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情熱インタビュー#1 辻拓未さん
こんにちは。
「情熱ピッチ」では、情熱ある起業家・事業家のインタビュー
題して「情熱インタビュー」を掲載・発信いたします。
今回お話を伺ったのは、第1回情熱ピッチにも登壇をいただいた、
農業×婚活「農コン」を主催する辻拓未さんです。
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■辻さんのプロフィール
大学を卒業後、インフラ企業に入社。社内で新規事業を提案するも不採用となり、副業として社外でスモールビジネスに挑戦中。趣味はカーリングと釣りで、好きな食べ物はフルーツ全般。
インタビュアー:情熱ピッチ運営 佐藤元紀
■177億円分の気持ちが踏みにじられている。
【佐藤】
辻さん、あらためて本日はよろしくお願いします。
最初にお伝えしますが、僕はお話をさせて頂くまで、
失礼ながら「農コン」という言葉の存在を知りませんでした。
だって農業と婚活…つまり出会いの場という掛け合わせは、
なかなか思いつかないというか…結構対局にあるものかなと思うのです。
なぜ辻さんは、そもそもこれを思いつかれたのですか?
【辻さん】
そうですね…(笑)ぶっちゃけてしまうと、
一度、出会いを通じて人間不信になりかけたことが、
僕の原動力、原点だと思います。
【佐藤】
人間不信に?出だしから、中々ヘビーなお話ですね…。
差し支えなければですが、どんなことがあったのでしょうか?
【辻さん】
詳しく言えば、マルチ勧誘に騙されたということなんですが、
僕も数年前は、街コンやアプリなどで本気で出会いを求めていました。
そこを通じて出会った方とすごく良い感じになったんです。
はじめは、マルチ勧誘とか匂わせる感じも一切なくて。
色々なところに一緒にでかけたりして、話も価値観も合うし、
お互いの将来のことも話しあえるような、純粋に素敵な方だったのです。
ある時、いよいよ僕から関係を深めるための話をしようとした際、
向こうから「二人の将来のために、私が尊敬している師匠のもとで一緒に学んでほしい」と切り出されました。
【佐藤】
そこで気づかれたのですか?
【辻さん】
そうですね。その時に「まさか…」という思いがよぎったのですが、
まだ彼女を信じたいし、二人のためになればいう思いが交錯して。
「ちょっと考えさせてほしい」と、その場で明確に答えを出しませんでした。すると、そこから急に彼女の態度が変わっていきました。
最後の言葉は「師匠の下で学ぶ気がないなら、もう会う必要ないよね」で
連絡もブロックされてしまい、その人とはそれっきりでした。
【佐藤】
仲を深めただけにショックですね…。目的はマルチ勧誘だったと。
【辻さん】
そうですね。結局、組織への入会や有料のネットワークビジネス講座
にも誘われたりしていたので…笑
ところで「177億円」という数字があるんですが、
佐藤さんは、これが何の数字かわかりますか?
【佐藤】
177億円?ちょっと見当がつかないです。なんの数字でしょうか?
【辻さん】
昨年発表されたものですが、ロマンス詐欺などの
出会いを利用した詐欺の被害総額なんです。
【佐藤】
ああ、時々、ニュースなどで「〇円を騙し取られた」などの見出しを
目にすることがありますね。
【辻さん】
はい。今時、そんな詐欺なんて引っかかる方が悪いと言われてしまう
風潮すらありますが、僕はそもそも奪う方が圧倒的に悪いだろうと
思うのです。
【佐藤】
うん、それは確かにそうですね。
【辻さん】
しかも奪われるのがお金だけではありません。
相手から騙されるあとにくるのは、絶望感なんです。
これまでの通わせたやりとりや言葉も心も全部嘘だったのかと。。
実は僕も2回も同様の被害に遭っていて、それでしばらく
人間不信になってしまい、恋愛や人から離れてしまったこともありました。
【佐藤】
確かに。信じていた人に裏切られるのは怒りだと思っていましたが、
辻さんの言うように絶望感かもしれませんね。
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【辻さん】
はい。出会いの場を創ることは、本来重要なことだと思います。
でもそこに集まる人の想いや感情に付け込んで、お金を稼いて、
人を悲しませる。こんなやり方がはびこっていくことは、
どうしても許せませんでした。それが僕の原動力になっています。
■世界一健全な街コンをつくりたい!!
【佐藤】
なるほど…辻さんの原動力がよくわかりました。
それで…最初の質問に続く形になってしまうのですが、
なぜそこで農業にたどり着いたのですか?そこが気になります。
【辻さん】
はい。
まず僕は、その体験を経て「世界一、健全な街コンを創りたい」と
思い立ったものの最初どうやればいいものか、すごく悩んでいました。
【佐藤】
そうですね。考えは素晴らしいですが、コンセプトづくりが
とても難しそうだと思います。
【辻さん】
はい。でも、そのきっかけは農業ボランティアだったんです。
【佐藤】
農業ボランティア、ですか?
【辻さん】
はい。実は僕は野菜が好きで、畑を借りて家庭菜園をしようと
思っていたのですが、なかなか近くで畑を借りられず…。
偶々、ネットで見つけた農業ボランティアに参加をしました。
すると、そこで出会う農家さんはもちろん、他の農業ボランティアの参加者の方々も、明るくて優しい、良い方ばかりだったんですよね。
そこでピンときたのですが、そんな場所で街コンを開催すれば、
良い人しか集まらないのでは?と思ったんです。
【佐藤】
なるほど。確かに共通点がある方が話も弾みますし、
価値観も似てることが多いですよね。でも普通の街コンでも
例えば趣味とかスキに特化したものとかってありますよね?
【辻さん】
そうですね。通常の街コンでも、趣味に特化したイベントとか、
そういうものは確かにたくさんあります。
でも結局それって何か共通の目的があるわけではないので
トーク力がものをいう世界になったりするんです。
僕も街コンには10回以上参加していましたが、
全員が似たような会話を繰り返しているだけでした。
結局、終わってみれば相手のこともよく分からないまま、
疲労感が溜まる、みたいな体験が多かったのです。
【佐藤】
確かに、話の上手い人が得をする感じはありますね。
【辻さん】
そうですね。農業の場合は、そもそも開放的な気分になる自然の中で、
物理的な距離も近い中で共同作業をするわけです。
それにわざわざお金を払ってでも農作業のお手伝いに参加しようとする人に、悪い人っていないですよね。
「これってもしかして恋愛とも相性が良いのでは?」と思ったのが
農コンを着想したきっかけです。
【佐藤】
確かに、出会いはもちろんのこと、農業に関しては興味というか
行動力がないと、「参加してみよう!」とはなりづらいですよね。
あえてそこを突き詰めた結果、その掛け算が実現したわけですね。
確かに目新しさや話題性もありますよね。
【辻さん】
はい。着想してから半年くらいかけて、色々と企画したり
周りにも声をかけたりして、なんとか1回目の実現にこぎつけました。
■発足してからが、むちゃくちゃ大変。
【佐藤】
そこは僕も是非詳しく知りたいポイントなのですが、
実際にアイデアから実現に至るまでに、どう進めていったのですか?
【辻さん】
そうですね。まず初回は基本的には、全部、人力でした。
農家さんとの交渉とか、中身の企画はもちろん、
集客は、僕の周りのツテを総動員して、声をかけまくりました。
【佐藤】
それをすべて一人で進めたのですか。それはすごいですね。
【辻さん】
はい。でもおかげで1回目の結果は、20名を超える参加者で大盛況でした。不安もあったのですが、やってみたら、自分が思った以上の成果や
マッチングが生まれて、僕も心でガッツポーズをしました。
その後のアンケートでも、良い声もたくさんいただけたので、
より地域をひろげて、沢山の人に届けたいと思いましたし、
これは絶対に世界一健全な街コンにできるはずだという確信も持てました。
でもそこからが大変でした。
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【佐藤】
素晴らしいですね!順調に滑り出したように感じます。
そこから、どんな苦労があったのですか?
【辻さん】
まず参加者集めが、圧倒的に難しいのです。
1回目で、友人やツテはほぼ使ってしまったので、
2回目以降は、ほぼゼロからの集客になりました。
現地に参加してもらえればマッチング率は高いのですが、
そもそも興味を持ってくれる人を探すのが大変なんです。
【佐藤】
うーん、確かに。若年層で、農業に興味があって、かつ出会いを求めている人を一から探すのは、かなり対象が絞られそうですね。
【辻さん】
そうなんです。ネット広告、ポスティング、ショート動画など、
あらゆる手段を試して、累計で30万円以上は投下をしました。
個人としては結構大きな投資です。
でもそれでやっても集まった結果は、5人とかです。
動画に至っては10本以上作ったのに、
再生時間が累計5秒とかで絶望しました笑。
【佐藤】
それは中々きついですね…。
僕もそうなったら心が折れてしまいそうです。
【辻さん】
はい(笑)やっぱり途中でやめようかなと何度も思いましたね。
【佐藤】
でも、結局その後も続けられたのはなぜなんでしょうか?
【辻さん】
やっぱり参加してくださった方からの温かい感謝の声ですね。
それが一番大きかったです。
「これまで参加した街コンの中で一番楽しかったです」とか
「スタッフさんの安心させてくれる工夫が良かったです」といった
声には、苦労した分だけ、涙が出そうになるくらい嬉しかったです。
【佐藤】
参加者の声が活力になったと。
【辻さん】
はい。あと、もちろん街コンなので、出会いがメインにはなるのですが
農家の方にも喜んでいただけたこともすごく力になりました…。
「農園に来て大切に育てた野菜を目の前で味わってもらえたり、農家の思いを知ってもらえたりすることが、何よりもやりがいになっている」
こんな声には胸が熱くなりました。。
農コンは、健全な出会いの場を広げていくのはもちろん、
農業を身近に感じてもらう意義もあるのではないかなと思っています。
そういった輪を増やしていった結果、徐々に口コミや紹介も増えていったりして、なんとかこれまで9回も開催をしてきました。
【佐藤】
なるほど。ただお金儲けではなくて、社会課題とか、普段は中々身近になりづらいことに、スポットライトを当てていくとというか、そういった意義のあることが大切な動機になっていくのですね。
【辻さん】
はい。私は「暗闇の中に沈んでいる人の心に希望の光を灯す」ことを、
自分のミッションに置いています。
それは、出会いを求める人ももちろんですし、農家の方や
関わる方の心にも光をあてていくような事業をしたいと思っています。
【佐藤】
ありがとうございます。辻さんの思いがすごく伝わりました。
■興味を持ってくださる方にメッセージを
【佐藤】
では最後に、ぜひこの記事を読んだくださる方に
メッセージをお願いできたら嬉しいです。
【辻さん】
はい。まだまだ農コンは立ち上がったばかりで、試行錯誤中です。
今までは僕の地元の関西での開催でしたが、
今年は関東での開催も初めます。
さらには全国にも広げていきたいなと思っています。
まずはそんな思いで活動をしていることを知って頂けるだけでも
嬉しいですし、少しでも興味を持ってくださった方は、
農コンに足を運んでくださるとさらに嬉しいです。
そしてこれは何よりですが、出会いを求めるすべての皆様に
素敵な出会いがあることを心から願っています。
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【佐藤】
辻さん、ありがとうございます!
一見、関連がないことからも着想を得ていく発想力や、
そしてアイデアだけで終わらず、実現していくためには、
大きな使命感をもつということが大事なんですね。
今日は改めてありがとうございました。
【辻さん】
ありがとうございました。
本日ご紹介した農コンに関するURLは、こちらからどうぞ
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