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クリーピーパスタ2はこんな本!第16夜THE STRANGEST CASE OF DR. HENRY MONTAGUE (仮題:ヘンリー・モンタギュー博士の一番奇妙な事件)

第16夜
THE STRANGEST CASE OF DR. HENRY MONTAGUE (仮題:ヘンリー・モンタギュー博士の一番奇妙な事件)
作者:The Right Hand of Doom
〈ストーリー〉
モンタギュー博士は、大きな実験装置を研究所に残したまま逃げ出そうとしていた。長い年月をかけて完成したその実験装置は、本来は天空をのぞき、宇宙を占うためのものだったが、予期せぬ結果を引き起こした。2.5メートル四方の装置の中央に開いた「門」の向こうに見えるのは、本来の目的であった天空ではなく、人々が鞭打たれ、皮をはがれ、体を引き裂かれて苦しむ地獄だった。
 
装置に「門」を出現させるには、通常の電源の他にD.A.N.(次元アークノード)という電源装置が必要なため、博士は装置上に「門」が現れないよう、装置からD.A.N.を抜き取って鞄に入れ、研究所を離れるつもりだった。
 
だがドアの外では、博士が違法な実験をしているという噂を確かめようと、保安官と村人たちが集まり、装置を見せろと騒いでいる。博士は仕方なく彼らを部屋に通し、通常の電源を入れた。すると、D.A.N.が抜かれた状態では現れないはずの門が現れ、その奥から、背を向けた博士に向かって巨大な深紅の手が伸びてきて――。
 
〈感想〉
実験装置が誤作動を起こし、手に負えなくなってしまうパニック物語。科学者が主人公のSFテイストですが、地獄の門とつながってしまい、悪魔と対峙するというオカルト要素もミックスされており、シンプルなストーリー展開ながら印象的な作品です。
よく「地獄の窯の蓋が開く」なんて聞きますが(この言い回しは、“今日ぐらい仕事を休もう”みたいな意味らしいですが)、まさに地獄の蓋が空きっぱなしなこの装置。誤作動にもほどがありますよね。
ちなみに、「ノード」は線分の端点。「アーク」はノードとノードを結ぶ直線。つまり「次元アークノード」とは、異次元間をつなぐ電源装置だったらしいのですが、このD.A.N.、キーアイテムとして活躍してくれるのかと思ったら、抜いても挿しても変化はなく、かっこよさそうな名前だけの装置でちょっとがっかりしました。
 
作者のThe Right Hand of Doomは、ユーチューバー兼声優として活動中……とのことなのですが、実際に検索してみると同名の別のものがヒットしてしまうという、謎に包まれた作家のようです。
 
さて、この『THE CREEPYPASTA COLLECTION volume2』には、こんな感じの“SFテイスト”のホラーも収録されています。もし翻訳されたらちょっと読んでみたいな!と思われた方は、ぜひ「いいね」とか「スキ」などリアクションしていただけたら嬉しいです。
(文責:岡田ウェンディ)
 

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