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web3に関するレポートを読んでみた(7/N)

第9章 DAO

引き続きレポートを読んでいきます。

https://twitter.com/YuzoKano/status/1616317529080856576?t=hSUo2yC4UQrogG3E9Trgfg&s=19

経緯

Decentralized Autonomous Organization(DAO)。自律分散型組織。
この言葉をよく耳にするようになった。言葉からして、組織形態に関することであろう。googleトレンドで検索してみたところ、2014年頃にピークをつけていた。1997年「Decentralized autonomous organization of the intelligent home according to the principle of the immune system」W. Dilger氏 によって提唱された。サトシ ナカモト氏の論文が発表された2008年なので、約10年前には提唱されていた。

google トレンド DAO

発表から7年後の2014年に検索のピークを迎えたのは、イーサリアムの創業者vitalik氏による「DAOs, DACs, DAs and More: An Incomplete Terminology Guide」が発表されたことが理由であろう。

仕組み

「DAOs == automation at the center, humans at the edges.」
= 「DAOは自動化を中心として、人間を端っこに 」つまり人間が中心ではなく、スマートコントラクトなどが中心。既存の会社組織を考えると、階層的な構造で特定の人が権限を持ちその指示のもと行動するという会社が多いだろう。一方で、DAOは行動を決定するのはDAOに参加する一人一人による投票で決定される。DAOはコミュニティ内でコミュニケーションをし、投票により意志決定がなされスマートコントラクトに反映される。投票権の証は、ガバナンストークンと呼ばれるDAO内の独自トークンである。

ガバナンストークン

ガバナンストークンはDAO(分散型自立組織)の運営における意思決定において、保有者に投票の権利を与えるトークンのことである。

https://www.coindeskjapan.com/keywords/governance-token/

多くのDAOにガバナンストークンが存在する。ガバナンストークンについては、購入することができる他それぞれDAOへの貢献によって入手することができる。

ガバナンストークンの例

Uniswapを例にしてみる。Uniswapはイーサリアム上のDEXである。
ガバナンストークンは、UNI 。UNIの取得は取引所できるほか2020年9月1日以前にUnisawpを利用していたユーザーにAirdrop(無料配布)された。UNIをある程度(UNIの総供給量の0.25%以上) 持っているとスマートコントラクトに関する提案が可能である。また、他のメンバーの提案に賛成、反対することができる。

Uniswap アプリ画面
提案例 polygon への展開について

疑問

ここで、いくつか疑問が浮かんできた。

  1. 投票権は中央集権?

  2. 行動の源は?

  3. DAOが理想?


1.投票権は中央集権?について、「取引所でガバナンストークンが取得できるのであれば億万長者がたくさんのガバナンストークンを買ってしまったら結局決定権が一部に集中しないの?」と疑問が出た。調べていくと下記のような情報があった。

「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」
重川隼飛


このデータからすると、一部に投票権が集中しており、DAOの投票権の分散化は今のところ難しいようだ。ただし、投票がすべてを決定するわけでもなく、ある変更に対して大多数が賛成したとしても変更されない場合もある。


2.行動の源は?

このツイートのなかで「理想的なDAOは、DAOとしてのすべての行動がブロックチェーン上で完結し、それぞれのメンバーが自分の利益を最優先して行動した時に、それがDAO全体にとってプラスになるような設計になっているDAO。」と述べられている。ここで理想的なDAOとあるが、同じDAOであっても実際の活動の様子によって複数存在する。分類の一種としてBalaji Srinivasan氏のツイートを紹介する。

ここでは3つに分類できるとしている。完全にスマートコントラクトで成り立っているDAO(理想的なDAO)、複数の有力者によって成り立っているDAO、1人のリーダーで成り立っているDAO。(そもそも2つ目以降はDAOなのかは疑問)

自分の利益とは、なんだろうか。利益といえば、金銭的な利益を指す場合が多数であろうが様々な自分の利益が存在する。例えば、社会への貢献や探求心など人によりDAOに参加して得られる利益は様々であろう。あくまでもDAOは自己実現を目的としているため、行動の源は自分自身にあると考えられる。

様々なDAOが存在するため、主なDAOを列挙してみる。

  1. Gnosis (イーサリアム上のインフラ構築)https://www.gnosis.io/about

  2. Compound(個人の仮想通貨の貸し借り)https://docs.compound.finance/

  3. Uniswap(DEX)https://coinmarketcap.com/currencies/uniswap

  4. dxDAO(DeFi ecosystem)   https://dxdao.eth.link/

  5. DAOstack (DAO立ち上げ支援)https://daostack-1.gitbook.io/v1/introduction/what-is-daostack


3.DAOが理想? について考えてみた。まず、日本における労働について調べてみた。日本における「国民生活に関する世論調査(令和4年10月調査)」https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-life/gairyaku.pdf によると63.3%の働く目的は「お金を得るため」である。また、同調査にて理想的な仕事は「収入が安定している仕事」が62.8%を占める。「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均」https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf によると労働人口に対する雇用者(会社員)の割合は約7.6%である。このことから日本人の多くは「安定した収入を得るために会社で働いている」ということがわかる。

では、現状におけるDAOにおいてそれが可能か。「安定した収入」について、現状多くの人が得ることは難しい。収入を得るということは、「誰かの願望を叶えた対価」だと思う。その願望が安定して存在するものでなければ、「安定した収入」を得ることはできない。そして、そのような領域にはすでに「会社」が存在する。多くの日本人はその「会社」に所属している。
労働者意識に関するグローバル調査「ランスタッド・ワークモニター」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000004185.html によると日本人の多くは現状維持を望んでいる。このような状況下においては「自立分散型」は難しいと思われる。しかし、終身雇用の終わりが叫ばれて久しく少しずつ「雇用」され続けることは「安定した収入」を得られないリスクが高まってきてもいる。DAOという組織から「個」を磨くことの重要性を感じる。

今回はDAOについて調査して記述してみた。まだまだ、日常にDAOが浸透しているとは言えないがこれから浸透していくであろう。完全なDAOが実現される道のりは長いと思うが、すこしずつDAOっぽいものから進化していくはずである。

2023年1月1日に発表された「web3リサーチ 2023」をもとにここまでnoteを書いてみた。一旦ここでこのシリーズについては終えたいと思うが、第1章「web3」第2章「ウォレット」第3章「NFT」については改めて整理してみたいと思う。引き続きよろしくお願いします。


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