[更新終了] 宝田沙織と籾木結花がレスター加入!! 冬の移籍マーケットをチェック :: WSL Watch #021
"WSL Watch #014"で「WSLでプレイする日本人選手が1月に増える?」って記事を書いたけど、早くもいくつかの移籍が発表されてるんで気になったモノをまとめておこうかな、と。もちろん、全部を拾えるわけじゃないんだけど、基本的にはWSLのチームに加入する選手のニュースを、新しいモノを上に加える(古いモノが下にズレてく)随時更新ってカタチで。
ちなみに、今シーズンのウィンター・ブレイクまでのWSLがどうだったのかに関しては"WSL Watch #026"でまとめてるんで、チーム状況なんかについてはここに書いたことが前提ってことで。
エレノア・デイル(21)→ エヴァートン
エヴァートンがアメリカのネブラスカ大学のネブラスカ・ハスカーズでプレイしてた21歳のイングランド人FWのエレノア・デイル(Eleanor Dale)を獲得することに。もちろん詳しくは知らない選手だけど、大学でのプレイの動画を観る限り、けっこうダイナミックなプレイが持ち味のストライカーっぽいかな。
大学からの選手獲得って、メンズ・フットボールではアメリカとか日本とか以外ではあまり馴染みがない感じもするけど、ウィメンズ・フットボールは大学スポーツが盛んなアメリカが大きな勢力だったりするからヨーロッパの選手でもアメリカの大学に行く選手がけっこういるみたいで、エヴァートンはそういうルートの戦力開拓に力を入れてて、実際にエマ・ビッセル(Emma Bissell)とヘザー・ペイン(Heather Payne)もそのパターンらしくて。あまり知らなかったんだけど、ちょっと興味深い感じ。ちなみに、この移籍が発表されたのはデッドライン・デイの締切後だったんだけど、デッドライン・デイはあくまでも手続きの締切で、発表は後日になることはけっこうあったりする。
* 2月2日 追記
テイラー・スミス(30)→ ブライトン&ホーヴ・アルビオン *ローン
ブライトン&ホーヴ・アルビオンがアメリカのNY/NJゴッサムFCのアメリカ人FWのテイラー・スミス(Taylor Smith)を今シーズン終了までのローンで獲得することに。昨シーズンのNWSLで優勝したNY/NJゴッサムFCでリーグ戦8試合に出場した30歳のベテランで、アメリカ代表としても10キャップとのこと。これまでは基本的にアメリカ国内でしかプレイしてなかったみたいで、ヨーロッパでのプレイは初めてみたいだけど、とりあえず、経験値が高い選手であることは間違いなさそう。
ミリ・テイラー(23)リヴァプール → アストン・ヴィラ *ローン
リヴァプールに所属してた23歳のイングランド代表MFのミリ・テイラー(Miri Taylor)がローンでアストン・ヴィラに加入することに。もともとチェルシーとかアメリカのエンジェル・シティにも在籍してたこともある選手で、昨シーズンの1月の移籍マーケットでリヴァプールに加入してからはリーグ戦12試合に出場してるらしい。デッドライン・デイに発表されたローラ・ブラインドキルデ・ブラウン(Laura Blindkilde Brown)のマンチェスター・シティへの移籍と同時進行で動いてた案件なのかな? って気がするけど。
ローラ・ブリンドキルデ・ブラウン(20)アストン・ヴィラ → マンチェスター・シティ
1月に入っても動きがなかったマンチェスター・シティが、デッドライン・デイにポピー・プリチャード(Poppy Pritchard)とタラ・オハンロン(Tara O'Hanlon)に続いて、アストン・ヴィラのU21イングランド代表MFのローラ・ブリンドキルデ・ブラウン(Laura Blindkilde Brown)の獲得も発表。この移籍はちょっと前から話題になってて、アストン・ヴィラ側は「解除条項があった(から、慰留したかったけどできなかった)」って言ってるなんて報道もあったりするんで、マンチェスター・シティがけっこうな額の移籍金を払って獲得した逸材ってことになるらしい。ダイナミックなプレイが持ち味の攻撃的なMFで、アストン・ヴィラでも公式戦で50試合以上出場してるんで、年齢は若いけどデッドライン・デイに獲得が発表された3人の中では一番即戦力っていうか、前十字靭帯断絶で長期離脱することになったジル・ロード(Jill Roord)の穴を埋める役割が期待されてるのかも。
タラ・オハンロン(18)→ マンチェスター・シティ
ポピー・プリチャード(Poppy Pritchard)に続いて18歳のアイルランド人DFのタラ・オハンロン(Tara O'Hanlon)がアイルランドのピーマウント・ユナイテッドからマンチェスター・シティに加入することに。ピーマウント・ユナイテッドではリーグ優勝に貢献してて、去年の4月にアイルランド代表デビューも果たしてるとのこと。どういう選手なのかは知らないけど、マンチェスター・シティがこの年齢で獲得するDFってだけでちょっと楽しみな感じがしちゃうかな。
ポピー・プリチャード(18)→ マンチェスター・シティ
ここまで移籍マーケットでの動きがなかったマンチェスター・シティが移籍マーケットの最終日、いわゆるデッドライン・デイに18歳のイングランド人FWのポピー・プリチャード(Poppy Pritchard)をチャンピオンシップのダーラムから獲得することを発表。1月14日のFAカップのマンチェスター・シティ戦で途中出場してたらしくて、イングランドU19代表でもあるとのこと。得点感覚を持ったCFWとのことで、いろんなアカウントのSNSの投稿を見てる感じだとマンチェスター・ユナイテッドとかブライトン&ホーヴ・アルビオンとかとの争奪戦だったらしいんで、けっこう注目されてる逸材っぽい。マンチェスター・シティっていえば、今シーズンの新戦力として夏に加入して期待通りの活躍を見せてたジル・ロード(Jill Roord)が1月25日のリーグ・カップのマンチェスター・ユナイテッド戦で前十字靭帯断絶の大怪我を負って長期離脱になっちゃったんで移籍マーケットで緊急事態的な動きを見せるかが注目されてるけど、年齢とかタイプとかを考えると今回のポピー・プリチャードの獲得はそういうタイプの動きじゃないっぽいのかな。
マリカ・バーグマン・ランディン(24)→ ウェスト・ハム・ユナイテッド
デッドライン・デイにスウェーデンのBKヘッケンFFから24歳のスウェーデン人MFのマリカ・バーグマン・ランディン(Marika Bergman Lundin)がウェスト・ハム・ユナイテッドに加入することに。詳しくは知らない選手だけど基本的には攻撃的なMFとのことで、BKヘッケンFFでは今週まで行われてたUEFAウィメンズ・チャンピオンズ・リーグのグループ・リーグ全6試合に出場して決勝トーナメント進出に貢献してたりするらしい。残留争いに巻き込まれてるウェスト・ハム・ユナイテッドはこの冬の移籍マーケットでの補強は4人目なんだけど、他の3選手よりは攻撃的なキャラクターになるっぽいのかな。
* 2月1日 追記
サラ・ブアディ(37)→ アーセナル
昨年までパリ・サンジェルマンに在籍してた元フランス代表GKのサラ・ブアティ(Sarah Bouhaddi)がアーセナルに加入することに。過去にはリヨンやOLレインといった強豪チームでもプレイしてた経験があって、フランス代表キャップも149っていうベテランで、13年所属してたリヨンでは国内リーグを11回、カップ戦を8回、UEFAウィメンズ・チャンピオンズ・リーグも8回優勝してるっていう驚異的な実績の持ち主。無所属だったらしく、フリーでの短期間契約とのこと。37歳って年齢と無所属だった期間に実戦感覚をどれくらい維持できてるのかは気になるけど、経験値は間違いないレベルの選手って認識でいいはず。英語はあまり得意じゃないのか、インタビューはフランス語で応えてるけど。
ものすごい実績を持つ選手だってことは間違いないけど、個人的には、それでも「アーセナルがこの時期にこんなベテランを獲る理由は何でだろう?」って思ってたら、現地のエマ・サンダース(Emma Sanders)って記者のSNSの投稿によると、2月末〜3月頭に開催される2024 CONCACAF Wゴールド・カップでカナダ代表GKのサブリナ・ディアンジェロ(Sabrina D'Angelo)が抜けるからで、シーズン終了まででもない短期間契約とのこと。こういう理由なら納得だし、他のポジションならともかく、GKならなおさらって感じ。あと、全然気にしてなかったけど、北中米カリブ海と南米の国の選手を抱えてるチームはそれなりに影響を受けるのかも? とも思ったりして。
* 1月31日 追記
エミリア・ペルガンダー(19)→ レスター・シティ
レスター・シティに19歳のスウェーデン人MFのエミリア・ペルガンダー(Emilia Pelgander)がスウェーデンのKIFエーレブルーから完全移籍で加入することに。KIFエーレブルーでは4年で84試合出場してて、U19とU23のスウェーデン代表でもあるらしい。加入時のインタビューによると、ハードワークと攻撃的なプレイが特徴のCMFとのこと。まあ、若い選手なんで即戦力って感じなのかはわかんないけど。
詳しいことは全然知らない選手で、正直なところ、名前の読み方(表記)も全然自信はないけど、SNSに投稿された自己紹介動画を何回か聞いて、とりあえず、ここでは'エミリア・ペルガンダー'にしてみた感じだったりする。
* 1月29日 追記
マイラ・ラミレス(24)→ チェルシー
コレはこの冬の移籍マーケットで最大のニュースかな? 絶対的なエース・ストライカーのサム・カー(Sam Kerr)を負傷で長期間欠くことになったチェルシーが、ちょっと前から噂になってた通りスペインのレバンテからコロンビア代表FWのマイラ・ラミレス(Mayra Ramírez)を獲得することに。レバンテでは2022年からプレイしてて37出場で21ゴール、コロンビア代表としても昨年のFIFAウィメンズ・ワールドカップの5試合を含む30キャップっていうCFWで、個人的には典型的な9番タイプっていうか、180cm近いサイズを活かしていろんなカタチで点が取れる万能型のストライカーって印象かな。立ち振る舞いとか雰囲気から実は勝手に20代後半くらいかと思っちゃってたんだけど、今回改めてまだ24歳って知ってちょっと驚いちゃったり。ただ、サム・カーが30歳、ミア・フィシェル(Mia Fishel)が22歳で浜野まいかが19歳ってことを考えると年齢バランスもいいのかな。ウィンター・ブレイク明けのWSLを展望した"WSL Watch #031"でも、「王者のチェルシーがサム・カーの長期離脱の穴を埋めるような補強をするのかがまずは注目」みたいなことは書いたけど、思ってたより全然大きな話が決まってビックリしたし、チェルシーでどんなプレイを見せるのか、シンプルにすごく楽しみ。
ちなみに、今回のマイラ・ラミレスの獲得にかかった移籍金は(報道によって多少バラつきはあるけど)€500,000らしくて、ウィメンズ・フットボールでは史上最高額とのこと。
リサ・エヴァンス(31)ウェスト・ハム・ユナイテッド → ブリストル・シティ
ウェスト・ハム・ユナイテッドのスコットランド代表MFのリサ・エヴァンス(Lisa Evans)がブリストル・シティに加入することに。ウェスト・ハム・ユナイテッドと双方合意の上で契約を解除してブリストル・シティに完全移籍ってことらしいんだけど、過去にはバイエルン・ミュンヘンとアーセナルでリーグ優勝の経験があって、スコットランド代表キャップも100を超えてるベテラン。最近のスコットランド代表では右WG起用が多かった気がするけど、ウェスト・ハム・ユナイテッドでは右WBでプレイしてた印象が強いかな? 残留争いに巻き込まれてるブリストル・シティにとっては心強い存在になりそうだけど、残留争いの直接のライバルのウェスト・ハム・ユナイテッドでわりと試合に出てた選手を獲得できたことにはちょっとビックリしたかな。
* 1月26日 追記
アスミタ・エール(22)トッテナム・ホットスパー → レスター・シティ *ローン
トッテナム・ホットスパーに所属するイングランド人DFのアスミタ・エール(Asmita Ale)が今シーズン終了までのローン移籍でレスター・シティに加入することに。現在22歳でイングランドU17・U18・U19代表もあるSBで、8歳のときに加入したアストン・ヴィラで2018年にトップ・デビューを果たしてて、2021年にトッテナム・ホットスパーに移籍するまでに50試合に出場、トッテナム・ホットスパー加入後もトータルで31試合に出場してるんで、若いのにけっこう経験は積んでるって印象だけど今シーズンの出場は5試合だけで出場時間もそれほど長くないから、本人も加入時のインタビューで言ってる通り、基本的には出場時間を得るための移籍って感じ。トッテナム・ホットスパーもレスター・シティも意欲的なプレイモデルに取り組んでるチームなんで、上手くハマれば面白い存在になりそう。
* 1月25日 追記
メリーナ・レック(23)→ ブライトン&ホーヴ・アルビオン
ブライトン&ホーヴ・アルビオンにスウェーデンのクリスティアンスタッドDFFからドイツ人GKのメリーナ・レック(Melina Loeck)が加入することに。ヴォルフスブルクでキャリアをスタートさせて、2020年からクリスティアンスタッドDFFでプレイしてた23歳のGKとのこと。詳しくは知らない選手だけど、とりあえず、ブライトン&ホーヴ・アルビオンにとっては今年の1月の移籍マーケットで1人目の新戦力ってことになる。まだ若いGKなんで即戦力って感じなのかはわかんないけど。
* 1月23日 追記
サラ・ストラティガキス(24)→ ブリストル・シティ
カナダ代表MFのサラ・ストラティガス(Sarah Stratigakis)がブリストル・シティに加入することに。アメリカの大学で本格的なキャリアをスタートさせて、カナダでセミ・プロとしてプレイした後、2022年から2023年までスウェーデンのヴィットショーGIKでプレイしてた選手で、カナダ代表としても5キャップあるらしい。詳しくは知らない選手だけど、基本的には攻撃面が特徴っぽいんで、残留争いに巻き込まれてるブリストル・シティの攻撃の起爆剤になってくれることが期待されてる感じなのかな。
ちなみに、'Stratigakis'って苗字は現地でも発音が難しいらしくて、わざわざ本人が言ってる動画までアップしてくれてたりして。「コレは全チームに見習って欲しい」って思っちゃった。
* 1月22日 追記
アマンダ・ニルデン(25)→ トッテナム・ホットスパー *ローン
中断明けのリーグ戦を展望した"WSL Watch #032"で「リーグ再開直後から即戦力として使いたい選手は早めに獲ってチームに馴染ませたいだろうから、もう主な動きは一通り落ちついたって言っていいのかも」なんて書いたばっかりなんだけど、トッテナム・ホットスパーにスウェーデン代表DFのアマンダ・ニルデン(Amanda Nildén)がイタリアのユヴェントスから今シーズン終了までの買取オプション付きのローンで加入することに。スウェーデンとイタリアだけじゃなく、2018〜2020年にはブライトン&ホーヴ・アルビオンにも在籍してたことがある25歳のDFで、SBでもCBでもプレイ可能とのこと。代表でのプレイは観てるはずだけど、正直なところ、あまり覚えてないんで詳しいことはわかんないかな。何日か前にSNSの投稿で「ウィメンズ・フットボールのチームはスカウトとかに十分なリソースを割く余裕があまりないことが多いから、良くも悪くも監督とかのネットワークで選手を獲得しがち」みたいな投稿を見て、「たしかにそうかもな...」なんて思ったりしてたんだけど、この移籍もまさにスウェーデン人のロバート・ヴィラハム(Robert Vilahamn)監督がいたからこそ実現したのかも? とかちょっと思ったりして。もちろん、それはそれで全然問題ないし、監督の意向ならチームにフィットしやすいだろうから、上手くハマればいい補強になるとは思うけど。それにしても、1月の移籍マーケットでのトッテナム・ホットスパーはかなり精力的で、中断明けの試合がシンプルにすごく楽しみ。
* 1月19日 追記
キャサリン・モーラー・キュール(20)アーセナル → エヴァートン *ローン
アーセナルのデンマーク代表MFのキャサリン・モーラー・キュール(Kathrine Møller Kühl)が今シーズン終了までのローンでエヴァートンに加入するに。2019年にデンマークのノアシュランでデビューを果たして、1年前の2023年1月にアーセナルに加入した20歳のCMFで、22/23シーズンは11試合に出場してたんだけど23/24シーズンの出場は2試合だけだったんで、アーセナルの選手層の厚さを考えるとシンプルに出場機会を求めてローンで移籍したって感じなのかな。デンマーク代表としてはまだ20歳なのにもう35キャップで、直近のUEFAウィメンズ・ユーロにもFIFAウィメンズ・ワールドカップにも出場してたりする。あと、UEFAウィメンズ・ネイションズ・リーグについて言及した"WSL Watch #007"でもちょっと触れた通り、エヴァートンはもともとデンマーク代表選手が多くて、監督のブライアン・ソレンセン(Brian Sørensen)もデンマーク人で、しかもキャサリン・モーラー・キュールが所属してたときの監督だったりもするらしくて、そういう意味ではわりと自然な流れなのかも。将来性豊かな若いタレントなんで、率直にすごくいい補強って印象。ちなみに、週末には移籍の発表はないだろうって思って完全に油断してたんだけど、この移籍が発表されたのは1月13日(土)で、しかも、その当日にあったFAカップのアストン・ヴィラ戦でさっそく途中出場したらしくて、いろんな意味でビックリした移籍だったかな。
リッケ・マドセン(26)→ エヴァートン
キャサリン・モーラー・キュール(Kathrine Møller Kühl)と同じくFAカップのマッチデイ当日にエヴァートン加入が発表されたのが、これまたデンマーク代表FWのリッケ・マドセン(Rikke Madsen)。これでもにデンマーク、ノルウェー、スペイン、オーストラリアでもプレイした経験を持ってて、アーセナルに加入したエミリー・フォックスと同じくNWSLのノース・カロライナ・カレッジからの加入で、デンマーク代表としても2023年のFIFAウィメンズ・ワールドカップで全試合に出場してる実力者。ノース・カロライナ・カレッジでは途中出場が多かったけど、フィジカルが強くてスピードもあってハードワークできてWGでもCFWでもプレイできる選手って印象かな。ちなみに、キャサリン・モーラー・キュール(Kathrine Møller Kühl)と同じくリッケ・マドセンも移籍発表当日のFAカップのアストン・ヴィラ戦でデビューを飾ったらしい。まだ、試合は観れてないんだけど。
* 1月15日 追記
エミリー・フォックス(25)→ アーセナル
NWSLのノース・カロライナ・カレッジでプレイしてたアメリカ代表DFのエミリー・フォックス(Emily Fox)が噂されてた通りアーセナル加入が決定。2021年にレーシング・ルイビルでデビューして、2023年はノース・カロライナ・カレッジでプレイしてたんだけど、2021年が23試合、2022年が17試合、2023年が18試合出場って戦績で、デビュー以来ほぼほぼ主力として活躍してた感じ。大学時代の2018年からアメリカ代表にも選ばれてて、2023年までに39キャップ、2023年のFIFAウィメンズ・ワールドカップ(FIFAWWC)にも全試合スタメンで出てるような選手なんで、過去数シーズンのNWSLを代表するようなアメリカ代表の主力選手がWSLに来たっていいんじゃないかな。実は個人的に2023年シーズンの後半のノース・カロライナ・カレッジの試合はほとんど観てたんだけど、基本的にSBでいつも出てて、右利きだけど左右どっちもできる便利さも含めて、攻守に貢献度が高い選手って印象だったんで、今回のアーセナル加入はシンプルにすごく楽しみ。あと、すでに発表されてるノエル・マリッツのアストン・ヴィラ移籍もエミリー・フォックス加入が前提だったら納得できるかな。
これまではアメリカ代表の主力選手は基本的にNWSLで活躍してる、言い換えると、アメリカ代表=NWSLオールスターズってイメージだったから、今回の移籍はそういう意味でもけっこう興味深いと思ってるんだけど、アメリカ方面のメディアの報道を見ると、'エマ・ヘイズ効果'みたいなモノなんじゃないか? なんて指摘もあったりして。つまり、これまではNWSLオールスターズみたいなアメリカ代表に選ばれるにはNWSLでの活躍・評価が大事(必須? 不可欠?)だったけど、"WSL Watch #009"で書いた通り現チェルシー監督のエマ・ヘイズ(Emma Carol Hayes OBE)が今シーズンのWSL終了後にアメリカ代表監督に就任することが決まってるんで、ヨーロッパで、特にWSLでプレイしてても代表監督の目に留まりやすくなる、何なら評価されやすい? みたいな意識が働いててもおかしくない、と。たしかに、それはそれで十分ありそうな話な気もしちゃうかな。個人的にはその流れが続いて、アメリカ代表のトップ・プレイヤーがWSLに増えるなら大歓迎だし。もちろん、その前提としてFIFAWWCでのアメリカ代表の結果に起因する危機感みたいなモノもあるっぽいけど。
ちなみに、エミリー・フォックスはノース・カロライナ大学時代にもアレッシア・ルッソ(Alessia Russo)とロッテ・ウッベン・モイ(Lotte Wubben-Moy)とチームメイトとしてプレイしてたらしい。
* 1月12日 追記
ナタリー・ビョルン(26)エヴァートン → チェルシー
エヴァートンのスウェーデン代表DFのナタリー・ビョルン(Nathalie Björn)がチェルシーに加入することに。スウェーデンのローゼンゴードからエヴァートンに2021年に加入した現在26歳の選手で、21/22シーズンに16試合、22/23シーズンに20試合、今シーズンも8試合出場なんでエヴァートンでは普通に主力として活躍してきた実力者。スウェーデン代表としても50キャップを超えてて、2019年と2023年のFIFAウィメンズ・ワールドカップと2021年のオリンピックにも出場してるし。右利きでSBとCBとCMFでプレイできるユーティリティ性が特徴。普通に試合に出てた選手が同じリーグ、同じカテゴリー、しかもチャンピオン・チームに移籍ってことなんで、シンプルにステップアップって言っていいケースなのかな。エヴァートンにとってはもちろん痛いけど仕方がないし、チェルシーにとっては一定以上の活躍が見込める即戦力の補強って感じ。
ニッキー・エヴラール(28)ブライトン&ホーヴ・アルビオン → チェルシー
チェルシーからブライトン&ホーヴ・アルビオンにローンで移籍してたベルギー代表GKのニッキー・エヴラール(Nicky Evrard)が、当初はシーズン・ローンだった期間を打ち切ってチェルシーに戻ることに。昨夏の移籍マーケットでチェルシーに加入してすぐにブライトン&ホーヴ・アルビオンにローン移籍した28歳のGKで、ブライトン&ホーヴ・アルビオンでの出場は3節のトッテナム・ホットスパー戦だけなんだけど、9月以降のUEFAウィメンズ・ネイションズ・リーグにはベルギー代表として全6試合に出場してる。基本的に前倒しでローンを打ち切って元の所属チームに戻るのって、そのポジションにケガとかの離脱者が複数出て、緊急事態的に急遽呼び戻すってケースが多くて、特にGKみたいな特殊なポジションにありがちなんだけど、今回は代表期間に負ったハムストリングのケガが手術が必要で、シーズン中に戻れるかわからないくらいの長期離脱になるから所属元のチェルシーに戻って治療とリハビリをすることになったんだとか。
* 1月11日 追記
籾木結花(27)→ レスター・シティ
"WSL Watch #014"でも名前を挙げてた籾木結花が宝田沙織に続いてレスター・シティに加入することに。"WSL Watch #027"で紹介した『ESPN』の移籍マーケット展望記事では「スパーズはどう?」なんて書かれてたけど。籾木結花も宝田沙織と同じようにスウェーデンのリンシェーピングFCの前にはアメリカのNWSLでもプレイしてた経歴もあって、各年代の日本代表歴も豊富な実力者。クラブのYouTubeで公開されてるインタビュー動画を観る限り、WSLでプレイしてる日本人選手の中ではかなり英語が上手いっぽいかな。"WSL Watch #005"でも書いた通り今シーズンのレスター・シティは注目してるチームなんだけど、籾木結花と宝田沙織の加入でますます楽しみになった感じ。
籾木結花のレスター・シティ加入で今シーズンのWSLでプレイする日本人選手は計9人、全12チームの半分の6チームに日本人選手が所属することに。ちなみに、宝田沙織のニュースと同じようにこのニュースはさすがに日本(語)のメディアでもわりと報道されてたけど、いくつか読んでみた限り、宝田沙織の移籍のときと同じように記事の内容はどれも似たような感じで、今シーズンのレスター・シティの成績とかプレイモデルに関する言及はほとんど見当たらなかったりするんだけど。
カトリーナ・ゴリー(31)→ ウェスト・ハム・ユナイテッド
"WSL Watch #027"でもちょっと触れたオーストラリア代表MFのカトリーナ・ゴリー(Katrina Gorry)がウェスト・ハム・ユナイテッドに加入することに。開催国として出場したFIFAウィメンズ・ワールドカップでの活躍が印象的だったMFで、クラブがYouTubeで公開したインタビュー動画でも自らハードワーカーって称してる通り、中盤での攻守にわたる献身的なプレイが持ち味。直近のシーズンはスウェーデンのヴィットショーGIKからのローンでオーストラリアのブリスベン・ロアーでプレイしてたんだけど、アメリカとかカナダでのプレイ経験があったり、2017年にはベガルタ仙台レディース(現在のマイナビ仙台レディース)でもプレイしてたりして、オーストラリア代表としても100キャップを超えてるベテラン選手。ウェスト・ハム・ユナイテッドは1月の移籍マーケットでの補強は早くも3人目、しかも、全員経験豊富なベテランで、WSL残留への本気度がハンパない感じ。とりあえず、ウィンター・ブレイク以降は清水梨沙がCBとかCMFで起用される機会はさすがに減りそう? とか思ったりもしつつ。
ちなみに、カトリーナ・ゴリーの娘のハーパー(Harper Gorry)も有名で、'Harper Gorry'でググってみると"Why Katrina Gorry's daughter Harper could be the Matildas' good luck charm as they take on England at the World Cup"(ざっくり訳すと「ワールドカップでイングランド代表と対戦するオーストラリア代表のカトリーナ・ゴリーの娘のハーパーがオーストラリア代表にとって幸運のお守りかもしれない」って感じかな)って記事が見つかったりするんだけど、今回の移籍の発表でも当然のようにハーパーもフィーチャーされてたりする。
ノエル・マリッツ(28)アーセナル → アストン・ヴィラ
アーセナルに所属してたスイス代表DFのノエル・マリッツ(Noelle Maritz)が完全移籍でアストン・ヴィラに。実は幼少期を過ごしたアメリカでサッカーを始めたって経歴の持ち主で、2005年にスイスに帰国、2011年にFCチューリッヒでプロ・デビュー、2013年からドイツのヴォルフスブルクでプレイした後、2020年にアーセナル移籍して3シーズン+半年プレイして87試合出場、今シーズンもここまでの10試合で8試合出場なんでほぼほぼ主力として活躍してたって言っていいはず。スイス代表でも100キャップを超えてる実力派SBで、アーセナルで出場機会を減らしてたわけじゃないし、年齢的にもまだまだベテランって感じでもないし、移籍の背景事情はまだよくわからないけど、個人的にはけっこうビックリした案件かな。
シェイ・ヤネズ(26)→ ブリストル・シティ
詳しくは知らないどころかカタカナ表記も合ってるのかイマイチ自信がないけど、NWSLのサン・ディエゴ・ウェーブから26歳のアメリカ人GKのシェイ・ヤネズ(Shae Yanez)がブリストル・シティに加入することに。過去にはチャンピオンシップのロンドン・シティ・ライオネセスでプレイしてた経験があるらしくて、74試合でクリーンシート24試合って記録を残してるんだとか。現実的にはブリストル・シティはWSL残留が目標ってことになると思うんで、守備の部分のテコ入れってことになるのかな?
* 1月6日 追記
シャーロット・グラント(22)→ トッテナム・ホットスパー
スウェーデンのヴィットショーGIKでプレイしてた22歳のオーストラリア代表DFのシャーロット・グラント(Charlotte Grant)がトッテナム・ホットスパーに加入。2018年にオーストラリアのアデレード・ユナイテッドでデビューを飾った後、2021年から活躍の場をスウェーデンに移してFCローゼンゴードに移籍、2022シーズンからはヴィットショーGIKでプレイしてて、春秋制の2023シーズンには23試合に出場してる。2021年にオーストラリア代表デビューも飾ってて、母国開催のFIFAウィメンズ・ワールドカップにもグループリーグのカナダ戦で途中出場を果たしてる。トッテナム・ホットスパーが公開したインタビュー動画では、代表初ゴールがイングランドとの親善試合だったことととかメンズ・チームの監督が同じオーストラリア人のアンジェ・ポステコグルー(Ange Postecoglou)だってことも質問されてたりして。本人曰く、精力的に上下動ができる攻撃的なSBで、左右どっちでもプレイできるっぽい。トッテナム・ホットスパーは1月の移籍マーケットで早くもインが3人でアウトが1人って積極的な動きを見せてて、獲得した選手の2人が20歳過ぎって年齢も含めて、今シーズンのプレイモデルと同じようにかなり意欲的なチーム作りをしてるのが強く伝わってくるし、ますます注目って感じ。
シェリナ・ザドルスキー(31)トッテナム・ホットスパー → ウェスト・ハム・ユナイテッド *ローン
トッテナム・ホットスパーのカナダ代表DFのシェリナ・ザドルスキー(Shelina Zadorsky)が今シーズン終了までのローン移籍でウェスト・ハム・ユナイテッドに加入することに。過去にはオーストラリア、スウェーデン、アメリカでのプレイ経験があって、2013年に20歳で代表デビューした後、昨年までに95キャップって実績を持つ31歳のCB。トッテナム・ホットスパーに加入したのは2020年夏で、3シーズンで54試合に出場してたけど今シーズンの出場は2試合のみなんで、夏のオリンピックも見据えて出場機会を求めた移籍っ言えそう。ちなみに、現在のウェスト・ハム・ユナイテッドの監督のレハン・スキナー(Rehanne Skinner)は20/21シーズンから昨シーズンまでトッテナム・ホットスパーの監督だったんで、実力もキャラクターも熟知してくれてる監督の下で、残留争いに巻き込まれてるチームの守備を立て直す戦力として大事な役割を担うことになりそう。この冬のウェスト・ハム・ユナイテッドの補強はクリスティ・ミュイスに続いて2人目で、間違いない実力を持つベテランを補強してる点が特徴なのかな。
* 1月4日 追記
マチルダ・ヴィンバーグ(20)→ トッテナム・ホットスパー
WSLの複数のクラブが狙ってるって噂されてたスウェーデン代表のマチルダ・ヴィンバーグ(Matilda Vinberg)の新天地はトッテナム・ホットスパーに。スウェーデン3部のチームだったとはいえ、育成年代じゃない大人の年代のリーグで15歳でデビューを飾った逸材で、17歳からハンマルビーIFでプレイしてた20歳で左利きのWGでスピードと1v1の仕掛けが持ち味。争奪戦って感じだったのかはわかんないけど、事前の噂ではマンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、エヴァートンなんて名前も挙がってた中でスパーズに決まった要因には、同じスウェーデン出身のロバート・ヴィラハム(Robert Vilahamn)監督の存在もあったらしく、加入時に公開されたインタビュー動画でもそう語ってる。トッテナム・ホットスパーはワン・シュアンに続いて1月の移籍マーケットで早くも2人目の新加入選手ってことに。
* 1月3日 追記
クリスティ・ミュイス(32)→ ウェスト・ハム・ユナイテッド
アメリカ代表MFのクリスティ・ミュイス(Kristie Mewis)がウェスト・ハム・ユナイテッドに加入することに。過去にはなでしこリーグの伊賀FCくノ一三重に在籍してたことがある選手で、ヨーロッパだとバイエルン・ミュンヘンでのプレイ経験もあって、今回はアメリカのNWSLのNJ/NYゴッサムFCからの加入。左利きのMFでアメリカ代表キャップも53っていう実力者で、2021年の東京オリンピックや2023年のFIFAウィメンズ・ワールドカップのメンバーにも選ばれてる。中盤のハードワーカーで経験十分な選手なんで、下位に沈んでる今シーズンのウェスト・ハム・ユナイテッドにとって強力な補強になりそう。
ちなみに、妹のサム・ミュイス(Sam Mewis)もNWSLのカンザス・シティ・カレントでプレイするアメリカ代表MFだったり、プライベートでのパートナーがチェルシーのオーストラリア代表FWのサム・カー(Sam Kerr)だったりすることでも知られてる。
* 12月23日 追記
宝田沙織(23)→ レスター・シティ
"WSL Watch #014"でも名前を挙げたけど、主にスウェーデン方面で噂されてた宝田沙織はレスター・シティに加入することに。SNSに投稿されたポストにはいわゆる'ミラクル・レスター'の一員でもあるレスター・シティのメンズ・チームのレジェンド、岡崎慎司まで登場してたりして。宝田沙織はスウェーデンのリンシェーピングFCからの加入なんだけど、その前にはアメリカのNWSLでもプレイしてた経歴もあって、各年代の日本代表歴も豊富。"WSL Watch #005"でもちょっと触れたように保持型のサッカーに取り組んでるように見える今シーズンのレスター・シティでどういうタスクを担うのか、素直にすごく楽しみ。
宝田沙織のレスター・シティ加入で今シーズンのWSLでプレイする日本人選手は計8人に、全12チームの半分の6チームで日本人選手がプレイすることになって、主力として活躍してる選手は多いんで、今まで以上に日本でも注目されるようになればいいんだけど。
ちなみに、このニュースはさすがに日本(語)のメディアでもわりと報道されてた。ただ、いくつか読んでみた限り、記事の内容はどれも似たような感じで、今シーズンのレスター・シティの成績とかプレイモデルに関する言及はほとんど見当たらなかったりするんだけど。
ワン・シュアン(28)→ トッテナム・ホットスパー
12月8日に発表されたのが中国代表MFのワン・シュアン(Wang Shuang / 王霜)のトッテナム・ホットスパー加入。アメリカのNWSLのレーシング・ルイビルからの加入で、中国代表としても123キャップ・46得点、FIFAウィメンズ・ワールドカップにも3回出場、23歳だった2018年にはアジア年間最優秀選手賞も受賞、2022年にはアジア・カップ優勝にも貢献してて、パリ・サンジェルマンでもプレイしてた経験も持つ28歳の実力者。"WSL Watch #004"でもちょっと触れた通り、スパーズは夏にも22歳の中国代表FWのジャン・リャンニャン(Zhang Linyan / 张琳艳)を獲得してるんで、中国人選手としては2人目になる。ウェスト・ハム・ユナイテッドの日本人選手にも言えることだと思うけど、外国籍選手を同じ国から獲得するのは、通訳とか生活環境とかを考えても一定の合理性がありそう。
移籍期間は1月末まで
ちなみに、『90MIN』の記事によるとWSLの次の移籍期間は1月1日〜31日。12月半ばから1月下旬までウィンター・ブレイクで、契約期間は1月1日からで労働ビザとかの問題もあるんで、チームに合流するのは1月に入ってから、試合に出場できるのはリーグ戦だと1月21日の11節以降になるっぽい。
年内に発表されてるケースみたいに早めに決まればウィンター・ブレイク明けのチーム始動の時期にチームに馴染む時間を作れるからベターだと思うけど、なんだかんだでリーグ戦再開後の移籍期間ギリギリのタイミングで急に決まるケースもあったりするのが移籍マーケットだったりして、それはそれで面白かったりする。