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好調な滑り出しを見せたレスターとスパーズの対戦 :: MR002 :: WSL Watch #016

今回は'MR = match review'の第2弾、第7節のレスター・シティ対トッテナム・ホットスパーのマッチ・レヴューを(以下、表記は'レスター'と'スパーズ 'で)。結果は1-1のドローだった試合なんだけど、やっぱりなかなか見どころが多かったんで。

ちなみに、この試合はThe FA Playerで観れるんだけど、レスターのYouTubeアカウントでもナゼか無料配信されてて、実況・解説がレスター寄りの中継を楽しめたりもする。

ハイライトは両チームがそれぞれアップロードしてるんだけど、長さの違いにけっこうビックリだったりして。

好調なチーム同士の注目の一戦

レスターとスパーズに関してはシーズン序盤を振り返った"WSL Watch #003"でグッド・サプライズとして取り上げてて、さらに"WSL Watch #005"でレスターのGKのヤイナ・ライツィヒ(Janina Leitzig)、"WSL Watch #004"でスパーズの監督のロバート・ヴィラハム(Robert Vilahamn)を取り上げてるくらい個人的に興味があったんだけど、"WSL Watch #010"でも触れた通り、両チームの監督が10月の最優秀監督にノミネートされてて、レスターのウィリー・カーク(Willie Kirk)が最優秀監督に選ばれたりしてるんで、客観的に見てもけっこう注目のチーム同士の対戦だったって言えるんじゃないかな。

ちなみに、この試合の前の段階でレスターは2勝1分3敗・勝点7、スパーズは3勝2分1敗・勝点11だったんで、レスターはちょっと調子を落としてるって感じではあったんだけど。

互いにアグレッシブにゴールに迫る攻防

基本的には、保持では丁寧にパスを繋いで前進しながら前へのベクトルを強く押し出して多くの選手が精力的にボールを追い越すスタイル、非保持では高い位置から相手のボールを積極的に奪いにいくスタイルを標榜するチーム同士の対戦なんで、全体としてはトランジションが頻発するWSLらしい激しい好ゲームって感じだったかな。

試合展開は、拮抗した展開の中でレスターが18分に自陣でのボール奪取からのカウンターで生まれたベルギー代表MFのジャニス・ケイマン(Janice Cayman)のゴールで先制して前半を終えたけど、スパーズが下がってきたマーサ・トーマス(Martha Thomas)からのスルーボールを上手く受けたノルウェー代表FWのセリン・ビゼー・イルドゥソイ(Celin Bizet Ildhusøy)のゴールで58分に追いついてそのままドローって感じで、全体としてはややスパーズだったかな。スタッツ的には、保持率が42%:58%、シュート数が11:18(枠内3:10)で、ほぼほぼ観てて受けた印象通りって感じだし。

スパーズでちょっと目を引いたのはSB、特に左SBのアシュリー・ネヴィル(Ashleigh Neville)。今シーズンのスパーズの戦術的な特徴については"WSL Watch #004"でちょっと触れてて、その段階では「SBが内側レーンに絞る動きは多用せず」って書いたんだけど、この試合ではアシュリー・ネヴィルがけっこう内側のレーンでプレイするシーンが多くて。今後もそういう傾向が強くなるのか、この試合だけの現象だったのか、ちょっと注目したい感じ。あと、リーグ戦では2試合目のスタメン起用だったジェシカ・ナズ(Jessica Naz)も目立ってたかな。途中出場での起用でもわりと印象的なプレイをするWGの選手だけど、スタメンでも十分にインパクトを残せるってことは示してた感じで。

レスターでは、"WSL Watch #005"でも触れたけど、GKのヤイナ・ライツィヒだったかな、やっぱり。押され気味の展開の中でトータル9セーブを記録してるんだけど、特に圧巻だったのは26分過ぎのスパーズ陣内のスローインから始まったスパーズの決定機のシーン。スパーズの危なっかしくも勇敢なビルドアップから生まれたナズのフィニッシュまでの流れも見事だったんだけど、ヤイナ・ライツィヒのトリプル・セーブには素直にビックリ。両チームの良さが存分に出てたシーンだった感じ。もちろん、ビルドアップへの関与の面でも相変わらず貢献度は高かったけど、シュート・ストッパーとしての能力の高さを試合を通じて遺憾なく発揮してて、勝点1を拾えた最大の功労者って言っていいはず。ただ、レスターもそれほど悪かったってわけじゃなくて、サマンサ・ティアニー(Samantha Tierney)のクロス・バー直撃なんかもあったり、勝てるチャンスは前進あったかな。

継続的に観ていくのが楽しいチーム

今シーズンのこの2チームに関しては、一部の界隈で'貧者のポジショナル・プレイ'とか'貧者のポゼッション・サッカー'なんて言われるような側面っていうか、「ペップのシティみたいなサッカーは確かに魅力的だけど、財政的に豊かで質が高い選手を揃える金があるからできるんだ」みたいな論調に抗うような感じはあって、もちろんチェルシーやアーセナルみたいなレベルで選手の質と量が揃えられるわけじゃないから、「たぶん練習でこういうことに取り組んでるんだろうな」って思えるようなビルドアップの連携なんかはわりと頻繁に見られるんだけど、残念ながら技術が伴わないことが原因のミスはそれなりに起こったりしてて。それでも、行き当たりばったりじゃなく、チームとして意図して取り組んでることが見えるチーム同士の対戦だから見応えはあったし、チームとしての練度の向上と、その中から出てくる個人の成長を見逃さないように今後も継続的にチェックしようって改めて思った試合だったかな。少なくとも、昨シーズンは残留争いをしてたチームとは全然思えない感じで。

もちろん、レベルが高い選手が揃ってて戦術的にも完成度が高いチーム、言い換えれば最上級のサッカーって言えるようなチームを観るのは楽しいんだけど、新しいことに意欲的に取り組んでるチームの進捗を観るのが個人的には大好物で、継続的にサッカーを観る醍醐味だと思ってたりもするんで。上手くいって順調に成長するプロセスを観るのが楽しいのはもちろんだけど、上手くいかないケースもそれはそれでその原因を探るのが面白かったりして。

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