最近の記事

違憲審査の方法・対象(補論)

序  以前「憲法答案の書き方」という記事を書きました。今回は、その補論として「違憲審査の方法・対象」を解説します。  なお、本稿の内容は、曽我部真裕先生が法学教室で連載されていた「憲法 教科書のその先へ」の第2回〜第5回を自分なりにまとめたものです。 1 法令一般審査  法令一般審査とは、当該訴訟事件の具体的事実関係を捨象して、法令を一般的・客観的に審査する審査方法をいう。  法令一般審査には、文面上の法令審査と内容上の法令審査という2つの下位類型がある。  文面上

    • 目的手段審査の使い方(補論)

      序 以前「憲法答案の書き方」という記事を書きました。今回は、その補論として「目的手段審査の使い方」を解説します。  上記記事の中で、正当化論証においては、審査基準の設定(事案分析Ⅰ)と適用(事案分析Ⅱ)で、それぞれ事案分析が求められることを解説しました。  本稿では、目的手段審査の基準について、その設定と適用に分けて解説していきます。 Ⅰ 審査基準の設定 目的手段審査の基準における事案分析Ⅰでは、主に「被制約権利の性質」と「制約の態様」が考慮される。  令和3年度司法試験

      • 憲法答案の書き方

        序 憲法答案も基本的三段論法とあてはめの三段論法で構成される。  なお、基本的な法律答案の書き方や三段論法については、以下の記事を参照してください。 Ⅰ 基本的三段論法1 憲法が直接適用される場合  この場合、憲法98条1項の適用が問題となる。そのため、基本的三段論法の大前提となる要件-効果は以下の通りである。 要件:憲法の「条規に反する」こと 効果:「効力を有しない」  憲法の「条規」には、主観的権利を保障するものと、客観法規範を定めるものがある。  このうち、後

        • 問題提起の要否(補論)

          序  以前「法律答案の書き方(総論)」という記事を書きましたが、今回はその補論として、今(2024.2.7現在)話題の「問題提起の要否」について考えてみようと思います。 「法律答案の書き方(総論)」の記事はこちら 「問題提起の要否」に関する議論の発端となったロゼ子さん(@maru_roseko)の記事はこちら 問題提起の種類  まず前提として、問題提起には、検討対象となるルールを特定するためのものと、単なる見出し的な意味しか持たないものがあると考えています。  前

        違憲審査の方法・対象(補論)

          法律答案の書き方(総論)

          序  大学や予備校では法的三段論法について詳しく教わらないし、予備校教材の参考答案も法的三段論法を崩しているものが多い  それなのに、答案添削では「法的三段論法が使えていません。」とコメントされ、どうすればいいのかわからない…  というのは、法学部生や司法試験受験生にとってあるあるだと思います。  合格者のほとんどは、数多の答案を読んだり書いたりする経験を通して感覚的に「法的三段論法の使い方」を身につけているため、その「法的三段論法の使い方」が言語化されることは多くありま

          法律答案の書き方(総論)

          民法答案の書き方

          *総論的な答案の書き方や三段論法については、以下の記事を参照してください。 第1回 「請求が認められるか」  請求が認められるか否かは、請求権の存否によって判断される。  これを命題の形式で示すと以下のようになる。 請求権が存在する→請求が認められる 請求権が存在しない→請求は認められない  上記の命題が民法答案の骨格となる三段論法の大前提となるが、実際の答案で明示することは少なく、下記のとおり「請求の根拠は〜請求権である」という形で示すことが多い。  なお、一の請

          民法答案の書き方

          【独学】倒産法使用教材

          1 はじめに  筆者の倒産法の成績は61.86点で、だいたい上位13%ぐらいです。  ずば抜けて良い成績ではありませんが、在学受験で選択科目にかけられる時間が短かかったわりにはよく頑張った方だと思っています()  なお、【独学】と銘打っていますが、LSの授業は受けています。 2 基本書  入門書という位置付けながら、コラムではわりと高度な内容にも触れられており、司法試験に必要な情報はほとんどまとめられています。  358頁ありますが、図表が多く、思っているより分量は多

          【独学】倒産法使用教材