人生、綴ってみた 【独身編】 #5
誰の力も借りずに自分の力で生きていた
この頃の自分が一番愛おしい
弟を大学に行かせるために働いた
弟のためではなく
母の負担を少しでも減らしたい
それだけだった
会社で初めてセクハラにあった
嫌だと言っても、押し倒される
やれるもんなら、やってみろ
私は死んでも抵抗してやる
会社のロッカーで乱れた髪を直した
手が震えて思うように動かない
私は天を仰いだ
一人暮らしをすることで
ようやく父から逃れることが出来たのに
これでは虐待がセクハラに変わっただけで
私はどうしたって
ここから抜けきることは出来ない
母に会社を辞めたいと言った
その理由までは言えるはずもなかった
父は精神病院入院中
母は正社員で働いていても
手取りで十二万しかなく
祖母は祖母で一銭のオカネも入れようとしない
弟は大学を休学しての海外留学中
まだまだオカネはかかる
母は泣いた
「こんな状況で
アンタにまで仕事を辞めてほしくない」
私は母の言葉に縛られてしまった