3月に見た映画
さて、コロナだなんだと騒がれているが今日も元気に出勤である。コロナにかこつけて家に引きこもって映画三昧としゃれこみたいところではあるが、生憎あまり影響を受けない職種なので…
ということで暇な時間に見た映画を今日も紹介していこう。
嫌われ松子の一生
突然、「松子」が死んだことを知らされる。
瑛太演じる笙も、観客である我々も、「松子」が何者であるか知らないのだ。どんな人間なのかも知らない「松子」(笙にしてみれば伯母)が殺され、その人生に興味を抱くところからこの映画は始まる。
キャッチコピーは「松子。人生を100%生きた女。」そんなキャッチコピーにふさわしいほど濃厚に、川尻松子を描いた映画だった。
この映画は非常に濃かった。短いながらも濃厚な人生を歩んでいた松子を描いたのだから仕方がない。沢山の恋と沢山の出会いと沢山の別れを松子は経験しているのだ。
短いショットの中でわかりやすく、かつ明確に描くためにミュージカルシーンやコミカルな漫画的表現が使われるのもうなずける。その中で目まぐるしく動いていく状況に不思議と引き込まれ、観客も松子を愛し始めていく。
描かれているものは悲劇のはずなのに独特の色彩とコミカルでポップな雰囲気で躁状態に持ち上げられる。爽快と言えば爽快なのかもしれない。
がむしゃらでもとにかくひたむきに走り続けて、息切れもして、裏切られ、でも彼女は愛し続けたのだ。誰の人生でも起こりうる悲劇、等身大の人生に感情移入して思わず涙が止まらなくなった。
虚しさと愛おしさと哀しさが入り混じる、そんな感情が濁流のように押し寄せてくる作品。
パラサイト
どんなホラーが来るのかと、どんなスリリングなものが来るのかと身構えていたが、そんなものを吹き飛ばすくらい「リアル」な映画だった。
僕は比較的映画を観るときに感情移入をする(ように心がけている)のだが、この映画は誰にもしなかった。これは悪い意味ではなく、「誰にも出来ないような仕組みになっていた」んじゃないかと思う。
なぜかというと、どの人物(どの家族)にも欠点と美点が描かれており、それらをフラットに見せるのがあまりにもうまかったからだ。主人公が誰だったのか、被害者が誰だったのか、誰が悪かったのか、そういう点が複合的になり、わかりやすいようでわかりにくい構図を生み出していたと思う。
アカデミー賞を受賞しているという時点でもう「面白い」のは明白だったが、面白さだけではない部分が大きな割合を占めていた。
匂いがスクリーン越しにも伝わる様な細部までこだわったセットもそうだが、光を見せる構図が圧倒的に美しかった。明るいシーンではこちらまでまぶしくなるような自然光、差し込む光と影のコントラストが良かった。カット割りにも丁寧なものを感じ、監督の愛というか、執念みたいなものまで感じた。
韓国の経済状況に明るくないので詳しくはわからないが、貧困差をしっかり勉強したうえで見たらまた違う視点から考えられる気がする。
貞子vs伽椰子
化け物には化け物ぶつければよくね?というDQNさながらの思考で作られたのではないかという作品。
そもそもホラーとして期待せずに見たのでとても面白くにやにやしながら見られた。霊媒師!霊感少女!呪い!友人発狂!というむしろ人の方が怖いんじゃないかという場面も多々あった。
貞子サイド山本美月、加耶子サイド玉城ティナという感じで呪いに触れてしまった二人がメインで出てくるのだが、加耶子サイドの呪われる基準があいまいというかわかりにくく、なんで?感が否めなかった。
最終的に大半の人間が死ぬけれども、死ぬシーンすらギャグに見えるってなんやねん…面白かったけれども!
発想は悪くなかったと思うが貞子と加耶子を物理的にぶつけるのではなくもっと呪術的要素、呪いの部分にクローズアップしてほしかったなあと思う。ちなみに全然グロくはない。
因みに貞子の呪いのビデオの内容は昔のものとは違くなっている。あの映像が好きだったのになー…
スーサイド・ショップ
タイトルからして好きな映画だ~!と思い視聴。しかしながら、思っていたのとは違う内容であった…
僕は「アダムスファミリー」や「ナイトメアビフォアクリスマス」のような不幸=幸せ的な価値観で生きる自殺用品店の一家の話だと思っていたが、彼らは実は死を売るのが苦痛だった…という結局「常人」思考なんかーいという結末。
色々な自殺方法をお勧めして、「人知れず佇む自殺用品店には今日も誰かが死を求めてやってくる」みたいな風に終わってくれれば正直好みだった。社会的風刺にもなるだろう。
ネタバレになるが、この話は最終的に自殺用品店を廃業して人をハッピーにするクレープショップになる。「人生は最悪だ、だから死を応援します!」だったのが「人生は最高だ、だからおいしいものをどうぞ!」になった。それが僕は悲しいと感じた。最終的に自殺した人々が幽霊になって登場するシーンがあるのだがそれは蛇足だったなぁ…
大衆向けに作るとするならこの作品の締めくくりで良いとは思う。ただ、自分は物足りなさとやるせなさを感じてしまった。もう少しブラックユーモア的でダークアニメを期待していた。ミュージカル調に進んで行くのと、前半部分の内容、アニメーションの綺麗さはとても見ごたえのあるものだった。
「寿命が1年縮まっておめでとう」これは積極的に使っていきたい。
仮面病棟
予告で面白そうだなあと思って映画館で見た。
内容的には良く見かけるサスペンスミステリー。ただ、現代風刺的な面があり、日本の現状を表しているなあと思った。
きついグロシーンなども特になく、かといって軽すぎる内容でもないのでライトに見ることが出来た。ピエロの仮面をつけた男の真の目的と、病院に隠された謎を解いていくという2つの主軸が用意されているのでうまく絡み合いつつ見ていて納得のいくストーリーだった。
犯人に関しては、正直初めからわかっていたが動機・トリック等は良く考え込まれていて見ごたえがあった。主人公の頭がいいのでテンポよく物語が進んで行き、見ていて飽きないものになっていた。
程よいハラハラ感と難しすぎないトリックが好感度高。
リング2
ごちゃごちゃしだしたな~という感想。幼少期に見たのはもっと怖かったけどなんだったんだ?
前作、リングの続き。「呪いのビデオ」を見てしまった息子を助けるべく主人公は父親のもとへとビデオを持って急ぐのだった…という内容から始まる。
2では主人公は変わって、前作で死んだ先生の助手になる。警察やら医師やらが登場してどんどん事態が大ごとになっていく。呪いの連鎖は止められず、結局何人か死ぬのだが、いい具合にオカルト。
前作の呪いのビデオを科学的に解明していこうという姿勢が見られ、余り没入感なんかは感じられなかった。恐怖の開放という名目の科学実験と超常現象に近い貞子の怨念大バトル!もはやバトルマンガみたいな構図になっていた気がする。
高台家の人々
漫画で読んで面白かった作品だったので映画を観てみた。
全体的なコメディータッチと、主人公の妄想シーンの映像が非常にわかりやすくて原作に近かった。それぞれのキャラクターも立っていてテンポが良い。
映画だから仕方がないと思うが、テンポが速すぎて急展開!感が否めなかったがそれでも面白いと思った。実写化で成功している例だと思う。
ただ、ラストが気に入らない。原作と全く違うシーンになっていて、正直白けてしまった。物語的にひとなみ与えてから試練を乗り越える、という構図が欲しかったのだと思うのだがさすがに無理やりだったと思う。
それと同時に超能力(テレパス)があったら楽だろうなあという感想も抱いた。作品中ではそれが大変だという描写が多かったが…
主人公の部屋のセンスが可愛かった。小物で生活感や性格を表しているという表現方法はわかりやすくて良いと感じた。
あと、間宮祥太朗がかっこいい