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2024年に刺さったコンテンツ(ゲーム・映画・漫画など)をゆるっと振り返る

ちょっと時期を失した感じはありますが、2024年に観て、読んで、遊んで、個人的に刺さったコンテンツをゆるっと振り返るだけの記事です。

※各作品のネタバレはなるべく避けるようにして書いています。


SANABI

「2024年のマイベストゲームが決まっちゃったかも〜!?」などと3月あたりに喚いていた記憶がうっすらありますが、マジでそうなっちゃった。文句なしのベストです。もう使い古されつつある構文であえて言わせてください。『SANABI』はいいぞ。

一言で説明するなら、サイバーパンクな世界観で繰り広げられる元軍人の復讐譚。この手の2Dアクションは久しぶりに遊んだのだけれど、難易度もちょうどいいくらい。ちなみにこの「ちょうどいい」というのは、アレです。「何度もやり直すことになる場面はあるものの、まあなんとかクリアできるっしょ」という意味での「ちょうどいい」です。難易度は選べるので、アクションに不慣れな人は遠慮せず低難易度を選びましょう。

そんな2Dアクションゲーム――そう、改めて言葉にしてみて驚くのだけれど、2Dアクションなんすよね、これ。マリオとかカービィとか、ガキンチョだった僕が初めて遊んだ「テレビゲーム」に通じるジャンル(本作に関してはどちらかと言えば『ロックマン』のほうが近いかも)。そんな、自分にとっては一番身近な、付き合いの長いゲームジャンルで、しかし一度も味わったことのない体験をさせられてしまったのが、『SANABI』だった。

要するに、アレです。
泣いた」というやつです。

鼻の奥がツンとする感覚に襲われ、ぴえんぴえんと泣きながら、でも同時に「2Dアクションで泣くことってあるんだ!?」と冷静に驚いている自分もいた。ゲームの「泣いた」にもいろいろな理由や感情があるけれど、本作に関しては、

  1. 長時間のゲームプレイでキャラクターに感情移入しまくる

  2. 終盤に待ち受けている怒涛の展開で目を白黒させられる

  3. そして明かされる真実によって、心をめちゃくちゃにかき乱される

  4. 無事、落涙

という流れです。本当にズルい。いろいろとズルい。地道に積み重ねられてきたキャラクター同士の関係性と、ちょっとした会話にも仕込まれていた数々の伏線が、終盤で一気に畳み掛けるように回収されるのがエグすぎる。

ともあれ、『SANABI』はシンプルに良いゲームです。本当に。もし少しでも気になる要素があったなら、あなたはきっとこのゲームを楽しめるはず。ぜひこの世界に飛び込み、“最後までやり遂げ”てください。お願いします。

あと余談ですが、すでに遊んでいるプレイヤーさんには、兎鞠まり氏の実況プレイを見てほしい。さすがの洞察力で、期待以上のリアクションをしてくれています。楽しい。


学園アイドルマスター

『アイマス』のゲーム本編で泣いたのは初めて。

あっ、「まーたこいつ泣いてるよ」とか思わないで!  マジで泣いたので! 観に行った映画のほとんどで泣いちゃうくらい涙腺がよわよわだった時期と比べれば、これでも泣く回数は減ったほうなんです!

……まあ、それでも結構な頻度で泣いてるんですけどね。がはは。

さて、シリーズ最新作としてリリースされた『学園アイドルマスター』は、自分にとっては異色な存在だった。あまり遊んだことのないゲームシステムに、一癖も二癖もありそうな“アイドル”たち。振り返ってみると、過去のアイマスではいつも「元気! パッション! ムードメーカー!」なキャラクターに惹かれがちだった自分が、なぜか最初に「口が悪い! 傲岸不遜! ムードブレイカー!」な月村手毬というクセ強スーパーチワワをプロデュースすることにしたのも、何かしら予感があったからなのかもしれない。

これは、一筋縄ではいかないんだろうな、と。

その「一筋縄ではいかない」という予感――作中のアイドルの言葉を借りるなら「ままならなさ」――は、何も手毬に限った話ではなかった。いざ蓋を開けてみると、『学マス』のアイドルたちは、全員が一筋縄ではいかない存在だったのだ! わぁい! というのも、公式サイトや作中で最初に目にするプロフィールとキャラクターの印象が、ストーリーの展開によって、必ずどこかでひっくり返る瞬間があるのだ。

初星学園 「Luna say maybe」Official Music Video (HATSUBOSHI GAKUEN - Luna say maybe) - YouTube

その落差、もといキャラクター各々が抱える悩みや問題を通して“本質”を知る瞬間が、全キャラクター全シナリオ分用意されている。そのことが、まず何よりもすさまじい。

たっぷり時間をかけて物語が展開するアニメやノベルゲームではなく、個々のシナリオは決して長くはないソーシャルゲームのテキストで、キャラクターに対して感じていた印象がひっくり返る驚きを、人数分体験できてしまう。そうやって感情を揺り動かされた後に待ち受けているライブシーンが、これまたスマホとは思えないほどのリッチな映像である――とくれば、そりゃあ感動してぴえんぴえんするってもんですよ。

特に、自分が最初にTrue Endを見た手毬の場合は、最後のライブで待ち受けている楽曲のインパクトが、その感動に拍車をかけていた。

Luna say maybe。楽曲単体で聴いても「ええ曲やん」と感じる人は多いはずなのだけれど、幾度となくプロデュースを重ねた果てで待ち受けていたアリーナライブで耳にしたこの楽曲と彼女の歌声は、涙腺をぶっ壊してなお有り余るほどのパワーを持っていた。こればかりはぜひとも実際に作中のライブで観て、聴いて、喰らっていただきたい。こんなん、生きているうちに1回はライブで生で味わいたいやつじゃないですかこんちくしょう!!

そんなこんなで、ソシャゲーとしては『学マス』のプレイ時間が断トツだった2024年。年が明け、新シナリオもリリースされて、まだまだ楽しめそうな予感でニコニコしております。これからもよろしくお願いします。


数分間のエールを

2024年はあまり映画を観ない1年だった。気になる映画はたくさんあったものの、ライター業以外でも家にこもってあれこれやる機会が増えたせいか、なんとなく映画館から足が遠のいてしまった感じ。2025年はもっとフットワーク軽く映画体験したいなー。

――という映画の話はさておき、『数分間のエールを』でございます。これは刺さった。いろいろな意味で。

ものづくりのワクワクと楽しさがありありと伝わってくるこの映像が話題になり、「おっ、さわやか青春ものづくりストーリーか〜〜〜??」とニコニコしながら覗きに行ったところ、冒頭のモノローグで何かを察した。

――これって、あれじゃん。『Fate』などでおなじみの「決して届かない星にそれでも手を伸ばす物語」じゃん。つまり自分特攻の作品であることは間違いないわけで覚悟を決めて臨まねばいけませんねウフフフフフばっいこいやオラァ!!

最初に感じたのは、予告編で感じた「さわやか青春模様」が、容赦なく「現実」によって上書き保存させられるゾワゾワ感。

現実はCtrl+Zすることができず、当然バックアップも存在しない。自分にも心当たりのある、独りよがりで空回りをするキャラクターの姿を見せつけられて胃をキリキリと抉られつつ、「好き」なだけではどうにもならない表現の難しさと、内心を渦巻く葛藤の表現に押し潰されそうになる。心ない言葉だけでなく、名誉ある実績が心を折ることだってある。外部から無邪気に向けられる「評価」は、良しも悪しもおそろしい。

かと思えば、ままならない現実を見せつけられたとしても創らずにはいられない、青臭さと熱意を目の当たりにして、たまらなく愛おしくなる。ところが、そうして創り上げたものすらも、決して大勢に届くとは限らない。それでもなお、足掻いて足掻いて足掻き続けることによって灯された最後の残り火が、ただ1人だけの心を動かすことだってある。それならば、きっと、走り続けた意味はあったんじゃないだろうか――。

『数分間のエールを』は、一度でも「ものづくり」を志したことのあるすべての人を肯定しようとする物語だ。終盤の作中作は、ここ数年のあいだに映画館で見た作品の中で一番、スクリーンをぶち抜いてくるんじゃないかと思えた映像だった。きっと、折に触れて何度も見返すことになると思ったし、実際そうしている。

あと、これは余談ですが、2024年のアニメ映画を振り返ってみると、なんだか妙にクリエイターにぶっ刺さりそうな作品が多くありませんでした?

『数エール』に始まり、『ルックバック』に『きみの色』と、クリエイターでなくても、少しでもものづくりに興味のある人なら感じ入る部分がある。そんな作品が多かった印象。2024年に何か創作活動を始めた人が増えていても不思議じゃなさそうだし、そうだったらいいなと思う。


呪術廻戦

アニメの1、2期をリアルタイムで視聴し、「これは原作も読むっきゃねえ!」とKindle版をまとめ買い。その後しばらく積ん読していたものの、コロナにかかって時間ができたので、まとめて読むことに。

病床でうんうん唸りながら読むにはアクが強い作品だった気がしなくもないけれど……いや、やっぱりおんもしれえ〜〜〜!!

大枠は「少年ジャンプ」的な能力バトル漫画であるのだけれど、現実世界にも存在する「呪い」を描いた物語でもある。社会問題とか、人間関係の悩みとか、不平等な生き死にとか、どうしようもなくままならない日常で生まれるありとあらゆる負の感情とか。別に社会派漫画というわけではないものの、僕らの日常とも無縁ではない「呪い」の話だと感じた。

そして同時に、「祝い(いわい)」の物語でもある。そもそも「呪い(のろい)」とは「まじない」であり、もともとは「祝い(いわい)」だった……って、大学の教授が言ってた。

芥見下々『呪術廻戦』1巻(集英社)P.24より

第1話でかけられた「オマエは大勢に囲まれて死ね」という呪い/祝いが、終盤になって改めて、虎杖悠仁の脳裏に、そして五条悟の眼前に浮かび上がってくる。リフレインする。後から響いてくる。逕庭拳のように。

最初から最後まで一貫して呪い/祝いを描き、まったくブレていないように感じられたので、本当に気持ちよく完走できた漫画だった。

一見すると複雑になり過ぎたようにも映る――しかしその実、シンプルな“能力”と“ルール”の殴り合いとも受け取れる――呪術バトルを繰り広げつつ、最終決戦では各キャラクターに見せ場が与えられ、しっかりと諸々の伏線を回収してから、サクッと幕引きとする。後日談も含めてお腹いっぱい、大満足の作品でございました。

羂索との決戦(?)については、いろいろな意味で予想外でニコニコしちゃったけれど。映像で見るのがハチャメチャに楽しみでならない。

ってか振り返ってみると、『呪術廻戦』のキャラクター、みんな好きだ!!

主要キャラはもちろんのこと、東堂とか、真人とか、メカ丸とか、パンダとか、お兄ちゃんとか、お兄ちゃんとか、お兄ちゃんとか……やべえ! なんてこった!! 男ばっかりだ!! でもみんなカッコよかったんだもん!! ありがとうお兄ちゃん……おまえが俺たちのお兄ちゃんだ……!


僕のヒーローアカデミア

泣いた。もとい、泣いてた。毎巻。多分、38巻以降は全部の巻で。

こちらも同じくアニメから入って、原作を追いかけ始めたのはアニメ6期の放送が終わってから。最終決戦も結構長くやっているのに、途中で中だるみするようなことはまったくなく、それどころか、最後まで右肩上がりに盛り上がり続けていて、もうどうにかなっちゃいそうだった。アーマード・オールマイト以降のライジングっぷりがノンストップでヤバい。

『僕のヒーローアカデミア』もまた、正しくジャンプ漫画だった。というか、「これこそが!!!」と大声で強調したい“少年漫画”だった。

友情。努力。勝利。王道の要素を主軸に据えつつ、しかし「努力」や「勝利」を絶対視するわけでもない。現代の少年少女が抱える苦しみのみならず、かつて少年少女だった大人たちの悩みにもスポットライトを当て、負の感情も含めて肯定する。ヒーローとヴィランの二項対立と見せかけて、世界はそんな単純に割り切れるものではないことを、無数のキャラクターたちとエピソードを通して描き切った。

その上で強調したいのが、「最終巻」としてあまりにも完璧すぎた42巻について。

最終決戦と伏線回収、その幕引きが大大大満足だったのは言わずもがな、「おかわり!」と言わんばかりに諸々のエピソードを突っ込んでくれちゃって、もはやその感動と感謝を言い表す言葉がない。

場合によっては蛇足になりそうなエピソードが、本作では最上のデザートとして目の前に用意されていた。至れり尽くせりの最終巻。大好きなキャラクターたちの「その後」を想像させる楽しみも残しつつ、“彼女”のことをああいう形で描いてくれたのが嬉しすぎる。そこでもまた、ちょっと泣いた。


ホロライブGTA(とGTA企画そのもの)

#holoGTA 】ホロライブGTA サーバー説明会🌸☄【#miComet】 - YouTube

前々から気になってはいたんです。個性豊かなストリーマーたちが参加し、そこで長時間にわたって過ごし、数多のドラマが繰り広げられるという、「ストグラ」をはじめとする『GTA5』のマルチプレイサーバー企画は。

実際、以前に何度か見ようとしたことはあったのだけれど……ちょっと、自分にはハードルが高かった!

当時はTwitchもほとんど使ったことがなかったし、参加しているストリーマーのことも(有名な人も含め)ほとんど知らなかったので。それに何より、途中から見ようとした場合、自分に適した取っ掛かりを見つけることができなかったのです。どこから見てもOKではあるはずなのだけれど、「どこからでも入れるからこそ、何から見れば良いのかわからなかった」という感じ。

そんな自分が、この手のGTA企画として初めて楽しめたのが、「ホロライブGTA」だった。

ホロライブのさくらみこさんと星街すいせいさんが主催し、同グループのメンバー約50名が、1週間にわたってGTAの世界で過ごしたロールプレイ企画。切り抜き動画をきっかけにハマり、しばらくは関連動画ばかり見て過ごすようになるほどだった。

中でも印象に残ったのが、戌神ころねさん、大神ミオさん、天音かなたさんを中心に繰り広げられた、「パン屋ファミリー」の物語。

この3人の動向を見ていて、もう何度、腹が捩れるほど笑い転げたかわからない。同じシーンでも、いろいろな視点から、いろいろな人の切り抜き動画で、何度も繰り返し見てしまうほどにハマった。

今までGTA企画を追ってこなかった自分は、爆笑しつつも「ゲームの中でこんなドラマが展開できちゃうんだ!?」などといたく感動してしまったし、一連の流れを追う過程で、「ロールプレイ」という営みそのもののおもしろさも改めて実感することになった。3人の癖になる掛け合いが最高で、今でも定期的に見返しています。最近「ツッコミスキルを鍛えたいよ〜!」って話している知り合いが身近にいたけれど、ぜひともパン屋を見てほしい。

でもなぜ、ほかのGTA企画はハマれなかったのに、ホロライブGTAには夢中になれたんだろうか。自分なりに考えてみたのだけれど、おそらくは以下のような理由があるんじゃないかと思う。

  • 参加者のことをある程度は知っていた

  • 人数が比較的少なく、関係性を把握しやすかった

  • 開催期間が短めの1週間だった

  • 切り抜き動画やファンアートが頻繁に流れてきていた

念の為に断っておくと、自分はそこまで熱心なホロリス(ホロライブファン)というわけではありません。「好きでたまに見ているホロメンが何人かいる」「全体企画は切り抜きでよく見る」くらいの温度感で、海外組はコラボでしか見たことのないメンバーも何人かいます。

ただ、なんとなくしか知らないメンバーも含めて、「参加者のキャラクター性や関係性をざっくりとは把握できていた」ことで、「じゃあ見てみよっかな」という気持ちに繋がったことは否めないように思う。

そこで目に入ってきたのが、暴走するフワモコの狂犬っぷり(kawaii)や、生き生きとRPを楽しんでいるフブちゃんたちの切り抜き動画だったのも、取っ掛かりとして良かったのかもしれない。タイムラインをアヒル号のようにどんぶらこと流れていた切り抜きやファンアートのおかげで、ズブズブと沼へと吸い込まれていった格好でございます。

ころねパパのダメ男ムーブに爆笑し、後半になるほどキレを増すかなたんのツッコミに拍手を送り、癖の強い家族と周囲の人間関係の狭間で揺れ動くミオしゃの女優っぷりを見守る日々。あの街の住人としてのムーブが誰よりも板についていたキツネ医院長と、楽しさとおもしろさを追求するべく立ち回りつつ、組織もまとめ上げていたスバル署長、そして何より、この企画全体を動かすべく裏でも奔走していただろうmiCometの2人にも喝采を送りたい。

その上で、今度はこのホロライブGTAを“取っ掛かり”にできるのかもしれない。というのも、今回こうしてハマることができたおかげで、ほかのGTA企画を見るハードルもかなり下がった実感があるんですよね。実際、最近は後追いでVCRGTAをチェックし始めている今日この頃でございます。

あとあと、ここまで来たらにじさんじGTAも見ていきたい! もしおすすめの切り抜きやアーカイブがあったら、教えていただけたら嬉しいです。

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けいろー🖋フリーライター
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