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WSLウォッチ・ガイド24/25 :: WSL Watch #108
*有料設定になってるけど全文無料で読めます。
「WSLについての情報を知れる日本(語)のメディアってないよな」って思いついて約1年(正確には約11ヶ月)前に始めてみた"WSL Watch :: magazine"だけど、WSLの24/252シーズンが始まったタイミングなんで改めてウォッチ・ガイド的な情報をまとめておこうかな、と。なるべく「初めてWSLを観る」「これからWSLを観てみようと思ってる」って人にちょっとでも役に立てば...って思いつつ。基本的には一番最初に書いた"WSL Watch #001"の「WSLウォッチ・ガイド」をベースにした改訂・アップデート版って感じで、同じ部分は同じなんだけど。一応、開幕節は全6試合観たからその印象も加えつつ。
24/25シーズンのWSLは12人の日本人選手がプレイすることに
WSLっていうと、特に日本ではやっぱり「シティになでしこが4人」とか「日本人選手が12人も」とかって認識になってる感じ。もちろん、全然間違ってないんだけど。とりあえず、24/25シーズンのWSLでプレイする選手と所属チームは以下の通り(順番は昨シーズンの成績順、同じチームの選手は背番号順)で、新たにWSLにチャレンジする選手が3人とWSLのチーム間で移籍した選手が2人いる。
チェルシー
FW 23 浜野 まいか(Maika Hamano)
マンチェスター・シティ
DF 2 清水 梨沙(Risa Shimizu)◁ 移籍
FW 20 藤野 あおば(Aoba Fujino)◁ 新加入
MF 25 長谷川 唯(Yui Hasegawa)
GK 31 山下 杏也加(Ayaka Yamashita)◁ 新加入
▶︎ リヴァプール
MF 8 長野 風花(Fuka Nagano)
▶︎ マンチェスター・ユナイテッド
MF 20 宮澤 ひなた(Hinata Miyazawa)
▶︎ エヴァートン
MF 19 林 穂乃香(Honoka Hayashi)◁ 移籍
▶︎ ブライトン&ホーヴ・アルビオン
FW 11 清家 貴子(Kiko Seike)◁ 新加入
▶︎ レスター・シティ
MF 6 宝田 沙織(Saori Takarada)
FW 29 籾木 結花(Yuka Momiki)
▶︎ ウェスト・ハム・ユナイテッド
FW 9 植木 理子(Riko Ueki)
昨シーズンのWSLでの日本人選手の活躍ぶりに関しては"WSL Watch #078"でまとめたけど、ウェスト・ハム・ユナイテッドに清水梨沙と林穂乃香と植木理子がいて、「日本人選手が3人も同じチームにいるなんてスゲエな」とか思ってたけど、今シーズンはマンチェスター・シティに4人の日本人選手が所属することになって、楽しみなのはもちろんだけど、正直なところ、それ以前に率直にビックリって感じ。ちなみに、日本人選手がいないのはアーセナルとアストン・ヴィラとトッテナム・ホットスパーと昇格チームのクリスタル・パレスの4チームだけで、12チームの内の8チームに日本人選手がいて、海外のリーグの話だとメディアなんかでは'日本人対決'なんて表現が使われることは多いけど、改めて確認してみたら今シーズンのWSLは日本人対決が毎節必ずあるって状況に。もちろん、ケガとかチーム内の序列の事情で日本人選手が試合に出れないこととか、冬の移籍ウィンドウの動向でシーズン後半の状況が変わってる可能性はあるけど。
WSLを日本で見るには?
日本での視聴環境については"WSL Watch #106"でまとめた通りで、始まるまではいろいろ不明な点があったけど、結論としてはシンプルにYouTubeで全試合を無料でライブ視聴可能ってことになったっぽい。ただ、昨シーズンまで一部の試合を配信してたDAZNでは日本語の実況・解説付きの試合もあったけど、今シーズンは基本的に全試合英語実況ってことになるはず。
WSL(ウィメンズ・スーパー・リーグ)の概要
で、改めてリーグ自体の概要を。WSLはイングランドのウィメンズ・フットボールのトップ・カテゴリで、'ウィメンズ・スーパー・リーグ(Women's Super League)'の略。英語圏でも一般的に'WSL(ダブリュ・エス・エル)'って呼ばれることが多いみたい。設立は2010年で、現行のレギュレーションで開催されるようになったのは2011年から。
リーグの概要は以下にような感じ。
現在は全12チームがホーム&アウェイで対戦する全22節のリーグ戦。
優勝チームがUEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグ(UWCL)のグループリーグにストレート・イン、2位と3位のチームは予選ラウンドに出場できる(ちなみに、予選ラウンドの仕組みはかなりわかりにくい)。
最下位のチームが2部のウィメンズ・チャンピオンシップ(WC)に自動降格(入れ替え戦はナシ)して、WCの優勝チームがWSLに昇格する。
現段階ではVARは導入されてない。
今シーズンは9月半ばに開幕して代表ウィークを挟みながら12月中旬までに10節を消化。1月の半ば過ぎまではウィンター・ブレイクで、その後も代表ウィークを挟みながら5月半ばまでに22節を消化する。
並行して国内の2つのカップ戦、FAカップとリーグ・カップも開催されてる。
夏と冬に移籍ウィンドウがあって、今年の夏の移籍ウィンドウはもうクローズしてる(主な動きは"WSL Watch #104"を参照)。1月に冬のウィンドウもある。
国際色が豊かなリーグで、外国籍選手(もちろんイングランド人以外の選手って意味)がものすごく多い印象。調べたわけじゃないけど、選手の出身国は30ヶ国以上だってどっかで見たか聞いたかした気がする。試合を観ててもピッチ上にいる選手の半分以上がイングランド人選手ってケースはほとんどないんじゃないかな? ただ、10人以上いる国はそれほど多くないんで、12人になった日本はわりと大きな勢力って言えるはず。もちろん、現地ではイングランド人の若い選手の出場機会が減るなんて議論もあったりするみたいだけど。
昨シーズンまではFA(The Football Association / イングランド・サッカー協会)が運営してたけど、今シーズンから新たに設立されたウィメンズ・プロフェッショナル・リーグス・リミテッド(Women’s Professional Leagues Limited / WPLL)がWSLとWCの運営母体に。
蛇足だけど、スポンサー名を付けてBWSL(Barclays Women's Super League)って呼ばれたりすることもあるっぽい。さらに、サーフィンの'World Surf League'とかコンピュータの世界の'Windows Subsystem for Linux'なんてWSLもあったりするらしくて、特に検索するといきなりサーファーの写真とかコードの話とかが出てきたりして、ちょっと紛らわしかったりする。
WSLの全体像をざっくりとまとめると…
個人的にWSLをちょいちょい観るようになったのは21/22シーズン、22/23シーズンはそれなり以上の試合数、たぶん全体の半分以上は観るようになって、23/24シーズンに初めてガッツリ観た、一応、全試合フルマッチで観て、試合前後の会見だったりもろもろの報道だったり移籍情報だったりリアルタイムで追いかけるようになった感じなんだけど、そのくらいのボリュームで観てきた範囲で感じたこと、特にプレミアリーグとかJリーグとかと比較して感じたリーグとしての特徴は以下ような感じになる。
大前提として、38節あるプレミアリーグとかJリーグとかと比べると22節しかないWSLは当たり前だけど1試合の勝敗と勝点の価値が大きい。
基本的には、優勝とUWCL出場を狙う上位グループ、WSL残留が目標の下位グループ、どちらでもない中位グループの3グループに分けられて、前まではそれぞれ4チームずつに分かれてた印象だったけど、昨シーズンからはちょっと変わったかも。中位チームが多くなった感じ。
チーム名を聞くとプレミアリーグのイメージと重なりがちけど、必ずしも男女でチーム力のイメージが重なってるわけじゃない。
上位チームはいかに中位・下位から取りこぼさずに上位同士の直接対戦で勝点を稼ぐかが大事。ただ、昨シーズンは過去のシーズンよりも上位チームが下位チームに苦しめられることが多くて、全体としてよりコンペティティヴになったというか、中位・下位のチームの力が相対的に上がってる印象だったりする。
上位チームとの対戦では中位・下位チームは割り切った闘いをすることも珍しくないんで、そのチームの特徴は見えにくかったりすることが多い。ただ、中位・下位チームでも上位チーム以外の対戦だとかなり明確なプレイモデルで闘ってるチームもあって、ある意味では上位チームとの対戦よりも面白かったりする。
全12チームで毎節6試合、しかも、リーグ戦がミッドウィークに開催されることがほとんどないからたくさん観やすい、ちょっと頑張れば1週間で全試合観れちゃうというか、Jリーグだったりプレミアリーグだったりに比べるとたくさん試合を観て全体像を把握しやすいリーグって気がする。
昨シーズンが始まった段階では「わりと明確に上位チームとそれ以外のチームは戦力差がある気がする」って書いてて、最終的に優勝したチェルシーと得失点差で2位だったマンチェスター・シティは18勝1分3敗で勝点55、つまり、勝点を取りこぼした試合は4試合しかなかったわけだから、戦力差があるっていえばあるんだけど、それでも直近の数シーズンの優勝チームの勝点としては最低で、上位チームとそれ以外のチーム力の差は縮まってきてる感じがしてる。
24/25シーズンのWSLを闘う12チーム
以下の地図が今シーズンのWSLに参加する全12チームがある場所なんだけど、見ての通りかなり固まってて、エンブレムが重なっちゃって見えなくなってたりもするんだけど、ロンドンに5チーム、リヴァプールとマンチェスターにそれぞれ2チーム、それ以外の街に3チームって感じになってる。しかも、ブライトンはわりとロンドンに近いんだけど。
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詳しくは後でそれぞれのチームについて言及するけど、ロンドンにアーセナルとチェルシーとクリスタル・パレスとトッテナム・ホットスパーとウェスト・ハム・ユナイテッド、リヴァプールにエヴァートンとリヴァプール、マンチェスターにマンチェスター・シティとマンチェスター・ユナイテッド、バーミンガムにアストン・ヴィラ、レスターにレスター・シティ、ブライトンにブライトン&ホーヴ・アルビオンがあるって感じ。
ざっくりチーム紹介①・上位は3チームの争いに?
で、実際に24/25シーズンのWSLを闘うことになる12チームの情報と印象を思いついた範囲でざっくりと。独断と偏見で上位を争うって予想してるグループからまとめる感じで。
▶︎ チェルシー(Chelsea Football Club Women)
現在リーグ戦5連覇中の絶対王者。
ロンドン西部のチームで、ホーム・スタジアムはキャパシティ4,850人(座席は2,265人)のキングスメドウ。普段はメンズ・チームが使ってるキャパシティ40,173人のスタンフォード・ブリッジも数試合使う。あまり気にしたことはなかったけど改めて場所を確認してみたら、キングスメドウはロンドンの中心部からはちょっと離れてる感じ。
"WSL Watch #009"で書いた通り、チェルシーの黄金時代を作り上げた現アメリカ代表監督のエマ・ヘイズ(Emma Carol Hayes OBE)が昨シーズンまでで退任して、("WSL Watch #081"で触れた通り)昨シーズンまでリヨンでたくさんのタイトルを勝ち取ってきた44歳でフランス人のソニア・ボンパストル(Sonia Bompastor)監督が就任した。
監督が代わったから戦術的なディティールとか選手の序列とか個々の選手の起用ポジションとかが微妙に変わるかもしれないけど、基本的には典型的な'強者のサッカー'って感じ。わりとオーソドックスに適性ポジションに選手を並べて、戦力の質と層でアグレッシヴに試合を支配して殴り勝つっつうか。昨シーズンまでは3バックを使うこともあったけど、今シーズンに関しては4-2-3-1が基本っぽい。
とにかく、選手層の厚さが異常。スタメンとサブはもちろん、ベンチ外のメンバーでも普通に強豪国の代表の主力クラスが揃ってる感じで。
日本人選手だと浜野まいかが所属してる。22/23シーズンの1月の移籍ウィンドウで加入したけどそのシーズンはローンでスウェーデンのハンマルビーでプレイしてたから、チェルシーで初めてシーズンを通してプレイしたのは23/24シーズンで、今シーズンは2シーズン目ってことになる。スタメンのポジションが確保てきてるとは言えないけど、サブには入るし途中出場はするって感じの序列には入れてるっぽい。
▶︎ マンチェスター・シティ(Manchester City Women's Football Club)
昨シーズンは王者のチェルシーを同勝点・得失点差っていう僅差まで追いつめたチームで、近年は常に上位を争ってる。
マンチェスターにあるチームで、ホーム・スタジアムはキャパシティ7,000人(座席は4,998人)のアカデミー・スタジアムだけど、ウィメンズ・チームにはネーミング・パートナーが付いててジョイー・スタジアムって呼ばれてる。普段はメンズ・チームが使ってるキャパシティ53,600人のエティハド・スタジアムも数試合使う。
ジョイー・スタジアムはエティハド・スタジアムから道路を挟んだ(橋を渡った)場所にあって、エティハド・キャンパスなんて呼ばれてるマンチェスター・シティのトーレニング施設内にあるんで、ロケーションとかアクセスの面ではかなり恵まれてるって言えそう。
51歳でイングランド人のガレス・テイラー(Gareth Taylor)が2020年から監督を務めてて、今年3月に契約を3年延長してる。
マンチェスター・シティのプレイモデルに関しては去年の11月に"WSL Watch #008"で書いてて、今でも変わってないと思うけど4-3-3が基本フォーメーションで、ポジショナル・プレイをベースにした質が高い保持型のサッカーが特徴。個人的には、戦術面で観てて一番面白いチームだと思ってるけど、トランジションが繰り返される展開になったり、フィジカル・バトルで勝負されたり、パワーで押し込まれる展開での撤退守備はちょっと苦手にしてる印象もある。
"WSL Watch #008"で書いたことと違ってる部分、その頃から変わった部分を挙げると、"WSL Watch #053"で紹介したイングランド代表MFのジェス・パーク(Jess Park)の存在がある。昨シーズンの後半にブレイクして、すっかり主力になってるんで。あとは、"WSL Watch #104"でもまとめた通り、フィフィアネ・ミデマー(Vivianne Miedema)に代表されるような今年の夏の新加入選手も追加された要素って言える。
今シーズンは日本人選手が4人になって注目を集めてるけど、贔屓目抜きで長谷川唯のプレイと存在感は別格。保持を安定させる(ネガティヴ・トランジションも含めて)部分で、チームのプレイモデル自体を成り立たせるのに不可欠な役割も担ってると思うんで。"WSL Watch #094"でも紹介した通り、PFAアウォーズで2年連続ベスト11に選出されてるのも納得って感じ。
今シーズンから加わった日本人選手3選手だと、ケガで長期離脱中の清水梨沙以外の2人、山下杏也加と藤野あおばは早くも主力になってるっぽい。別に過小評価してたつもりはないけど、2人とも初めての海外移籍だし、山下杏也加はGKってポジションの特殊性、藤野あおばは年齢の部分を考えると、もうちょっとフェイド・インって感じっていうか、ある程度時間がかかるのかな? って思ってたら普通にUWCLの予選ラウンドのパリFC戦と開幕戦のアーセナルとの大一番にスタメンで起用されてて、正直なところ、(もちろんいい意味でだけど)けっこうビックリしちゃった。
清水梨沙に関しては、WSLでの実績も十分あるし、ケガがちゃんと治れば何の問題もなく主力として活躍すると思ってる。
▶︎ アーセナル(Arsenal Women Football Club)
近年は常に上位を争ってるし、成績を見ても入場者数を見ても、実力・人気を兼ね備えたWSLを代表するチームって言える。ちなみに、昨シーズンの平均入場者数は圧巻の29,998人で、マンチェスター・ユナイテッド戦で史上最多の60,160人って記録も作ってる。
ロンドン北部のチームで、今シーズンからメンズ・チームが使ってるキャパシティ60,704人のエミレーツ・スタジアムがホーム・スタジアム扱いになるんだとか。もちろん、WSLでは圧倒的に最大規模のホーム・スタジアムってことに。
今まで使ってたキャパシティ4,500人(座席は1,700人)のメドウ・パークもカップ戦なんかでは使うっぽい。
選手層はかなり充実してて、チェルシーと同じように「スタメンとサブはもちろん、ベンチ外のメンバーでも普通に強豪国の代表の主力クラスが揃ってる」って表現が当てはまる感じ。
戦術面でもそれほど尖った特徴はなくて、良くも悪くもオーソドックスだけど'強者のサッカー'って印象。適性ポジションに選手を配置してプレイさせれば戦力である程度試合を支配して殴り勝てるっていうか。オーソドックスな4-2-3-1で闘うことが多い。
監督は41歳でスウェーデン人のヨナス・エイデヴァル(Jonas Eidevall)が2021年から務めてる。
フィフィアネ・ミデマーとの契約を延長せずにフリーで手放した(しかも、ライバルに移籍した)ことはもちろん大きな話題だけど、それでもマリオナ・カルデンテイ(Mariona Caldentey)とかローザ・カファジ(Rosa Kafaji)みたいな楽しみな補強はしてて、全然抜かりがない感じ。
4つしかない日本人選手がいないチームのひとつ。ちょっと前には岩渕真奈、もっと前だと近賀ゆかりと大野忍がいたことがあったけど。
ざっくりチーム紹介②・実力が拮抗する中位グループ
勝手な予想だけど、今シーズンは中位グループに入るチームが多くなるか、中位グループが2つに分かれるかも? なんて思ってたりしてる。どこのチームもけっこう振れ幅が大きそうっていうか、4位とか5位でもおかしくないけど9位とか10位にもなりかねない感じで。もちろん、中位グループを突き抜けて上位3チームを脅かすチームが出てくると面白いんだけど。
▶︎ マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United Women Football Club)
昨シーズンの順位ではリヴァプールに上にいかれたけど、戦力的にも人気的にも上位3チームに食い込まなきゃいけないチームのはず。ちなみに、昨シーズンの入場者数は1試合平均で10,000人を超えてて、アーセナルに次いでリーグ2位だったりする。
マンチェスターのチームで、ホーム・スタジアムはキャパシティ12,000人のレイ・スポーツ・ビレッジ。メンズ・チームが使ってるオールド・トラフォードも数試合使う。レイ・スポーツ・ビレッジの場所を改めて地図で確認してみると、マンチェスターの中心部からはちょっと離れてるっぽい。
"WSL Watch #104"の中のチーム別にまとめた部分でも触れたけど、今シーズンは選手の出入りがかなりあった、しかも、けっこうな大駒って感じの選手が動いた印象。ただ、それでも戦力としては十分充実してると思うけど。
戦術に関しては、やっぱり良くも悪くもオーソドックスって印象。基本的には4-2-3-1で闘うことが多いけど4-3-3に見える試合もある感じ。ただ、開幕戦では4-2-3-1から保持時に左サイドだけ押し出す3-4-2-1への可変みたいな運用してたように見えたんで、ちょっと面白いかも? って思ったりもしたけど。
監督は41歳でイングランド人のマーク・スキナー(Marc Skinner)が2021年から務めてる。
"WSL Watch #059"で紹介した選手だけど、とりあえず、昨シーズンの得点ランクで2位タイだったエリザベス・ターランド(Elisabeth Terland)を獲得できたのがものすごく大きい。いわゆる典型的な9番タイプだから、エリザベス・ターランドにボールを届ける仕組みを作れるかが最大のポイントになりそう。
宮澤ひなたが所属してるけど、チーム内での序列はちょっと微妙な感じに見えるかな。基本的な闘い方が昨シーズンと変わらないならWGには独力で突破できる速くて強い選手を求めてるように見えるから、宮澤ひなたはMFとして考えられてるっぽいけど、MFにはイングランド代表の2人、エラ・トゥーン(Ella Toone)とグレイス・クリントン(Grace Clinton)がいて、ポジション争いはなかなか大変そう。正直なところ、WSLでプレイする日本人選手で一番立場が難しいのかも? ってちょっと心配してる。開幕戦で起用されたのが(53分に3点リードしてた試合なのに)84分だったって点も含めて。
現地メディアのシーズン・プレビューを紹介した"WSL Watch #107"でもちょっと触れたけど、オーナーのスタンスみたいなピッチ外の部分も含めてちょっと読めない要素もいろいろある感じ。もちろん、それでもポテンシャルは十分あるチームだと思うけど。
▶︎ リヴァプール(Liverpool Football Club Women)
詳しくは"WSL Watch #076"で書いたけど、昨シーズンは大きな飛躍を遂げて4位に躍進。アーセナルとマンチェスター・ユナイテッドとチェルシーに勝ったことも含めて、いい意味で最大のサプライズだったチームって言えるはず。
リヴァプールにあるチームで、今シーズンからホーム・スタジアムがキャパシティ18,000人のセント・ヘレンズ・スタジアムに変更されてて、ビッグ・マッチではメンズ・チームのアンフィールドも使う予定。セント・ヘレンズ・スタジアムの場所を改めて地図で確認してみると、リヴァプールの中心部からはちょっと離れてるっぽい。
この夏の移籍ウィンドウでの動きも必要最少限って感じで、上位チームと比べると良くも悪くもソリッドなスカッドって印象。
2021年から監督を務めてる46歳でイングランド人のマット・ビアード(Matt Beard)は、実は2012年から2015年にもチームを率いてた。
"WSL Watch #076"でも触れてるけど、昨シーズンに関しては「堅い守備をベースに上位チーム相手でも拮抗した展開に持ち込める非保持型のチーム」だったって言えるはず。ただ、今シーズンはちょっと変わったかも? って思ったりもしてる。"WSL Watch #105"でも触れたプレ・シーズン・マッチのエヴァートン戦ではわりと後方からのビルドアップとハイプレスに取り組んでるように見えたし、開幕戦のレスター・シティ戦でもそのスタンスは見えてて、実際にSofaScoreでスタッツを確認してもポゼッション率とかパス数でも上回ってたし、プレイエリアも押し込んでたし。もちろん、1試合だけじゃサンプルとしては少ないんだけど、レスター・シティは別に非保持型ってわけじゃないことも含めて考えると、昨シーズンより保持とハイプレスに力を入れるのかも? とかちょっと思ったり。
長野風花に関しては、22/23シーズンの1月の移籍ウィンドウで加入してから基本的には常に試合に出てる感じで、今シーズンも変わらず主力って感じなんじゃないかな。今シーズンも基本的には3-5-2をベースにしてるように見えるけど、3人のMFの1人、アンカー的な役割を担うっぽい。ただ、3人のMFはわりと流動的に動くから完全にアンカーに固定って感じじゃなさそうだけど。
長野風花のタスクは変わらないと思うけど、開幕戦で後半の途中から4-3-3を試してたように見えたのもちょっと興味深いポイントかも。時間は短かったけど、WGにミア・エンダービー(Mia Enderby)と新加入のオリヴィア・スミス(Olivia Smith)を起用してた点も含めて。
▶︎ トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur Football Club Women)
昨シーズンはトップ・ハーフでフィニッシュしたことに加えて、FAカップでも決勝に進出。一昨シーズンは残留争いだったことを考えると、ロバート・ヴィラハム(Robert Vilahamn)体制の最初のシーズンは成功だったって言っていいはず。
ロンドン北部のチームで、ホーム・スタジアムはキャパシティ9,271人のブリスベン・ロード。ビッグ・マッチではメンズ・チームが使ってるキャパシティ62,850人のトッテナム・ホットスパー・スタジアムも使ってる。
昨シーズンの早い時期に"WSL Watch #004"でも書いたけど、昨シーズンから41歳でスウェーデン人のロバート・ヴィラハムが監督を務めてる。
基本的には保持でも非保持でもアグレッシヴに振る舞うプレイモデルは今シーズンも健在だろうし、昨シーズンに作ったベースに上積みするシーズンになるはず。
ローン期間が満了になったグレイス・クリントンがマンチェスター・ユナイテッドに戻ったのと、セリン・ビゼー・イルドゥソイ(Celin Bizet Ildhusøy)が同じくマンチェスター・ユナイテッドに移籍したのはかなり痛いけど、開幕戦のクリスタル・パレス戦で新加入のヘイリー・ラソ(Hayley Raso)とかアナ・チキ(Anna Csiki)とかマイテ・オロズ(Maite Oroz)が存在感のあるプレイを見せてたし、今シーズンも十分期待できそう。
トップ3に食い込むのはまだ難しいかもしれないけど、上位チームを苦しめながら上位グループの下につくくらいの順位は目指せそう。ただ、ちょっと上手くいかないと2桁順位もあるかも? トッテナム・ホットスパーがそれくらい不安定って意味じゃなく、それくらい中位は混沌としそうなんで。
4つしかない日本人選手がいないチームのひとつ。中国代表のワン・シュアン(Wang Shuang / 王霜)はいるけど、あまり出場機会は多くない感じ。
▶︎ アストン・ヴィラ(Aston Villa Women Football Club)
昨シーズンは序盤に大きく躓いて、最終的に7位まで順位を上げたけど満足できないシーズンに。22/23シーズンは6位にけっこう差をつけた5位だったりしたんで。
ロンドンでもマンチェスターでもリヴァプールでもない街にある数少ないチームで、イングランドで第2の都市のバーミンガムにある。今シーズンからメンズ・チームも使ってるキャパシティ42,640人のヴィラ・パークがホーム・スタジアムになって、今まで使ってたキャパシティ11,300人のベスコット・スタジアムもカップ戦では使うとのこと。
昨シーズンまでレヴァークーゼンを率いてた43歳でオランダ人のロバート・デ・パウ(Robert de Pauw)監督の手腕に注目。予備情報があまりないんだけど、チェルシーとの開幕戦では4-2-3-1を使ってた。
レイチェル・デイリー(Rachel Daly)やジョーダン・ノブス(Jordan Nobbs)といった中心選手は健在で、特にレイチェル・デイリーがイングランド代表を引退してクラブに専念できることは朗報かも。チャシティ・グラント(Chasity Grant)とかミッシー・ボー・カーンズ(Missy Bo Kearns)みたいな期待の新戦力も加入してるし、戦力はわりと充実してる。
上位グループのすぐ下まではいってもいい力を持ってるチームだと思うけど、ちょっと上手くいかないと案外けっこう下の順位になってもおかしくない感じもある。中位チームはそういうチームが多いんだけど。
4つしかない日本人選手がいないチームのひとつ。
▶︎ レスター・シティ(Leicester City Women Football Club)
昨シーズンはシーズン終盤に失速して10位まで順位を落としちゃったけど、シーズン前半から1月のブレイク明けあたりまではわりと魅力的なサッカーをしてたチーム。
ロンドンでもマンチェスターでもリヴァプールでもない街にあるチームのひとつで、イングランドのほぼ中心あたりに位置するレスターにある。メンズ・チームも使ってるキャパシティ32,261人のキング・パワー・スタジアムをメインで使いつつ、男女のスケジュールが重なるときとかはキャパシティ6,912人(座席数は2,034人)のピレリ・スタジアムも使う。
今シーズンから40歳でフランス人のアマンディン・ミケル(Amandine Miquel)が監督に就任。昨シーズンまでスタッド・ランスを率いてて、限られたリソースを活かしながら若手選手を育てて結果を出してきたことが評価されて招聘されたらしい。
オーストラリアで行われたプレ・シーズン・マッチについては"WSL Watch #103"で触れたけど、リヴァプールとの開幕戦も含めて基本的には4-3-3がベースっぽい。保持に関しては後方からのビルドアップへのこだわりが感じられるけど、非保持についてはそれほどハイプレス志向ではなくミドル・ゾーンで構えたところからスタートって感じに見える。
23/24シーズンの1月の移籍ウィンドウで宝田沙織と籾木結花を獲得して、2人とも加入直後から主力として活躍してたけど、そのときに獲得を希望した監督が辞めて新監督になったし、チーム内での序列はフラットになったはず。ただ、宝田沙織はCMFかインサイドMF、籾木結花はインサイドMFで効果的なプレイができてる印象で、今シーズンも主力としてバリバリ活躍してくれそう。
"WSL Watch #060"でも紹介した選手だけど、今シーズンもユッタ・ランタラ(Jutta Rantala)が楽しみな存在。そこに籾木結花とか新加入のノエミー・ムション(Noémie Mouchon)とかが上手く絡めば面白い攻撃が見られそう。新加入選手では、ルビー・メイス(Ruby Mace)とかシャナ・ショスノット(Shana Chossenotte)の獲得も大きいし。
中位の中では振れ幅が大きいっていうか、上手くいけばけっこう上に行っても驚かないけど、上手くいかないとけっこう下位に沈む危険もある気がする。個人的にはけっこう楽しみにしてるチームだけど。
▶︎ ブライトン&ホーヴ・アルビオン(Brighton & Hove Albion Women Football Club)
昨シーズンは9位に終わったからか、今年の夏にかなり精力的に動いたチームのひとつ。
ロンドンでもマンチェスターでもリヴァプールでもない街にあるチームのひとつで、イングランド南部のブライトンにある。キャパシティ6,134人のブロードフィールド・スタジアムをメインに使ってるんだけど、ブライトンの中心部からもメンズ・チームのアメックス・スタジアムからもけっこう離れた内陸にあって、あまり評判は良くないらしい。ビッグ・マッチではアメックス・スタジアムも使ってる。
今年の夏までメルボルン・シティのウィメンズ・チームを率いてた37歳でオーストラリア人のダリオ・ヴィドシッチ(Dario Vidošić)が今シーズンから指揮をとることに。
プレ・シーズン・マッチは観れてないんだけど、エヴァートンとの開幕戦を観た感じでは、4-2-3-1がベースだけど保持時は3-4-2-1に可変するシステムを使ってたように見えた。非保持は4-4-2をベースにしつつ、ハイプレスでは4-2-4っぽく前に人数を割くアグレッシヴなスタンスで。エヴァートン戦はいろいろ上手くいきすぎた部分がありそうな気もするけど、とりあえず、基本的なスタンスとしては保持でも非保持でも明確なスタイルを押し出して闘う感じらしい。
今年の夏の移籍ウィンドウで10人以上補強したんだけど、開幕戦ではさっそく5人スタメンで使ってた。監督も戦術も含めて、良くも悪くも昨シーズンのイメージがまるで参考にならないチームって感じ。
獲ったから使うとも言えるし、使えるような選手だから獲ったとも言えるんだろうけど、新戦力は面白い選手をたくさん獲れてるんで、チームのベースが固まるのにどれくらい時間がかかるのかがポイントだし、ダリオ・ヴィドシッチ監督の腕の見せどころって感じ。
ポイントっていえば、最大の得点源だったエリザベス・ターランドが移籍した穴を誰が埋めるのかがわかりやすい最重要課題になる。
大きな補強はもちろん元イングランド代表の2人、フラン・カービー(Fran Kirby)とニキータ・パリス(Nikita Parris)ってことになるんだろうけど、開幕戦でいきなりハットトリックを達成して強烈なインパクトを残した清家貴子も含めて、面白いチームになるポテンシャルは十分ありそう。
開幕戦での清家貴子は基本的には4-2-3-1の右WGだけど保持で3-4-2-1に可変したときには右WBに入りつつ、2列目の右に入ったフラン・カービーがわりと幅広く動くから、レーンを入れ替えてハーフスペースに立ったり、フラン・カービーが低い位置に下りたときにはかなり高い位置で幅を取ったりする感じで、わりとやりやすそうに見えたかな。
▶︎ エヴァートン(Everton Football Club)
昨シーズンは8位だったんだけど、良くも悪くもあまり強い印象がないっていうか、まさに中位のチームって感じだったかな、正直なところ。
リヴァプールにあるチームで、ホーム・スタジアムはキャパシティ2,200人(座席数は500)のウォルトン・ホール・パーク。昨シーズンを総括した"WSL Watch #080"の中の入場数について書いた部分でも触れてるけど、中継で観てる印象だとWSLで一番貧弱なスタジアムかな、残念ながら。場所を地図で確認してみると、メンズ・チームが使ってるグディソン・パークからも遠くなくて、ロケーションは良さそうなんだけど。
監督は44歳でデンマーク人のブライアン・ソレンセン(Brian Sørensen)が2022年から務めてる。監督のルートで獲得してるんだろうけど、デンマーク人選手が複数所属してるのが他のチームとは違うちょっとユニークな特徴だったりする。
"WSL Watch #105"でも触れたプレ・シーズン・マッチのリヴァプール戦とブライトン&ホーヴ・アルビオンとの開幕戦を観た印象では、今シーズンは4-2-3-1と4-3-3を使い分けながら闘う感じなのかな? 昨シーズンまでは4-2-3-1だったり3-4-2-1だったと思うんだけど。昨シーズンよりも低い位置からのビルドアップとハイプレスに取り組んでる印象はあって、リヴァプールとのプレ・シーズン・マッチではわりと上手くいってたけど、開幕戦ではあまり上手くいってなくて、なかなか評価が難しい感じ。
ウェスト・ハム・ユナイテッドから加入した林穂乃香に関しても印象は似てて、基本的にCMFじゃなくてインサイドMFで起用されてるっぽいんだけど、リヴァプールとのプレ・シーズン・マッチではわりと上手くプレイできてたけど、開幕戦ではあまり上手くいってない感じで、でも、それが林穂乃香本人の問題なのかチームの問題なのか、なかなか評価が難しい感じで。WSLでの実績も含めて実力自体は間違いないと思うし、オン・ザ・ボールの質とかプレスの鋭さとか反応の速さとか献身性とかを考えると個人的にはインサイドMFは面白い気もしてるけど。
開幕早々に残念なニュースがあって、ブライトン&ホーヴ・アルビオンとの開幕戦でイタリア代表MFのオーロラ・ガリ(Aurora Galli)が負傷交代したんだけど、前十字靭帯の負傷、いわゆるACLだったらしくて。普通に考えれば半年以上の長期離脱になるだろうし、林穂乃香の起用法にも影響がある、もっと言っちゃうと、林穂乃香の重要度は上がるかもしれないけど、そんなこと言ってられないっていうか、中盤を支える中心的な選手だったんでチームにとっては相当痛いはず。
ただ、トニ・ペイン(Toni Payne)とかインマ・ガバーロ(Inma Gabarro)とかメリッサ・ロウリー(Melissa Lawley)とかヴェアトリキ・サッリ(Veatriki Sarri)とか、面白い選手は取れてるんで上手くハマればけっこう面白そうな感じはしてるけど。
ざっくりチーム紹介③・残留を争う下位グループ
下位グループ=残留争いってことになるけど、昨シーズンに続いて個人的には2チームの一騎打ちになりそうな気がしてるかな。昇格チームの実力とかちょっと見えてない部分があるし、もちろん、シーズンの終盤までたくさんのチームに降格の危険があるような熾烈な争いになってくれたほうが(当事者の気持ちを無視すれば)リーグとしては面白いと思うけど。
▶︎ ウェスト・ハム・ユナイテッド(West Ham United Women)
昨シーズンは日本人選手が3人在籍してたことで(特に日本で)注目されたけど、最終的に降格したブリストル・シティとシーズン終盤まで残留争いをしてたんで、最低限のミッションはクリアしたけど決して満足できる成績だったとは言えないはず。
ロンドンにあるチームで、ホーム・スタジアムはキャパシティ6,078人のヴィクトリア・ロード。メンズ・チームが使ってるロンドン・スタジアムは使ってなくて、実はメンズ・チームのスタジアムを使ってない唯一のチームなんだとか。
監督のレハン・スキナー(Rehanne Skinner)は44歳のイングランド人で、2023年からチームを率いてるから今シーズンが2シーズン目ってことになる。
昨シーズンの平均ポゼッションはブリストル・シティに次ぐ11位で、基本的には5-4-1か5-3-2の非保持をベースにしたチームって感じ。粘り強い守備で試合を進めながら少ないチャンスをモノにして勝点を拾ってくようなスタンスになるのかな、今シーズンも。
攻撃はどうしても個人の能力かセットプレイに頼る感じに。パワフルなプレイが持ち味のヴィヴィアン・アッセイ(Viviane Asseyi)と攻守に献身的に動き回る植木理子の負担は今シーズンも大きくなりそう。
植木理子に関しては、出れるとか出れないとかって問題じゃなく、ケガでもない限り常に出る戦力だと思うし、なかなか攻め手が多くないチームで前線から守備でも貢献するスタイルのFWはすごく貴重だと思うけど、チャンスがたくさん作れるチームじゃないし、基本的にはかなり大変なシーズンになる気がしてる。
マッケンジー・アーノルド(Mackenzie Arnold)とか林穂乃香とか清水梨沙とかハワ・シソコ(Hawa Cissoko)とか、プレイ時間が長かった選手が複数移籍してるけど、その穴が埋められるほどの補強ができたのかを考えるとかなり微妙で、「昨シーズンのチームに上積みができてるか?」ってこと以前に昨シーズンよりも弱体化しててもおかしくない感じ。
正直なところ、現実的には残留が目標になりそうで、もっとイジワルな言い方をしちゃうと、昇格してきたクリスタル・パレスの実力次第な感じすらする感じ。
▶︎ クリスタル・パレス(Crystal Palace Football Club Women)
昨シーズンのWCで優勝して見事にクラブ史上初のWSL昇格を達成したチームなんだけど、今年の夏の移籍ウィンドウでは最も多くの選手を獲得してたりして、残留への意気込みは強く伝わってくる感じ。
ロンドン南部にあるチームで、ホーム・スタジアムはキャパシティ5,013人(座席数は765)のVBSコミュニティ・スタジアム。メンズ・チームが使ってるキャパシティ25,486人のセルハースト・パークも数試合で使う予定になってる。
イングランド人監督のローラ・カミンスキ(Laura Kaminski)は、過去にチャールトンとかトッテナム・ホットスパーでのコーチ経験はあるけど監督としてチームを率いたのはクリスタル・パレスが初めてで、昨年の夏に監督に就任して1年でWSL昇格を達成したんだとか。
今年の夏の移籍ウィンドウでは全チームで最多の14人を獲得してて、WSLでの実績が十分なベテランから国内外のリーグで経験豊富な中堅、上位チームからローンで借りた有望な若手まで、幅広く補強してる感じ。
昇格チームだから昨シーズンは上手くいってたはずで、そのベースを活かして闘うっていうのもひとつの手だと思うけど、トッテナム・ホットスパーとの開幕戦ではスタメン8人が新加入選手だったりして、基本的なプレイモデルの部分はともかく、出場選手だけで考えると新しいチームで闘ったって言えそう。
結果的に4-0で敗れちゃったけど、トッテナム・ホットスパーとの開幕戦を観た印象では、わりと保持でも非保持でも主体的に闘おうとしてたように見えたかな。チェルシーからローンで加入した18歳のレクシー・ポッター(Lexi Potter)をCMFに置いた4-1-4-1をベースに、保持では後方から丁寧にビルドアップしようとしてたし、非保持では高い位置からボールを奪いにいってたし。結果的には、チャンスも作れてたけど、それ以上にピンチもあって、トッテナム・ホットスパーに真っ向から勝負を挑んで質で上回られて大差がついた感じだったけど、ほぼほぼ新チームの初戦って考えると、個人的には思ってたより全然ポジティヴな印象だったかな。もちろん、このスタンスで勝点がどれくらい取れるかが大事だし、全然取れなければスタンス自体を変えることになりんだろうけど。
何はともあれ、まずはWSLに残留できるとか、言い換えると、ウェスト・ハム・ユナイテッドを上回れるかが当面のテーマなんだとは思うけど、正直なところ、わりと期待できる気がしちゃってるかな、今の段階では。中位に食い込めるか? って言われると、そこまでは何とも言えないけど。
4つしかない日本人選手がいないチームのひとつ。1月の移籍ウィンドウで誰かを獲得しても全然驚かないけど。
以上が勝手な印象をざっくりとまとめた24/25シーズン開幕時点でのWSLの全体像。上位グループが3チーム、中位グループが7チーム、下位グループが2チームって予想だけど、上位グループが4チームとか5チームになったり、中位グループが2つに割れたり、下位グループのチームが増えたりすると、より面白くなるんじゃないかな? って感じ。正直なところ、中位グループの力関係については、全然読めないっつうか、どこのチームもかなり振れ幅がありそうで、直接対戦もすごく楽しみだったりする。
もちろん、上位チームのUWCLでの闘いも昇格チームがどれだけやるのかも楽しみだし、新監督が就任した4チームの序盤の闘いぶりは特に注目したいし、いわゆる日本人対決なんていちいち注目しなくてもいいくらい頻繁にあるし、見どころはたくさんあるんだけど。
ちなみに、各チームの平均年齢は以下のような感じで、あまり大きな違いはないらしい。
![](https://assets.st-note.com/img/1727307858-pvFJXmxeS5aY2K0lLyDVGUCd.png?width=1200)
開幕直後のポイントもチェック
最後にシーズン開幕直後のポイントを。シーズンが始まると何回か入る代表ウィークと年末年始のウィンター・ブレイクのタイミングで一息つけるっていうか、いろんな意味で区切りになると思うんで、とりあえず、10月末に入る代表ウィークの前の5節までが一区切りになる感じ。つまり、5試合で最大15点稼げる勝点を何点稼げるかってこと。もちろん、対戦相手の巡り合わせも考える必要があるけど、対戦する全11チームの中の5チームと対戦することになるんだし、シーズン前半戦の半分弱って感じだし、それなりに今シーズンの展望は出来そうなんで。
スケジュールとしては、10月に入るとリーグ戦以外にもUWCLのグループ・ステージのMD1とMD2があって、UWCLに出てないチームもリーグ・カップの初戦があるから、各チームが6〜7試合こなすことになる。ちなみに、リーグ・カップの組み合わせについては"WSL Watch #093"で詳しく触れてるけど、実は微妙にグループ分けのバランスが悪かったりして、チームによってリーグ・カップに対するスタンスの違いとかもあるのかもしれないけど、ちょっと微妙にリーグ戦への影響もあるのかも? もちろん、アーセナルとマンチェスター・シティが予選ラウンドを勝ち抜いてUWCLに進出すれば、チェルシーを加えた3チームはレベルが高い対戦相手との試合が待ってるんだけど。
あと、今シーズンに関しては代表ウィークの影響が比較的小さいかも? とかちょっと思ってたりもする。WSLはどこのチームも代表選手だらけで、代表ウィークの前後はいろいろ大変そうだけど、とりあえず、FIFAウィメンズ・ワールドカップが去年あって、パリ・オリンピックが今年あって、大きな大会が2つ終わったばっかりなんで。ただ、ヨーロッパの選手はUEFAウィメンズ・ユーロ(WEURO)を来年に控えてて、予選は7月の代表ウィークで終わってるから勝ち抜いた国の選手は問題ないけど、プレイオフが10月の代表ウィークにあったりするから国によっては大変な選手もけっこういそう。逆にWEUROのメンバー入りを目指してるヨーロッパの国の選手は、今シーズンのモチベーションはいつも以上に高いのかもしれないけど。あと、アジア・カップは2026年らしいから、少なくとも今シーズンの間には日本とかオーストラリアの選手はそれほどシビアな試合はない感じなのかな? 南北アメリカとかアフリカとかまではよくわかってないけど。
最後に、昨シーズンのWSL全体の印象をまとめた記事のリンクを。優勝争いだったり、躍進したチームだったり、印象に残った試合だったり、日本人選手の活躍だったり、その他のもろもろの情報だったりをまとめてあるんで、参考として。
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