マダミスのテストプレイをこれからする人に伝えたい5つのこと
こんにちは。じゅら9です。
私はマーダーミステリーのゲームデザインをしています。
マーダーミステリー制作には大きく分けると3つの山があります。
①シナリオ制作そのもの
②テストプレイ
③リリース
①については過去記事で少し触れましたし、シナリオ制作の方法についてはまた整理してお伝えしようと思っています。
今回はなかなか話題になりにくいマーダーミステリーのテストプレイについてお話しします。
私が作品をテストプレイするなかで学んだ5つのことを少し紹介させてください。
マーダーミステリー制作ではテストプレイが一番大変だと思うので、これからテストプレイをする人に向けてぜひお伝えしたいなと思っていることです。
自作品をネタバレにならない範囲で例として使います。もしも「自分は人よりもネタバレについて厳しいな」と思う方は、そっとこの記事を閉じるのがおすすめです。
それでは、記事を引き続き読む方は少しスクロールしてください。
伝えたいこと① 自作品のよさを信じる
マーダーミステリーのシナリオはよくBOOTHで販売されていますね。今だとTwitterなどSNSをしているマダミス作者も多いです。
BOOTHいいねの数やTwitterのフォロワー数などでなんとなく自分よりもこの人やこの作品が人気なんだなとふっと思ってしまうことがあると思います。
それ以前に、こんな人気作がすでに出ているのに自分の作品なんて出す価値があるのだろうかくらいに思う方もいらっしゃるでしょう。
このような不安はテストプレイ時に自信がなさそうに見える原因になります。作者が自信なさそうにしていると作品までおもしろくなさそうに見えかねません。
「これは超人気作になるんだ」くらいにテンションを上げてテストプレイに望んだ方が結果的にうまくいきます。
そんなこと言われたって、怖いものは怖いし不安なものは不安なんだというのが正直なところかなと思います。
私もいまだにテストプレイが怖いですが、できる限り自信を持ってテストプレイをしようと決めています。
怖いという感情は制御が難しいので、比較的簡単に制御できる姿勢とか呼吸から落ち着かせるのがおすすめです。
要するに、背筋を伸ばして深呼吸しようという話です。
猫背の人は自信がなさそうだし声が小さいというステレオタイプがありますよね。
しょせんステレオタイプだしと切り捨ててもいいのですが、以前整体に行った時に「猫背だと呼吸がしにくい」と整体師さんから言われたことがあります。
それは、肩が前に出ることで胸郭が少し圧迫されて呼吸できる量が少なくなってしまうということでした。
もちろん医師など医療従事者の発言ではないですし、どれだけ信憑性があるかはわかりませんが、「ああ、そうかもしれないなあ」と私は思いました。
たしかに呼吸を大切にしているヨガもインストラクターの方は背筋がピンと伸びている人ばかりです。
浅く速い呼吸をするよりも、深くゆったりとした深呼吸をした方が心は落ち着きます。自信も出てきます。
背筋を伸ばして、前を向いて。
立派にテストプレイをしてください。
伝えたいこと② 心を強く持つ
テストプレイではほぼ確実にご指摘が飛んできます。別にテストプレイヤーさんは作者をいじめてやろうとして言ってるわけではなくて、作品をよりよくしようと思ってご指摘をくださっているのだと私は考えています。
無料で公開するか有料で公開するかは関係なく、「マーダーミステリーという1回しか遊べないものに対してどれくらい自分は満足できたか」という基準でご指摘をされていると思います(当たり前のことだとは思います)。
初作品だからとかテストプレイ1回目だからとかに関係なくかなりシビアな意見が飛んでくることは覚悟をしたほうがいいです。
褒められたらラッキーくらいの方が心が楽だと思います。
また、テストプレイはしたいけど完成度があまり高くないと不安になる方がいるかもしれません。そういう方は後述する「複数のバケツ」の考え方で乗り切るといいです。
「複数のバケツ」を考えるに至った経緯は私が進捗率(完成度30%とか)とともにテストプレイを募集してちょっとした問題になったことです。
要するに、完成度が低いシナリオを1回しか遊べないマダミスのテストプレイに出したと公言すること自体が問題でした。なので、完成度が不安でもそれを表に出すかはよく考えた方がいいことですね。
最初から高い完成度の作品を出せるならテストプレイは不要だと思うのですが、おそらく考え方の違いでしょう。
私の場合、テストプレイにおける完成度のイメージは1つの大きいバケツに入った水です。
1つの大きいバケツの水がいっぱいになったらリリース。
途中でバケツの大きさは変わらないし、予備のバケツもありません。
なので、1回目のテストプレイではバケツの水は少ししか溜まっていない状態です。後半になれば水がいっぱい入っています。
ただ、私のイメージと違う方もいます。代表例は大きさの違うバケツを複数個持っているイメージの方ですね。
テストプレイをする回数分だけバケツが登場します。
1回目のバケツは小さいバケツです。
なので、1回目のテストプレイをするころには水がほぼ溜まって完成度95%くらいになっています。
1回目のテストプレイが終わったら、小さいバケツに入ってた水をもう一回り大きいバケツに移します。
これで完成度が95%から70%くらいになりました。この作業を自分が用意できるバケツの数だけ繰り返します。
テストプレイにおける完成度の概念をどう考えるかですが、おそらく大きさが違うバケツを複数個の方が無難だと思います。
要するに「今持てる全力を尽くしましたので、現時点では完成度は高いと思っています」という考え方でテストプレイに望んだ方がいいんじゃないかなあというのが今のところの考えです。
何をしてもうまくいかないんじゃないかとすら思う時がやってくるかもしれません。ただ、めげないでください。あなたの作品はこれからどんどん良くなると信じて、心を強く持ってください。
伝えたいこと③ テストプレイ記録を残す
テストプレイヤーさんからいただいた感想は文字として残してもらうのがおすすめです。
作者も改善点を見返しやすいですし、テストプレイヤーさんも少しクールダウンできます。
クールダウンがどういうことかというと、PCから一人の大人に戻ってきてもらうことです。
マダミスに登場するキャラはだいたい殺人現場に居合わせています。それで、犯人探しまでしています。非日常の最中にさっきまでいたのです。いきなり日常に戻れという方が無理でしょう。
プレイ後の感情が冷めないなかで「それではご感想をどうぞ」にするともう収まりがつきません。
テストプレイヤーさんがキャラが抜けないままキャラとして話すと、建設的なご意見をいただき損ねてもったいないです。
点数計算をして、アンケートを書いてもらいながらよくわからない点や作者に質問したいことを適宜聞いてもらうという形式が一番やりやすいと思います。
アンケートにはよかった点と改善点の両方を書いてもらうのがお勧めです。他にも議論時間が適切だったかどうかなども聞いてみるといいですよ。
もし「もう作品を作るのやめたい」と感じるようなご指摘に遭遇してしまった場合の対処法も一応書いておきますね。
口頭で厳しい意見がでた場合は自分が感じたことと指摘があった事実を切り分けて整理すると心が落ち着くと思います。できれば文字にしてみましょう。
だいたいはきつい言い方であったりしゃべり方なだけで、文字化して指摘内容を整理すると「あー、確かになあ」と思うこともあります。
文字できつい感想が書かれた場合は、「つまりこの人は何を言いたかったのかなあ」と考えるといいです。文章化すると真面目に書こうとして書き方がきつくなる方は一定数います。
だいたいはきつい言い方や書き方なだけでまじめにテストプレイしてくださった方だと思います。いろいろと思うところはあるかもしれませんが、まずそう信じて自分の感じ方を変える方向に持っていきましょう。
まあ、人間ですからどうしても許せない時はあるかなあと。そういう時は信頼できる人に相談して心を元気にするといいと思います。
伝えたいこと④ デザインは大事
私の代表作は『吸血鬼の行方』です。公開して40日足らずでBOOTH100いいねを突破し、今も伸び続けています。
この作品はもちろんシナリオも凝っていますが、美しいユドナリウムがあることも大きい魅力の一つです。
私は『吸血鬼の行方』以前にも2作品出していましたが、人気の差は圧倒的です。
過去2作品はユドナリウムなし、キャラ絵なし、立ち絵なしという完全シナリオ勝負でした。ただ、内容がおもしろそうというイメージをダイレクトに伝えるのはイラストです。
ユドナリウムはゲーム環境なのでゲーム時間中はずっと見続けます。ですので、ずっと見ていたいと思えるユドナリウムはそれだけで魅力的です。
自分私はイラストを描く能力は高くないと分かっていたので、ユドナリウム、キャラ絵、表紙絵をそれぞれ得意な方にご依頼しました。
その結果、かなりデザイン面が充実した作品となりました。物語世界への没入感が違うと思います。
シナリオだけあればいいというのも一つの考え方ですし、予算の都合などもあるとおもいます。
個人的にはデザイン面を充実させるとよいですよという考えを持っています。
デザイン面が充実すると、それだけで完成に向けてやる気が出てきます。テストプレイのやる気にも繋がるので、ぜひすてきなイラストを準備してみてください。
伝えたいこと⑤ Not For Me 回避策を立てる
マーダーミステリーの大きな欠点がプレイするまで楽しいかどうかわからない上に一回始めると終わるまで離脱できないことだと思います。
ですので、序盤から「これは自分に向いていない」と気づくこと、つまりNot For Me 判定をされるとPLさんが辛いですし、作者も悲しいです。
作品を遊ぶ前にPLさんに向いていそうかどうかを判断できる材料を準備しておくことがかなり重要です。
どこまで書くかは難しいところですが、私の場合は考えうる限り列挙することにしています。
特に『吸血鬼の行方』は血液に関する描写が多いので、「血液が著しく苦手な方は遊ばないでください」と明記しました。
また、『異世界迷宮オークション』は注意事項が多かったです。
いろいろ要素を詰め込んだ関係で、純粋にマダミス1本でとはいかなかったのです。
・謎解き要素あり
・脱出要素あり
・デスゲーム要素あり
・キャラが理不尽な死に方をする場合があります
など。
たぶんここまで読めば王道マダミスが好きな方は『異世界迷宮オークション』をプレイしないと思います。
Not For Me判定をする人がどういう人かなあを考えて、その人に向けてメッセージを出しましょう。
「あなたはプレイしない方がいいですよ。あなたが苦手な要素がいっぱいあります。他にもおもしろいマダミスはいっぱいありますし、そちらで遊んでみてはいかがでしょうか」
楽しい時間を演出するのは作者の役割ですが、同時に向かない人に楽しくないことを回避させるのも作者の役割だろうと思っています。
下に私の商品ページを載せておくので、実際に私がどのようにしてNot For Me回避策を立てたか見てみてください。
『吸血鬼の行方』
https://booth.pm/ja/items/2484183
『異世界迷宮オークション』
https://booth.pm/ja/items/2563411
まとめ
いろいろと書いてみましたが、結局はやってみないとわからないことが多いと思います。
自信を持ってテストプレイしてみてください。
きっとあなたの作品を待っている人はいっぱいいます。
なにか不安なことや相談したいことがあったらお気軽にじゅら9までどうぞ。時間がある時に返信しますね。
シナリオの添削は基本的にしていませんが、シナリオ制作ワークショップを不定期で開催しています。PC数3名固定のシナリオになりますが、その時に参加をご検討ください。
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