抜群のテクニックとスター性で絶大な人気を誇るベス・ミード :: P2W008 :: WSL Watch #050
アーカイブ的な意味合いもあるかも? って思って気まぐれに量産体制に入った'P2W = person to watch(注目したい人)'シリーズの第8弾はアーセナルのイングランド代表FWのベス・ミード(Beth Mead)を。WSLのアイコンって言ってもいい選手だし、大怪我から復帰してから好調を維持してるし、圧倒的な存在感とスター性の大きさを改めて強烈に印象付けてる感じなんで。
テクニックとアスリート能力を兼ね備えたアタッカー
プロフィール的な部分は後回しにして、とりあえず、ベス・ミードのざっくりとした印象を言うなら、「左右両足使えてゴールもアシストもできるテクニシャン」って感じかな。
個人的に際立ってると思ってるのは'テクニシャン'って部分。バカっぽい表現だけど、とにかく上手い。好みでいうと、浮き球のコントロールとキック・フェイントが特に好き。けっこう強い浮き球のサイド・チェンジのボールを足下にピタッと止めるいわゆる'変態トラップ'も最高だし、観てて「コレは引っかかっちゃうな」って思わざるを得ないようなリアリティ抜群のキック・フェイントも極上。で、キック・フェイントにもつながってるんだけど、その前提としてキックがものすごく上手くて。しかも両足。だから、キック・フェイントが一層効果的だし、右でも左でも上手いから効果倍増って感じで。キックが上手いってことはパスとかクロスも上手いしシュートも上手い。特にシュートに関しては、まさに「シュートはゴールへのパス」を実践してるっていうか、必要以上に強振せずに適切なコースに適切な強さで決めるようなコントロール・ショットが上手い印象。クロスに関しても、グラウンダーの速いクロスだったりGKの頭を越える浮き球だったり、アイデアも豊富だしそれを実行できる確かな技術も持ってる感じ。基本的には右利きで右WGでプレイすることが多いけど左足も普通に上手くて、自ら仕掛けることもできるから、右サイドでボールを持ったときの選択肢をたくさん持ててる。まさに質的優位っていうか、とにかくチームとしてボールを渡す回数が増えれば増えるほど確実にチャンスも増えるってタイプのアタッカーかな。
ちなみに、上手さが目立つから印象としてものすごく突出してるって感じではないんだけど、実はアスリート能力も高くて、速さも強さも兼ね備えてる。テクニシャンだけど守備の強度も高いし。
大怪我から復帰して一層の輝きを放つスター選手
プロフィール的な部分も押さえとくと、ベス・ミードはイングランド北部のウィットビーっていう小さな村出身。本人曰く、人口2000人くらいで羊の数のほうが多いような土地なんだとか。アーセナルでは背番号9を付けてるFWで1995年生まれの28歳、ユース年代をミドルズブラを過ごして、プロのキャリアは2011年にサンダーランドでスタートさせた後、アーセナルでプレイするようになったのは2017年から。まだ20歳だったサンダーランド時代の2015年に当時最年少でWSLの得点王に輝いて、年間最優秀選手にも選ばれてる。WGでプレイするようになったのはアーセナルに加入してからとのことで、ゴールだけじゃなくアシストも量産するタイプの選手として活躍、WSLの歴代アシスト数で1位で、ゴール+アシストが100に達した2番目の選手だったりもするらしく、アーセナルはもちろんWSLを代表するアタッカーとして活躍してきた感じ。
U15から各年代でイングランド代表に選ばれて、フル代表の初キャップは2018年。2019年にベスト4まで勝ち上がったFIFAウィメンズ・ワールドカップ(FIFAWWC)、2022年に自国開催で優勝したUEFAウィメンズ・ユーロ(WEURO)でも主力として活躍してる。
ただ、2022年11月にいわゆるACL、前十字靭帯を負傷して長期離脱することに。ケガから復帰するまでのプロセスを追ったドキュメンタリー、"STEP BY STEP"については"WSL Watch #025"で紹介したけど、試合に復帰したのは2023年10月なんで夏にオーストラリアとニュー・ジーランドで行われたFIFAWWCには出場できなかったってことになる。
試合の中継映像とか、メディアの報道とかSNSなんかを見てても、とにかくイングランド国内での人気は絶大って印象で、やっぱり2022年の自国開催のWEUROの優勝の影響が大きかったんだと思うけど、2022年にはBBCのスポーツ・パーソナリティ・オブ・ジ・イヤーみたいなメディア関係の表彰でも複数選出されてたり、2023年には大英帝国勲章(MBE)を与えられてたりする。
とりあえず、WEURO優勝以降のイングランド代表のスター選手であり、WSLを象徴するアイコン的なアタッカーだってことは間違いないはず。
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