見出し画像

クリーピーパスタ2はこんな本!第3夜Marsh Baywood Shirts (仮題:マーシュ・ベイウッド沼のシャツ)

第3夜
Marsh Baywood Shirts (仮題:マーシュ・ベイウッド沼のシャツ)
作者:TalesOfTim

〈ストーリー〉
母親が出ていってから、父親と弟と三人で暮らす「僕」の家の裏には、絶対に近づいてはいけないと言われている沼があった。ある日、父が靴とズボンを残したまま姿を消した。「僕」は嫌な予感がして、裏庭から薄気味の悪い沼に行ってみた。すると、目の前には異様な光景が広がっていた。沼の木々に、きれいにアイロンがけされた男物のワイシャツが何枚も釘で打ちつけられていたのだ。

「僕」が父を呼んでみると、返事が聞こえた。見ると、父が少し遠くの木に登っている。家に帰ろうと呼びかけても「〝彼女〟が新しい家を飾りたがっているんだ。〝彼女〟が怒るから、俺は家の飾りつけを手伝っている。おまえは家に帰れ」と言うばかりだった。やがて沼の表面が激しく泡立ち始め――。

〈感想〉
本作は、マーシュ・ベイウッドという実在の沼地を舞台にしたホラーで、男性だけを狙う魔物に魅入られた父と、なすすべもない兄弟のお話です。沼の表面がブクブクと泡立った後、いったい「僕」と父に何が起きたのでしょうか……。

それにしても、お父さん。妻が出ていって寂しいのはわかるけど、沼の妖魔につかまるとは、脇が甘いといわざるを得ません。しかも靴とズボンを残したまま失踪? ということは、ワイシャツに下着という格好で沼に向かったのでしょうか。そして〝彼女〟に怒られながら〝家〟の飾りつけをやらされているとは……。お父さんのトンチキっぷりに唖然としてしまいましたが、ショートストーリーではなく、もっと細かい経緯が描かれた中編だったらもう少し説得力のある作品になったように思います。惜しい!

作者のTalesOfTimは、YouTubeで独自のツイストを利かせたホラー物語を発信するアーティストです。同名のチャンネルをのぞいてみると、絵を描きながら語るというスタイルが斬新です。まるでクリーピーパスタ界の水森亜土。(若い人わかるかな?)。興味があればチェックしてみてくださいね。

さて、この『THE CREEPYPASTA COLLECTION volume2』には、こんな感じの“ツッコミどころの多い”オカルトホラーも収録されています。もし翻訳されたらちょっと読んでみたいな!と思われた方は、ぜひ「いいね」とか「スキ」などリアクションしていただけたら嬉しいです。
(文責:岡田ウェンディ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?