【古着】映画「セルピコ」ヒッピーファッションのすべてが分かる作品(U.S.NAVY DIXIE HAT、U.S.NAVY Pコート、M-65フィールドジャケット)
映画「セルピコ」は1973年に製作された映画です。ニューヨーク市警の汚職などに立ち向かう警官の実話を基にした作品。主人公セルピコを名優アル・パチーノが演じています。
この映画の主人公はヒッピーの警官。ほとんどの映画は主人公を印象づけるために、何度も衣装を変えません。しかしこの映画はシーンごとに衣装が変わります。数えきれないほど変わるヒッピーファッションの組み合わせはとても参考になります。
今から古着たちが登場するシーンとアイテムを見ていきましょう。
レイルロードキャップ:鉄道員のワークキャップ
アル・パチーノが被っている帽子は、レイルロードキャップ。
鉄道員が被っていた帽子なので、レイルロードキャップと呼ばれるようになりました。特徴としては、帽子の上の部分がベースボールキャップのように継ぎ目がなく、一枚の布で覆われいます。一枚の布で作るため、帽子の周辺に8つのつまみ(タック)が入ります。
最近では古着屋さんでたまに見かけるようになったレイルロードキャップ。12年くらい前は、今のようにネットが普及していなく、帽子などの小物アイテムを仕入れるのが難しかったため、置いてあっても参考書品でした。
そんな中、今まで古いカタログでしか見たことがない、折り込みストライプのレイルロードキャップが仙台の名店「ニューヨークジャーキー」に置いてありました。どうしても手に入れたい私は、そのキャップが欲しくて何ヶ月も通いつめて、やっと譲ってもらったときは手が震えました。
Lee カバーオール 91-J:鉄道員のワークウエア
アル・パチーノが着てるジャケットは、LEEのカバーオール 91-J。
Leeのカバーオールの特徴は2つ。タグと、ポケットの形状です。
1つ目はタグです。胸元に白地で小さな長方形のタグがつきます。
2つ目はポケットの形状です。ウォッチポケットのような形状になっており、ポケットの下の部分が少し角ばっています。
Leeはワークブランドの王様と言われていました。その理由は、他社に負けない頑丈な生地です。リーバイスはシュリンクトゥフィット(生地を縮ませて身体に馴染ませる)のため、生地が伸び縮みすることで縦落ちがしやすくなり、いい色落ちになります。しかし生地の強度が弱まってしまいます。Leeは生地を頑丈にするために、高密度の左綾になっています。そのため、縦落ちはあまりせず、全体的に色が落ちていきます。
なのでアル・パチーノが着用しているカバーオールは、デニムの濃淡があまり見られず、全体的に色が薄くなっています。
U.S.NAVY DIXIE HAT:軍物がチューリップハットに
アル・パチーノが被ってる帽子は、U.S NAVY DIXIE HAT。
U.S.NAVY DIXIE HAT(セーラーハット)はアメリカ海軍が使用したハットになります。セーラーハットと呼ばれるようになったのは、水兵(セーラー)が被っていたことから、その名が付けられました。
このハットは水兵たちが被るときはツバを立てて着用していました。
しかしヒッピーたちは、この帽子をチューリップハットのようにするためにツバをおろして被りました。
アル・パチーノが被っていると、まったく不自然さを感じません。しかし当時のセーラーハットを古着屋さんで被ったとき、帽子のクラウンの部分が小さく、深く被ることができないため、カッパのお皿みたいになってしまいます。たまに古着屋さんで試着している人を見かけますが、似合っている人を見たことがないアイテムです。
ブッチャーコート:衛生面に配慮した真っ白なコート
アルパチーノが着てるコートは、ブッチャーコート。
ブッチャーコートは精肉屋(ブッチャー)が食肉を加工するときに着ていたことから、そう呼ばれるようになりました。
映画「ロッキー」にもブッチャーコートが登場します。
このコートも古くなると、レイルロードのカバーオールのように変形ポケットのものが存在します。一見レイルロードのカバーオールと間違いそうになります。しかし袖がボタン留めでなかったり、鉄製のボタンを使用していなかったりするので、見分けがつきます。
U.S.NAVY Pコート:水兵を寒さから守ったコート
アル・パチーノが着てるコートは、U.S.NAVY Pコート。
Pコートについているボタンが8個なので、50年代以降のものになります。
それ以前のものは、襟がダブルステッチで、ボタンが10個ついています。生地はメルトンウールを使用しており、触った感じが滑らです。
アル・パチーノのニットキャップと、Pコートの中にシャンブレシャツの着こなしは、まさに軍物スタイルという感じでカッコいいですよね。
M-65フィールドジャケット:平和を愛するヒッピーが愛した軍物
アル・パチーノが着てるジャケットは、M-65フィールドジャケット。
M-65が4タイプある中の2ndタイプになります。このタイプの特徴は、肩にエポレットがついており、ジッパーがアルミジップ仕様になっています。
映画「タクシードライバー」でデニーロが着てるのも同様のタイプになります。
ハリウッドで大御所の2人(デニーロ、アル・パチーノ)が着ているため、M-65の初期は希少だと分かっていても、2ndタイプが欲しくなりますよね。
いかがだったでしょうか?
チューリップハットのように被っていたU.S.NAVY DIXIE HATや、M-65フィールドジャケットなどヒッピーたちが愛したアイテムがたくさん登場しましたよね。アル・パチーノのシーンごとに変わるヒッピースタイル。大きめのジャケット、シャツ、ブーツカットのパンツの組み合わせは絶妙でとても参考になります。この映画を観るたびに、20代に履いていた細身のブーツカットをチャレンジしてみますが...無理だとわかっていてもヒッピースタイルがしたくなるほど魅了的な映画です。
映画「セルピコ」に興味が出た方は、ぜひご覧になってください。
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