201思いがけず利他
思いがけず利他 ~中島岳志~
「利他」という問題を考える際、核心にせまっていると考える落語がある。「文七元結」
主人公長兵衛は腕の良い左官屋だが博打にはまって仕事が疎かになり、妻娘に貧乏をさせる。ある日家に帰ると娘が昨晩から見つからないと言う。あちこち探しても見つからずにいると吉原の番頭がやってきて「うちへ来てますよ」と言う。吉原に向かうと店の女将の説教が始まる。せっかく腕が良いのに博打ばかりして、娘は吉原に「身を沈める」ことでお金を作ろうとしている。「長兵衛さん悪いと思わな