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WRC JAPANは祭りだわっしょい

写真は「空気感 (Diffused)」
☆1999年 トヨタ カローラWRCを撮影

「私はどちらかというと自動車が好きな方だ?」という問いがあったとしよう。回答両端に「はい」「いいえ」が置かれ、その間には「どちらかというと」接頭語が付いた「はい」と「いいえ」がある。中央には「どちらでもない」が存在する。
 私は迷うことなく端の「はい」を選択するが、世の中にはモータースポーツに対して快く思わない人が一定数居る。
 頭の中では「はい」があれば「いいえ」もあって当然とは思うのだが、どうしても攻撃的声明を構築してしまい、自分が好むもので好まない相手を想像するのはやや難解だった。相手の立場になって考えようということは言うは易しさ。
 ふと……考えてみた。語り口の対象を変えみてはどうだろうか。
 私は野球を「どちらかという好きではない方だ」に丸をつける。真夏の高校野球が始まればラジオは朝から夕方のニュースまで「やきう!」で埋まり、甲子園開幕直後の夏の朝は生活習慣を失い、やや乱れること数十年経つ。これを理由に反対するのも一つの考えかと思っている。厳かな主張なき反対は許されないというのはどうかしている。別段こうした理由で反対してもいいじゃないかと思うのだが、現実はそれ以上の状況に至ってしまった。
 現世に灼熱地獄の導入歌イントロを表してみたところ、当然ながら「暑くてムカつく」わけで、気温と湿度が結託した最中、昔から行われていきたという理由で高校球児をグランドに立たせるのは生物的危機に繋がった。こうして見ると選り好みを理由としていた方が如何に平和的だったであろうか。
 万物に対していえることだが、物事に反対を持つ者を排除していては何事も窮屈に繋がる。野球が好きな人が居れば、サッカー好きな人も居る。自分の嗜好だけで排除していては、どちら側からしても「相手が悪く。自分は正しい」ことになる。
 昨今「行動に示さなければならない」危うい思考を目にすることが増えたような気がする。

 自己正義に耽溺陶酔した事件に触れると、嫉妬されるのも、嫉妬するのを見ることと似て大変気色悪い。自己卑下として一つの冗談にもなるかとは思うが、繰り返されると目も当てられなくなる。

 世界ラリー日本選手権WRC JAPANが開催された。2022年から開催場所を愛知県豊田市に設け、これで3度目の開催となる。テレビ画面を通して見知った街並み。狭小で落ち葉積もれば苔生す日本の山道を、頭のおかしな速度で駆け抜けていく姿は、四つ足のバケモノが出鱈目な怪力で駆け回るようにも見える。これまではそうした映像を腰をいわすまで自宅で眺め続けてきたが、今年はただ画面を眺めるに留まらず、現場の雰囲気とはどういったものかと知ってみたく、私は気づけば電車に乗っていた。
 車窓から見える改装中の駅。張られた作業ネット「ピンピンどピンク♪ 目を刺すピンク♪」と、黙読独唱していると……直ぐだった。

・豊田市駅 現着
 改札を抜けると街はWRC激推し。眼下には至る所にラリー関連のイベント旗がはためき、電車から自動車という移ろいは差し詰め乗り物ハイブリットという感じだ。メイン会場の豊田スタジアムに向かい、空中回廊|《スカイウォーク》を歩いて行く。非日常の風景に気持ちは上がり、地上へ下るための踊り場に達したまさにその時。
「こ……これは!」

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