映画は身近な体験である


最近映画を観るようになった。
自分自身の娯楽といえば、読書と、Youtube巡りが主だった。

僅かではあるが、映画の時間の流れを「遅い」と感じていたのだ。

何の本だったか忘れたが、とある男の逃走劇の話だったと思う。刑務所かなにかから逃げている男は、もうすぐ警察の包囲網を抜ける。巧みで鮮やかな手法でうまく追っ手をかいくぐっていくのだ。しかしそのクライマックスで彼は気を緩めて、バーでレコードを聴いてしまう。

そしてそのレコードを聴き終わったとき、ちょうど警察に逮捕されてしまうのだ。

その一瞬さえ気を緩めなければ、2,3分我慢して逃走を続けていれば、彼は捕まることなく逃げ出せ、その後の人生を謳歌できたのだ。

確か、こんな話だった。

それから、たった2,3分が人生を大きく左右するかもしれないという一種のトラウマ的なものを受け、「生き急ぐ」ことが精神にしみついてしまった。

だから、映画の2時間をゆったりと過ごせず(映画館なら話は別だけれど)家で映画を観ようという気にはならなかったのだった。

今までも見ることはあったのだが、別の何かをしてしまう。ゲームをしたりだとか、マンガを読んだりだとか、ひどい時にはそれらを全部一緒に行っていた。


しかし、最近になって年を取ったのかあまりに素早いもの(例えば、Youtubeなんかの1,2分で済む娯楽)では本当に善いものを得られなくなってきた。

もちろん、いい作品もあるんだけれど、作品にのめりこんで埋没する時間は圧倒的に減ってしまった。

20歳を超える前はその一瞬すらも世界へ入りこめて(若さゆえの瞬発力ってやつかな)すべて自分の栄養に出来たんだけれど、今そんな吸収力はない。

尊敬する美輪明宏先生も、映画は見ておいたほうが良いというし、僕の恩師である演出家の先生も若いうちに疑似体験をたくさんしておきなさいという。

Amazonプライムに登録した。

なぜAmazonなのかというと、クレジットカードを持っていない僕はネットフリックスだとかそれ以外の支払いができないからだ。

それに、Amazonなら買い物も便利になるしね。


かくして僕は晴れて僕のiPadのなかに映画館を開館したのだった。(ちなみに、テレビは持っていない)


これから時々、見てよかった映画というものを紹介していきたいと思う。

もし、映画を見たいけれど何見たらいいかわからない人の参考になれば幸いだ。

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鬼堂廻
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