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木枯し紋次郎

テレビドラマ「木枯し紋次郎」(原作:笹沢佐保、主題歌:上条恒彦)を懐かしく思い出す人は、たぶん60代以上の人であろう。若い人には中村敦夫の名前も知らない人が多いのではないだろうか。どんなに有名になろうとも、時が流れれば忘れ去られていく。松本清張は、自分の小説などは50年もたてば皆に忘れさられるだろうと言っていた。今なおテレビで清張原作のドラマが繰り返し放映されるのは、本人の意に反してはいるが、それでもいつかは忘れ去られる運命にある。
で、紋次郎を演じた中村敦夫は現在、81歳で健在である。目下、朝日新聞の文化面「語る 人生の贈りもの」にその経歴が連載されているので懐かしく思い出し、ブログネタにさせて頂くことにした。
俳優、脚本家、ジャーナリスト、ニュースキャスター、大学講師、そして作家でかつ政治家とさまざまな顔を持つが、一貫して硬派のインテリという印象である。ドラマの紋次郎は、上州新田郡三日月村生まれの渡世人、一匹狼で「あっしには関わりのないことでござんす」が口癖であるが、最後には損得度外視で弱者を救うという筋書きに、つい胸が熱くなったものである。
燦然と輝く英雄ではないが、燻し銀のように味のある、冷徹さのなかに人情味のある、俳優としてもたぶん実人生においても、そんな役回りの人ではないかと思う。
聞き伝えではあるが、SFにも関心があるという。僕よりずっと年上であるが、元気で長生きして、まだまだ活躍してほしい人である。

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