計画と妄想力
北欧のクラフツマン、アーティスト、ギャラリストと、秋の始めにデンマークの首都コペンハーゲンで開催を予定しているエキシビジョンに向けて、徐々に話始めている。今回のエキシビジョンは、2018年2019年と二度に渡り来日したデンマークのアーティストとクラフツマンを自分がアテンドし、日本国内の様々のクリエイターに一緒に会いに行き、意見交換をしてきた。その経験をアートとして昇華させ形にしていくエキシビジョンである。
*
日本人は緻密に計画を実行することが得意のようだ。それは戦後教育の賜物。詰め込み型の右向け右、前習への結晶はマシーンの如く計画を実行しようとする。しかし、今後のデジタル化がより進み、AI化が発展していく中で、果たしてそれでいいのだろうかと改めて考える時なのだろうと思う。現に日本のGDPも2期連続でマイナスに落ち込み、昨今の新型コロナウイルスの影響で世界的に経済成長が停滞していくのは避けられない。やり方を変えていくべきなのだろうか。
今の日本のやり方は、人口が増えていくことを前提に考えられた社会システムになっている。みんなが目指すべき「答え」に向けたベクトルに、ただひたすら我武者羅に猛烈に作業をこなすことで経済成長できた時代には、上記に挙げた戦後教育は理にかなっていた。しかし、2008年のリーマンショック、2011年の震災、そして今回の新型コロナウイルスの騒動で、その答えは果たして合っていたのかと思わざるを得ない経験をしてきたのではないだろうか。
*
今の時代に求められるのは、脱マシーン化(思考するチカラをつけること)。そもそもどういったことが問題になっていてそれに対して自分としてのアプローチを考え、仲間や資金を募り、形にしていけるチカラなのだろう。こういうチカラを北欧のクリエイターたちに良く感じる。問題が何なのか、そしてその問題へのアプローチの仕方を、時間をかけて考え抜き、足りないリソースを様々な人たちと協力し合いながら、形にする。一見するとこれも計画じゃないかと見受けることも出来るが、何の確証もないまま感覚値の妄想により彼ら彼女らは進めていくのだ。それは、マシーンではなく確実に人間らしさを帯びている。
そんなことを考えながら、秋のエキシビジョンに向けて妄想をみんなでし始めている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?