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Photo by
soeji
銀行での待ち時間。耳を澄ませば、社会の音がする。
諸事で銀行へ。
平日の昼間でも、けっこうお客さんがいる。
なかなかの待ち時間。
パニック障害もちには、
こういう空白の時間がちょっと怖い。
少しドキドキ。
しかし、敢えて、
自分の内面からは意識を外し、
目をつむる。
耳にはいる音だけにフォーカスする。
自動ドアの開閉の音。
人の足音。
銀行員さんの声。
順番を知らせる音。
お客さんの声。
奥の方で何かを印刷する音。
テレビのニュースの音。
社会が動いている音がする。
私が家で引きこもっていても、
社会はこうして動いている。
ありがたいな~と不意に思う。
一方で、私がいてもいなくても、
こうして社会は動いていく。
私が干渉する必要もない。
気がつくと、
さっきまでのドキドキが消えている。
この社会の何が恐怖だったのか。
何を怯えていたのか。
私が今、ここに座っている場所は、
なにも怖くない。
銀行員さんも優しい。
お客さんも、自分の用事を済ませたら
サクサクと帰っていく。
誰も私を脅かさない。
なにも私を脅かさない。
なんて安全な世界。
手続きもテキパキと過ぎていく。
システムが整っている。
しかも、何もかもが掃除され整頓され、
床もピカピカで美しい。
ここは美しい。
そうか、美しかったのか。
帰り道も、
道は整備され、
街路樹は鮮やかな緑の葉っぱが
揺れていて、
大概の皆さんは、交通法規を守って
混乱もなく、穏やかだ。
あれれ、
私の生きている世界はかくも美しく、
安全で、優しさに溢れていたのか。
めんどくさいな~と思いながら
出かけた銀行。
でも、見えた世界は、優しかった。
たまには、
めんどうな事をやってみるのも
良いもんですね。