京都紀行文③
京都3日目。曇天続きだった京の都に、晴天が垣間見える。季節はもう秋だというのにどこかじっとりとした夏の空気が混じる。朝食を済ませた後、何も決めていなかった3日目をどう過ごすか逡巡した。足の向く方へ行こう。僕はとりあえず外へ出てみることにした——(2日目はこちら)
四条~祇園四条方面へ
裏道を進みながら新京極の方面へ向かう。新京極のカフェで時間でも潰そうかと思ったが、時刻は9時30分。さすがに店が開いていない。鞄の中には「こころ」の小説が入っている。鴨川でのんびり読書もいいかもしれない。
鴨川へ降りてみるが昨晩の雨のせいもあって地面が濡れていたため、読書を断念。そのまま橋を渡って祇園四条の方へと歩いて行くと、八坂神社が見えてくる。久しぶりにやってきたのだし、参拝しておこうかという気になり、八坂神社へ。
八坂神社
八坂神社は素戔嗚尊を中座に祀る神社である。慶応4年に八坂神社と名前を変えられたここは、祇園を見守る位置にある。境内にはほかにもたくさんの社があり、多くの神様が祀られている。
迫力のある門構え。朱色が青空に映える。
因幡の白兎と大国主命。彼らもコロナ対策をしている。大事。よく見ればソーシャルディスタンスも保っているじゃないか。
参拝して境内を一周し、八坂神社を後にする。ちょうどおみくじなどはやっていなかった。
ねねの道~円山公園付近
八坂神社の円山公園方向に抜ける出口から出てのんびり散歩していく。人力車のお兄さんたちが暇そうにしているが、僕には声をかけてこず。地元民に見えたのだろうか。
円山公園の高台に上ると八坂の塔がちょうど綺麗に見えた。その奥に見える京都タワーがまたいい味を出していると思う。京都感のある写真が取れて満足だ。
北野天満宮
祇園四条へと戻ってきてバスに乗る。「こころ」を読みながら揺られること50分程度。北野天満宮へとやってきた。
今日は僕の気の向くままに旅する日としているので何も考えていない無謀な形で色々なところを回ろうと思う。もっと効率よくいけよと思われるかもしれないが、行きたいところをのんびり回る日なのだ。
ということで、長い移動をして北野天満宮へ。
菅原道真公を御祭神として祀る、全国約1万2000社の天満宮、天神社の総本社となっている。菅原道真公は好きな神様なのだがなかなか来る機会がなかった。鳥居をくぐるとぽつりぽつりといた人たちがいなくなり、人払いが起きた。これは相性のいい神社の証拠だ。
完璧なまでの人払い。ここから本社まで誰もいなかった。
澄んだ空気の中進んで行くと本社が現れる。この時間帯になってくると丁度太陽も真上に来ていて、白い砂利がまぶしい。
おみくじは大吉。「神を信じて勉強を怠るな」とのこと。道真公に勉強頑張れと言われたら頑張るしかない!
本社に参拝したというのにまだ何かざわざわして、呼ばれている気がするので境内をうろうろしていると脇に稲荷神社が。稲荷神社との相性が良すぎて怖い。参拝。すっきりしたので後にする。
花が浮いている手水は花手水というがガラスの浮き球はなんというのだろう。涼しげで粋な計らいだった。
嵐電~嵐山
なんとなくマップを見ていたら嵐電の乗り場が近くにあることに気づき、偶には嵐山でもいくか~と嵐電に向かって歩きだす。本当は西本願寺でも行こうかと思っていたのだが、急遽予定変更だ。
嵐電、大昔に乗った記憶しかなかったのであんなにかわいいトロッコ形式だとは思っていなかった。しかも料金の支払い方がわからなくて混乱した。危ない。電車に揺られること40分程。嵐電の嵐山の駅は充実していて可愛い。お土産を見ながら外へ出る。
京都市内よりも人が多い気がする。着物を着たカップルや若い学生グループが目についた。人力車のお兄さんたちもワイワイしている。嵐山は穴場だと思ってみんな来るのだろうか。
名物の渡月橋を眺めながら上流の方へと散歩していく。自然の音が近いと心が安らぐものだ。
15分ほど歩くと、お馴染みの竹林が見えてくる。ここも誰も居らず、見事なまでの緑が目に飛び込んでくる。わずかに降り注ぐ日光がいい雰囲気を出している。
天龍寺
ここまで来たのなら、と言う事で竹林の道から下りながら天龍寺の裏から入門する。季節的に花が咲き乱れているわけではなかったが、しっとりと落ち着いた空気が流れる。ここの庭園は綺麗なので好きだ。
どっしりとした構えの本殿。ここは世界遺産にも登録されている。天井に描かれた龍の絵が有名なお寺だ。精進料理でも食べようかと思っていたが残念ながら閉まっていた。
池のある庭園。奥に見える山との調和が好きだ。
ゆるゆると回りながら下ってくると丁度降りた駅の目の前だった。バスを待つことにする。
ホテルへ
バスに50分ほど揺られて四条へ戻って来た。どこかお洒落な喫茶店で夕飯とも昼食ともいえない食事でもとろうかと思ったが、9時から歩いていたせいもあり歩き疲れてホテルへ戻ることにした。ホテル前にある松屋で牛丼をテイクアウト。旅行に来ているのにわざと日常的な行為をするのが好きなのである。
ホテルの自室で食事をとると元気が出てきた。この時点で16時。伏見稲荷でも行こうかと腰を浮かせてホテルを出た途端、雨が降ってきた。さすがに雨の中登山は厳しいなと思ったのでコンビニでお酒を買ってホテルへ戻ることに。
せっかくなので、湯船にお湯を張ってのんびり浸かることにした。
明日も歩く予定なので、早めに休息をとるのも良いだろう。
~続く~