多分神様だった夢

こんな夢を見た。

目が醒めると、座敷の中だった。
座敷牢に近いような、木でできている檻に囲まれた部屋の中にいた。

お手伝いの女の人が来て、「今日も一日よろしくお願いいたします。」といって、私に手を合わせてから去って行った。

この部屋から出てはいけないと言われていたのを思い出したけれど、ずっとこんな場所にいるのは嫌だったので檻の隙間から抜け出した。こっそりと抜け出せる場所があるとは、誰も知らない。

私の家は三層になっていて、1層目は寺子屋みたいに子供たちが来て勉強を教わり、2層目は客室のような場所になっていて、3層目が私たちが住む場所だ。いま、3層目にいる。

そこから砂利道と鳥居を通って1層目に行った。子供たちが机を並べて勉強している。自分には無縁の世界だと思うけれど、少しだけ羨ましくも思う。畳の上で飽きて寝そべっている子もいる。一人の子供と目が合った。手を振ってみたけれど、無視された。

来た道とは違う道で戻った。客間はいっても仕方がないので、行かないことにした。

3層目に帰ると、お母さんが大広間に来ていた。お母さんは、黒い洋服を着ていて不思議だった。みんな着物を着ているのに、お母さんだけ洋服だ。
さっきの寺子屋の子供たちが大広間にやってきて、お母さんの話を聞いている。何の話なのかよくわからなかったけれど、たぶん私の話だった。

聞いちゃいけないような気がしてその場所を離れた。
遠くで私を探す声がする。隠れないといけない、そう思って近くにある襖を開けた。真っ暗な納戸だった。入る気になれなくて、夢中で廊下を走る。

着物の裾のせいで早く走れない。
ここなら良いかも、とまた障子を開けた。暗い部屋だった。そのなかに、私と同じ禿頭で同じ赤い着物を着た、太ったおばあさんが横になって蝋燭に照らされていた。目が合いそうになる前に逃げた。

逃げて逃げて、行ってはいけないと言われていた2階への階段を上った。

私の家は3層目にある。それも5階建てで。
2階は調理場とかお風呂とかだった。私は一度も入ったことが無い。ここには沢山のお手伝いさんがいたので見つからないように3階への階段を探した。

3階にも客間があった。たくさんの布団や着物がずらりと並べてあって、半分物置のようになっている。誰かが奥から出てくるような気配がした。

4階は娯楽室だった。囲碁や将棋の道具が転がっていたり、たくさんの子供用の人形や遊び道具があった。まりや紙風船なんかもある。
階段を上ってくる人たちの足音がした。

5階に逃げなくては、と思って階段を探した。5階への階段は奇妙で、凧のようなものに残酷絵が描かれた、はしごともいえるようなものだ。それが、とても高い場所から垂れ下がっている。普通にはいけない場所だ。
考えるよりも早く、その凧はしごを手繰って上に登る。
身体は軽く、すいすい登れた。ほとんど浮いているのと同じだ。

登りきるその寸前になって、5階から大きな腕が出てきてその梯子をちぎった。

私は紙のようなその凧たちとゆっくり落ちていく。その中で、ぼんやりと「こんな大切そうなもの破いて、怒られる」なんてことを考えていた。

そこで目が醒めた。

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鬼堂廻
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