THE ROB CARLTON 18F「THE STUBBORNS」感想
頭を空っぽにして、バカバカしいものを観てケラケラ笑う昨今のお笑いも大好きだけどたまには、ほう、なるほど、こう来たか、とニヤッと笑える知的なコメディーを欲していたので、数年振りにロブカーロトンの本公演を観に行った。
ロブカールトンは京都の拠点とするコメディー小劇団で、何度か観劇をしたことがあり、ワンシチュエーションのシットコム持ち味の劇団である。
本公演のTHE STUBBORNS、舞台は会議室のような場所で、男2人女1人の外国人3人(演者は日本人男性3人)が、会社の威信を賭けたプロジェクトの方針を決めるというもので、第一幕は『好きを見せると隙を見せる』『呆れるをほうれると読み間違え 転じて惚れる』などの言葉の思い違いが発生し、三者三様に食い違いが発生するという、アンジャッシュのコントのようなもので、演者全員まくしたてるようなカタコトでスピード感があり、少々複雑な構造であったが、演者の間合いやリアクションで流動的なテンポ感があり、不思議とすっと飲み込めた。
第一幕の序盤、すれ違いが発生する前にテープレコーダーを出して「録音しておけば…」みたいな台詞があったので、これが後半に効く伏線かなと思ったが…
第二幕は第一幕の30年後の話、同じ場所で同じ三人が30年前ここでこんな事があった、私はその時こんなことを言った、などとうろ覚えでその行き違いを笑い話にし、思い出話に花を咲かせるが、何せ30年前の話なのでまた食い違いが発生する。食い違いどことか無い話ばかりして、あーでもないこーでもないと徐々に”ケイオス”と化す。
ここで本当に支離滅裂なことを続けると、観てる人も飽きてきてつまらなく感じるが、ボタン一つの掛け違いが徐々に大きくなる様と、30年前の出来事を思い出そうとする様が面白かった。
30年時が経ったという設定なので日本語も流暢になり、白髪も生えたが、口調や立ち振舞いも、正にプラス30歳。
第三幕は、うろ覚えの第二幕を整理して第一幕再現するのだが、更に”ケイオス”ここで観客は第一幕の台詞を思い出す「録音しておけば…」
第二幕が始まった時、高阪さんが早着替えに失敗しネクタイを巻いていない状態で登場したが、ボブさんが「政治家はネクタイきっちり締めないとな」「声掛けてくれたら良かったのに」「こういうの(早着替え)何度もやってきてるから」とメタ要素を交えながらアドリブで場を繋いだのは流石だなと思った。
何よりロブカールトンはしゃべくり漫才のような情報量とスピード感のある会話劇の中に、たっぷり間合いを使いセンスを感じるワード一言でドカッと笑わせるのは痛快で、スルスルと飲む込めるどころが、もしここに台本があれば、何度も何度も読み返してニヤニヤするくらい、観劇後はお腹いっぱいでとても良いものが観れたと感じた。
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