たる節があるような気がしました。MIU404というTBSのドラマがあるのですが、その中でピタゴラスイッチのように玉がどんどん進んでいき、もう自分では引き返せないような状況に陥ってしまうことがあるという話がありました。これと同じように、山本にはもうヤクザとしてしか生きる道がなく、またその道に進んだことで出会えた家族を心から愛していたような気がします。
しかし、知らないうちにもう引き返せないほどに深く進んでしまったことで、その後訪れる「愛しい日々」に触れることが出来なくなってしまった。近づきたいのに、自分が近づくことでそれを壊してしまう、その矛盾がどれほど彼を苦しめたか。
ただ、個人的には、山本はある意味幸せな人生を送ったのではないかと思うのです。家族に出会い、短いながらも愛しい日々を送り、人生において大切なものをカケラではありますが得たのではないでしょうか。
この映画の主題歌もまた、素晴らしいものだったと思います。山本の人生を表しているかのような一曲でした。これだけ途方もないくらい大きな愛を伝えられる曲があったでしょうか。この曲を聴いた友人が、「生への矛盾」を感じたと言っていたことが強く印象に残っています。まさにその通りだと感じました。
この映画は、共感はしなくても良いと思います。ただ、このことを知り、考えるだけでも価値のあることなのではと個人的には思います。
何ヶ月かのだべりを読んでくださった方、ありがとうございます。また他のだべりでお会いできる時があれば嬉しいです。