世界大百科事典
そろそろ近付く孫娘のチーちゃんの誕生日に、最も喜ぶ物はと考え、自分自身が今までで一番嬉しかった物を思い出した。そう『平凡社世界大百科事典』で、これを目の前にしたときには、読みもしないのに急に世界が拡がったような感激をした。専用書棚と一緒に贈ろうと思い調べたら、もう20年近く改訂版が出ていないようだ。読み物としても、あらゆるジャンルの中でも『世界大百科事典』が最高傑作だと思っている。
小説を読んでいて、チョットした事でも調べると、そこから更に別の項目に拡がり、いくら時間が有っても足りないくらい面白い読み物だ。
高校生の時に、他校の文学部の生徒がエロ小説を書いて、それがすごく面白かったと女子生徒が言っていた。それ以上に面白い、そしてもっと純文学っぽい物を書いてみて、などと言われて書いた。以前何処かで書いたが、出産でお臍から生まれる場面を書いて、これは純文学よりもお笑いのホラーだと言われ大笑いされた。
その時も『世界大百科事典』で調べ、女性の身体や生理などを初めて知った。その事を自慢気に部室で話したら、みなが知っていて更に笑われた。文学部って、当時はほとんど女子生徒ばかりだから、知ってて当然だった。以降もう書く事に怯えのような、自分自身の余りにも無知なことを恥じたものだ。ずいぶん百科事典を読んでいたつもりだったのに、まだまだ全体のほんの一部しか読んでいなかった。
『平凡社世界大百科事典』は、世界全ての知識の窓のようであり、最も偉大な巨人でもあった。それが20年近くも改訂版が出てないのは、寂しい気持ちもする。今はネットで簡単に調べられるので、必要性が薄くなってきたのだろうか。検索も慣れれば関連事項で更に拡がるが、百科事典の良いところは、全く関連もしてない同じ頁の別の事項から、更に次から次へと興味と知識が拡がることだ。
下の弟に電子辞書を贈ったが、その時のお礼の電話で、チーちゃんが電子辞書をもらってから青空文庫を読み、しだいに自分でも書き始めたそうだ。下の子は残念ながらそういうタイプでは無いが、いつかは必要になると良いが。
チーちゃんは電子辞書で青空文庫を読み、漢和辞典で漢字を調べ国語事典で言葉を調べ、そこから次々に興味が拡がり書き始めたとすれば、最も嬉しい贈り物になっただろう。だから『世界大百科事典』を贈りたいと思ったのだが・・・。もっとも、プレゼントとしてはいささか高価過ぎでもあったが。