職場の幽霊が最近なんだか悲しい

少し前に職場に幽霊が出る話をした。

その幽霊のことである。

僕自身霊感は無く(少なくとも未だに無いと思っている。なぜなら、あると自覚した瞬間に見えてはいけない世界が見て過ぎてしまう気がするからだ)、ただ少しだけ敏感なくらいなのだ。職場のその幽霊は自己主張が激しいのでなんとなく存在を認知しているというわけだ。

はっきりとした姿は見えないが足音が聞こえたり、トイレを流したりと元気いっぱいに活動している。それは変わらないのだが、ここ数日、彼(僕は勝手に彼が少年であると決めつけている)の様子がどこかおかしいのだ。

僕が出勤してすぐに事務所のドアをノックし、表に出れば何も起こらない。これは日常だがその回数が尋常ではないのだ。

以前は一日に2回あれば多いほうだったのに、ここのところ4,5回くらいまで増えている。歩き回る足音も大きいような気がする。

極めつけはイメージだ。

幽霊を見るのに直接的に目視するのではなく脳内にイメージとして補完される場合がある。そのイメージの状態で勝手に脳に浮かび上がらせる像があるのだ。

最近では家に帰ろうと一人で鍵閉めをしていると後ろからついてきている「気がする」のだ。それですべての電気を消して出入り口から出ようとすると、途端に寂しくなる。いや、正確に言うと「幽霊が寂しいと思っている感情がこちらに移ってくる」。

長いこと一緒にいるせいもあってかきっと波長が合ってしまっているんだろうけれども、やはりここは一線ひいた関係性でいたいものだ。

と、そんなことを思っていると、急に悲しい気持ちになってきた。

これも彼の気持ちなのだろうか。

ときどき泣きそうな顔で走ってくる少年のイメージがある。顔こそ覚えていないし思い出せないが、きっと彼の結ぶ像なのだろう。

さて、ここまで話して客観的に見てみると明らかに僕が異常者のようである。まあ、そんなことはどうでもいいのだけれど。

信じるか信じないかはあなた次第。





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鬼堂廻
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