雑誌『選択』が予告した菅退陣
選挙を棄権することはないが、政治的信条はない。ゆえに支持政党もない。ツィッターやブログで政治的発信をする人がたくさんいるが、そういう気にはさらさらならない。ノンポリの典型である。しかし野次馬根性だけはある。それで『選択』という雑誌を数年前から定期購読している。推測するに新聞社を退職した年輩の記者たちが主たる執筆者であるようだ(時々、読めない難しい漢字熟語が登場する)。これがなかなか面白い。世界情勢、国内政治、経済ニュースの3本柱であるが、短いコラムも結構読ませる。「西風」という関西ローカルニュースを扱う1頁のコラムもある(9月号はヴァイオリンニスト、辻久子さんの追悼記事だった)。9月号は9月1日に届いたが、国内政治の目玉は、「菅義偉の「死の行軍」」。菅退陣を予告しているような記事だった。菅の失政を具体的に縷々述べたうえこう結んでいる。「ここから先は、どの道を選択してもたどりつくのは「菅の退陣」しか見えない。自民党はそんな菅を再選させるのだろうか。」ついでに言えば、岸田の急浮上にも言及している。雑誌『選択』の予言通りになった。つねに正解を提示する訳ではないが、張り巡らされた情報網と経験豊富な洞察が作り出している雑誌であろうか(褒め過ぎか)。
世界情勢についても、普通の新聞やテレビやネット情報にはない記事が載る。アメリカのアフガン撤退については、「アメリカ「アフガン放棄」の冷徹」というタイトルで、バイデンの選択は正しかったという論調である。アメリカ撤退後、中国が進出してくるであろうが、中国は手厳しい反発をうけ泥沼へ落ちるだろうと予測している。要するに西洋民主主義も中国共産党もましてやロシアも、イスラム過激派を打ち負かすことは出来ないという主張である。
「選択」はバイデン支持ではない。先月号ではバイデンに認知症の症状が見られるという記事を大きく扱っている。ハリス副大統領も力不足の感を否めないという。アメリカ民主党政権の前途は多難ということである。
購入を始めた頃は、「選択」には広告がなかった。それが少しずつ広告が出始めている。9月号では裏表紙にイトチュー、表2にPanasonic、表3に旭化成、本文中にも小さな会社の広告が2,3ある。経済記事で日本の企業は徹底的に批判されているが(その最たるものが、ソフトバンクの孫正義)、広告を貰っている会社の批判はさすがに出来まい。誌面広告は喉から手が出るほど欲しい収入源ではあるが、その折り合いをこれからどう付けていくのであろうか。
とまあ、年間購読料12000円の値打ちはある雑誌ではないかと勝手に思っている。