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最多入場者記録を更新した大一番でアーセナルがチェルシーを撃破!! :: MR003 :: WSL Watch #020

今回は'MR = match review'の第3弾、第9節のアーセナル対チェルシーのロンドン・ダービーのマッチ・レヴューを。直近の代表ウィークまでを振り返った"WSL Watch #017"でも「アーセナルとマンチェスター・ユナイテッドがチェルシーの勝点を削れなければチェルシーが独走態勢に入っちゃいそう」なんて書いたけど、勝点3差で迎えた2位対1位の対戦、いわゆる'6ポインター'なんで。結果はちょっと意外だったけど。

ちなみに、この試合はDAZNだけじゃなくYouTubeでも配信されてて、フルマッチのアーカイブも無料で視聴可能。もちろん、The FA Playerでも観れるけど。

ハイライトは両チームがそれぞれYouTubeにアップロードしてるんだけど、勝ったアーセナルのほうがあっさりしてて、負けたチェルシーのハイライトにはサム・カー(Sam Kerr)とエマ・ヘイズ(Emma Carol Hayes OBE)監督のコメントが付いてたりするのもちょっと興味深かったり。

豪華なメンバーが揃う両チームならではの大一番

WSLの中でも屈指の選手層を誇るチーム同士の対戦らしく、とにかくメンバーが豪華っていうのが率直な第一印象で、スタメンはもちろんベンチに座るメンバーを見ても、FIFAウィメンズ・ワールドカップ(FIFAWWC)のベスト8くらいまで勝ち上がる国の主力選手だらけって感じ。ただ、チェルシーはイングランド代表CBでキャプテンのミリー・ブライト(Millie Bright)がケガで欠場してたり、スタメンで出場したエース・ストライカーのオーストラリア代表FWのサム・カーが直前の代表活動をケガで辞退してたり、ケガから復帰したノルウェー代表MFのグーロ・レイテン(Guro Reiten)もサブだったりと、どちらかっていえばメンバー編成の面で若干不安があったのかも。アーセナルはイングランド代表FWのベス・ミード(Beth Mead)が大きなケガから復帰してかなり本調子に近い状態になってたり、同じく大きなケガから復帰したオランダ代表MFのフィフィアネ・ミデマー(Vivianne Miedema)もベンチ入り、さらにスコットランド代表MFでキャプテンのキム・リトル (Kim Little)もこの試合に合わせたかのようにケガから復帰してて、ほぼほぼ盤石の布陣って感じだったかな。

アーセナルが持ち前の武器を活かして快勝

基本的な構図としては、どっちもボールを保持して相手を押し込んで個々の選手のクオリティで相手を凌駕するような闘いができる力を持ったチームだと思うけど、ぶっちゃけた言い方をしちゃうと、保持のビルドアップにしても押し込んでからのフィニッシュまでの流れにしても、非保持のプレッシングにしても撤退してからの守備にしても、トランジション局面にしても、そこまで戦術的に緻密に整備されてるって印象はなくて。戦術的には保持も非保持もわりとオーソドックスだけど、オーソドックスなカタチで選手の個性をちゃんと発揮させれば個のレベルの差で上回れる、言い方を変えれば、普通にやれば質でブン殴れるタイプのチームって印象だったりする。ただ、どっちかっていうとアーセナルのほうがよりボールを保持したがる傾向が強くて、チェルシーは持てないなら持てないで非保持からでも試合をコントロールする柔軟性がある気がするけど。

FotMobのスタッツを見ると、保持率は48%:52%、シュート数も12:12(枠内は5:6)だったりして、期待通りの拮抗した内容だったようにも感じられるんだけど、実際には、アーセナルが先制してチェルシーが追いついて、アーセナルが勝ち越してさらに追加点を奪って3-1でハーフタイム、後半にアーセナルがダメ押し点を決めたって展開だったんで、スタッツ以上に終始アーセナルが上回ってた印象だったかな。

前半の早い時間に生まれたアーセナルのベス・ミードの先制ゴールとチェルシーのスウェーデン代表MFのヨハンナ・リッティン・カネリード(Johanna Rytting Kaneryd)の同点ゴールはどちらもちょっと似た状況から生まれたゴールで、相手のハイプレスを回避してからのいわゆる'擬似カウンター'で、プレス自体はわりと厳しくかかってたと思うし、プレス回避自体もチームとしてのカタチってよりも個々の選手の閃きと能力で解決しちゃった感じだったと思うけど、フィニッシュの部分まで含めてそれができちゃう選手がいるこの2チームならではって感じだったかな。

同点になってからアーセナルの追加点が入るまでの約20分がこの試合のキーになる時間帯だったと思うけど、WSLの上位対戦ならではのバチバチした攻防で見応え十分だったかな。結果的にアーセナルの勝ち越しゴールはCKからのスウェーデン代表DFのアマンダ・イレステット(Amanda Ilestedt)のヘディング・シュートだったんだけど、アマンダ・イレステッドっていえばFIFAWWCでも大きなインパクトを残した選手、特に日本戦の先制点を含めて計4ゴールを決めた選手で。今シーズンからアーセナルに加入した新戦力なんだけど、CKからの得点力は当然期待されてた部分だと思うんで、アーセナル的には'してやったり'のゴールだったんじゃないかな、と。

しかも、その直後の追加点も今シーズンの新加入選手で、ものすごく大きな注目を集めた中でマンチェスター・ユナイテッドから移籍してきたにも関わらず、期待されてたほどゴールを量産できてなくてちょっと風当たりが強くなってた感じもあったイングランド代表FWのアレッシア・ルッソ(Alessia Russo)の個の能力が炸裂したファイン・ゴールだった点も含めて、3得点全てがアーセナルの武器が活かされた理想的な前半だったって印象。素直に「アーセナル、強いな」って感じで。

後半頭にチェルシーが3人同時に選手交代して352みたいな並びに変えて反撃を試みたけど、流れ的にはそこまで押し戻せなくて。最終的にはアレッシア・ルッソのペナルティでアーセナルが追加点を決めて勝負アリ。正直なところ、ここまで差が開くって予想はしてなかったし、そこまでチーム力に差があるとは思わなかったけど、結果的にはアーセナルの強さが際立った一戦だったかな。

この試合を終えた段階での順位表を見ると、チェルシーの首位は変わらずだけどアーセナルが勝点で並んで得失点差で2位、順調に勝点を積んだマンチェスター・シティが勝点3差、マンチェスター・ユナイテッドが勝点4差で追う展開に。やっぱりトップ4の混戦のままウィンター・ブレイクを迎えそうな感じになってきたのかな。

WSLの最多入場者数の記録を更新

普段はアーセナルのメンズ・チームが使ってるエミレーツ・スタジアムで開催されたこの試合の大きなトピックとして、WSLの最多入場者数の記録を更新する59042人が来場したことも見逃せないかな、やっぱり。アーセナルはもともとWSLの中でも人気があって、10月に行われた今シーズンの開幕戦のリヴァプール戦で同じくエミレーツ・スタジアムに54115人を集めてたんだけど、その記録を約5000人上回る60000人近いファンを集めたホーム・ゲームで、期待の新戦力とかスター選手が活躍して、王者相手に快勝したっていうのはいろんな意味でものすごく大きな価値がありそう。

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