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#庶民感覚の欠如 で盛り上がるのは、マーケターとして気が引ける

21日の朝から「#庶民感覚の欠如」で盛り上がっていますね。キッカケは、れいわ新選組の渡辺さんのTweetです。

Twitter上では大喜利が始まっているようで、みんな朝から元気だなぁと思う次第です。Twitterトレンドにも「#庶民感覚の欠如」が入ったようです。こういうの好きね~。

ただ、僕はあまり、このノリについていけません。ごめんなさい。

菅官房長官が食べておられるパンケーキのお店は、赤坂にあるホテルニューオータニのパティスリーサツキさんですよね(1回だけ行った。美味しくて笑ってしまった)。

担当の方を思うと胸が痛みます。だって自分の店の値付けのせいで、お客様が批判されてしまっているのですから。「あれは金持ちの食いもんだ!」みたいなラベル付けは、本当に悲しい。

まさか渡辺さんは、菅さんが閣僚だから批判しているんですかね?閣僚は高いものを食うな、と。それは「批判のための批判」だから、さすがに政治家志望ともあらせられるお方が、そんな発言はされないでしょう。


大前提として(渡辺さん批判)

「庶民感覚」としておやつが何円なのか分かりませんが、まぁ、仮に遠足と同じ300円だとしましょう。

300円のおやつと、3000円のおやつ。このギャップは「付加価値」にあると考えます。3000円のおやつは、消費者が「3000円払っても食べたい」と思うから買われるのです。

私たちはお金を持っているからモノを買うのか?

いや、違います。価値があるからモノを買うのです。3000円だったら高くて買えないよ!という人もいれば、3000円でも欲しいです買いますという人がいるでしょう。

菅官房長官の場合、そもそも赤坂周辺から離れられないし、甘党だし(確か酒飲めない人のはず)、3000円のパンケーキはまさに「価値がある」し「高かろうが買いたい」のでしょう。

3000円払えるから3000円のパンケーキを買っていると買っているなら、渡辺さんは政治家になられるなら、人間について勉強をした方が良いように思います。

もしこの原理を否定するなら、マーケティングを否定することになります。安売りが全て正しいとなってしまいます。皆さん、どんだけ"中内功"化しているんですか。

「庶民はランチ500円で我慢してるんだ!」
「庶民はおやつなんて食べられないぞ!」

なんて言われても、それはそれ、これはこれ。おやつ食べられなくても、韓流凄く好きでDVD買っている人もいれば、海外旅行に行っている人だっているでしょう。


では「正論」で返すことが正しいのか?

どれもこれも、正論だと思うのです。現状のTwitterの反応って、

「好きなものに金つっこんで何が悪い!」
「みんなで好きなもん見せあおうぜ!」

という解釈をしているのですが、確かに、それを他人がとやかく言う必要は無いと思っています。

ただ、これからのマーケターは「好きなことを好きと公言しても何も批判されない、皆がハッピーだと感じる社会」を作ることも大切なんだろうな、と感じました。

それは今年のカンヌでSilverを獲得した「Kraft Now Pay Later」を見て思いました。公共と企業はもはや分け隔てる意味は無いのかな、と。詳しい解説はこちらにも。https://adgang.jp/2019/08/176675.html

せめて、マーケターは、「#庶民感覚の欠如」で、もうちょっとスマートにやりたいですよね。僕も朝から何しようかずっと考えています。

渡辺さん自身、昨年派遣切りに遭い、いろいろと辛酸舐められたと思うのです。もしかしたら好きなものがあるのに、お金が無くて辛い思いをしたのかもしれません。

そして、そういう方は世の中に実は思っている以上にいっぱいおられるのではないでしょうか。私の地元にもそういう人がいます。

以前に堀江さんが「手取り14万円はお前が終わってる」と批判されました。私の地元には中卒で、なかなか学が足りなくて辛酸舐めている人もいます。楽してこうして稼げるぜ、と紹介しても、自分を卑下して「俺には無理」と拒んじゃう。

でも、その人もまた1人の人間であり、どうしたらその人がハッピーになるかを考えるのって、それがこれからの企業の社会的責任のような気もしているのです。

お金持っている人が「お金持っているんだから、好きなことに使おうぜ!」と公言する世界って、露悪が行き過ぎるとこうなりません?

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海外のセレブって、その辺の見せ方が上手で、例えばブラジルの大富豪は「愛車のベントレーを庭に埋葬します」と宣言し、もったいないと強い批判を浴びました。

もっとも、埋める当日になって臓器移植を広める活動をしている非営利団体を紹介し「人を生かす可能性がある臓器のほとんどが埋められていた」ことを憂いてのPRだったと明かしています。

たしか今年のカンヌでBronzeを受賞した「NEW AUSTRALIA-LAND」は、長年いがみ合っていたオーストラリアとニュージーランドに団結を訴えかけるクリエイティブでした。

このキャンペーンに賛同した航空会社は、両国の往復を「国内便価格」で提供し、売上を伸ばしたとか。


僕は、本当にクリエイティビティに欠けていて、じゃあどうしたら良いのかという代案が出せないのですが、せめて「ただ盛り上がるだけじゃなく、みんながハッピーになれないか」で知恵を絞れないかと提起させていただきます。

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松本健太郎
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