サイモン&ガーファンクルのライブ盤から#スキな3曲を熱く語る
Live From New York City,1967
最近、サイモン&ガーファンクルを聴いています。今から30年ほど前、中学・高校生の頃によく聴いていたのですが、いつの間にか疎遠になっていました。ところが、この夏にテレビで彼らのコンサート映像を見たことがきっかけで、また聴くようになったのです。
最近、特によく聴いているのが彼らのライブ演奏を集めた『Live From New York City,1967』。1967年というと、サイモン&ガーファンクルが「The Sound Of Silence」でブレイクした1966年の翌年です。
このアルバムのいちばんの特徴は、ポール・サイモンのギター1本と2人の声だけでライブが行われていることです。1967年に行われたいくつかのライブから抜粋されて1枚のアルバムに仕立てられているのですが、すべてギター1本+歌の構成です。
サイモン&ガーファンクルのオリジナルアルバムは、どれも“端正な作り”なのですが、ライブ盤にはシンプルな音だからこその力強さがあります。
私が選ぶ「スキな3曲」はこのライブ盤から。「The Sound Of Silence」「I Am A Rock」といった有名どころも収録されていますが、ここはあえて(?)外して選んでみました。
A Most Peculiar Man
ポール・サイモンがイギリスに住んでいるとき、ある男の自殺について書かれた新聞記事をヒントに作った歌。3枚目のアルバム『Sound Of Silence』に収録されています(余談ですが、アルバムタイトルには’The’がつかないのですね…最近知りました)。
アルバム盤では最後まで淡々と歌われている印象だったのですが、ライブ盤では物語の主人公がガス自殺(!)をするくだりで、ギターのかき鳴らす音と2人のコーラスのボルテージが一気に上がり、最後にスッと穏やかに曲が収まります。その緩急の付け方が絶妙なのです。
The Dangling Conversation
倦怠期のカップルの様子を描いたような歌。2枚目のアルバム『Pasery,Sage,Rosemary and Thyme』の収録。弦楽器がフューチャーされていて、アート・ガーファンクルの声があまり全面に出てこないせいか、私にとってはこのアルバムの中であまり印象に残らなかった曲でした。
弦楽器がないライブ盤では、アートとポールの美しさ…というかガチンコ勝負みたいな感じになっています。単なる調和ではなく、緊張をはらんだ調和。
A Poem On The Underground Wall
こちらも2枚目のアルバム収録。地下鉄の駅の壁に落書きをする男の話です。歌詞の中で男はfour letters(4つの言葉)の落書きをするのですが、それが何なのかは最後まで明かされません。
演奏はギターにシンセっぽいキーボード(?)などが加わり、疾走感を演出しています。
ギター1本のライブ盤の方は、2人の歌声のせめぎあいと調和が繰り返されます。なんだかポールとアートの人間関係そのもののようです。
✴︎彼らは1970年にアルバム作りをやめたあと、完全に没交渉となる2010年あたりまでの40年間、ステージの上で再結成と決裂を繰り返しました。
曲のところどころで早口になるところがあるのですが、ユニゾンで歌う2人の声の揃い具合に、ゾクっと来ました。「サイモン&ガーファンクルの魅力はコーラス以上にユニゾンにあるのでは?」とすら思えます。
あと、エンディングでホームの足音をイメージして、ポールがギターのボディを叩く音が入っているのですが、これもカッコいいです。
忘れかけてた曲たちのよさを再発見
ここでご紹介した3曲は、正直のところ10代の頃は印象に残らない曲でした。ライブ盤を聴いたからなのか、私がそれなりに歳を重ねて歌詞の意味もある程度わかるようになったからなのか(1973年生まれです)よくわかりませんが「温故知新」とはよくいったものだな…としみじみ感じています。
最後に「The Sound of Silence」の一節を。
The words of the prophets are written on the subway walls.
(預言者の言葉は地下鉄の壁に書いてある)
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