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183 r>gの理解

  
トマピケティの資本論。一度はお聞きになったことがあると思います。r>gこちらはいかがでしょうか。
rは資本ストックの収益率、gは経済成長率を表しています。つまり「r>g」という不等式は、株や不動産、債券などへの投資による資本収益率がつねに経済成長率を上回るということを示しています。
この理解が甘かったのでこの書籍を読みました。タイトル部分を中心に読んだので読破したわけではないですが、是非お読みください。
生産性が増える理由は2つある。一つは単純に人口が増える時。もう一つは国民一人当たりの生産高が増える、すなわち生産性が向上するときである。過去3世紀間、世界のGDP合計は年1.6%のペースで増えてきた。うち0.8%は人口増、0.8%は生産性の向上によるものだ。
過去3世紀に世界の人口は10倍に増えている。1700年頃が約6億だったのが今日では70憶を数える。これほどのペースが将来も続く可能性は低い。国連の予測によると今世紀中に世界の人口は全体として安定化するという。
国民一人あたりの生産性はどうだろうか。とりあえず年0.8%という過去3世紀のペースは今後も維持できると考えてよいだろう。筆者は何もマイナス成長を支持するわけではない。ただし技術革新によってクリーンなエネルギーを発見、発明することが条件だ。これは今のところ実現できていない。いずれにせよ重要なのは、たとえ成長が維持できるとしても、年率1から1.5%を上回ることはもうないということだ。例えばヨーロッパが謳歌した栄光の30年(1945から1975年)のような年4から5%の高度成長は、もはや望むべくもない。これは戦後復興を遂げる過度的な現象に過ぎなかった。
こうした状況下において今後、経済成長率が資本収益率を下回ることは避けられない。
資本収益率とは、資産が1年間にもたらす利益(賃貸料、配当、利子、利益、キャピタルゲイン等)がその資産の価格に占める比率、すなわち利回りのことだ。
一般に資本収益率は年4から5%である。株式や巨額の資産を巧みに分散化して運用している場合は7から8%に達する可能性がある。
資本収益率(r)と成長率(g)はイコールではない。両社の関係性はr>gと表すことができる。この不等式から、過去の蓄積された富が次第に桁外れの規模に達し、自動的に集中していくことが読み取れる。この傾向は数十年前から同じことが言える。伝統的な農地制度社会では、地代による土地の収益率は通常念4から5%だった。
この事実は、純粋に経済学的な観点からすれば、論理的に何の問題もない。資本市場が経済学者の考える意味で純粋かつ完璧であるほど、rはますますgよりも大きくなるのだ。現実の世界で言えば格差は拡大する一方ということになる。
トマ ピケティ. トマ・ピケティの新・資本論 . 日経BP社. Kindle 版.
「まとめ」この観点で中小企業の税引後の内部留保がrを活用できていないのではないか?ということはここ数年ずっとお伝えさせていただいております。もちろんgに自信があればどんどん本業に費やされた良いと思います。ただ本業に回しけれない内部留保、あるいは退職金積立等は額面通り積み立てる時代ではない、ということはこれからも発信していこうと思います。rの部分の工夫が弱い会社さんが多いようにお見受けします。


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